http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/index.htm
近田春夫の考えるヒット567は「Love The World」。
来年あたりに読み直してみると面白そうだ。
PerfumeはJポップ史に残る!!人気もうなずける堂々たる作品
いまや押しも押されもせぬ存在となったPerfumeだ。新作がチャート誌で一位を獲得ということで、各方面話題でもちきりの感さえある。テクノ系のアーティストでは初の快挙なのだそうだ。
さてその「Love The World」だが、そうした人気もうなずける堂々たる作品に仕上がっている。中田ヤスタカの作り出すサウンドには、イントロ一発目の音からして”デジタル”な魅力が溢れていて、Jポップでよく耳にする妙にキラキラしただけのシンセとは一線を画す力強さや重みがあり、鳴ったとたんに耳が持っていかれてしまった。別に変わった音色ではない。むしろ普遍的なシンセ音なのだが、それなのに聴こえ方が新鮮なのだ。
テンポの落ち着きも風格といっていいだろう。ゆったりとしていて、リズム的にはこれといって目立った特徴もないビートだというのに全然退屈させないどころか、ずーっと聴いていたい心地よさがある。これはなかなか作れない。このトラックに限らず、中田ヤスタカのすごいところは決して子供だましな甘い味付けをせず、ちゃんとドリーミーな音楽を提供できる点だろう。
そして今回改めて実感させられたのが、その作詞家としての才能である。というのも、「Love The World」を聴いていると確かにサウンドも文句なしなのだけれど、実は一番耳に残るのが歌でありコトバだったからだ。この人の言語感覚はサウンドデザインとどこか共通しているのかもしれない。この曲は今までのJポップではなかなか表しにくかった温度感というか、何かひんやりとしたものがありながら、決して無機質的だったり無意味だったりせず、官能的な刺激をちゃんとリスナーに与えてくれる。あぶない気配のようなものを絶妙なさじ加減で、若い男の子なら、きっと色々と妄想をかきたてられるに違いない。この人の作る日本語詞は、ひょっとしたらサウンド以上に新しいのではないか。
そして忘れちゃいけないのがPerfumeの本人達だ。その環境との距離のとり方が、今までのアイドルとは違う。ためしにハロプロ系と比べてみればわかりやすいと思うが、Perfumeの三人は、ひとつ俯瞰した位置からの視点を持っているのである。この”メタ”なポジショニングがあればこそ、泥臭いキャラをテクノというフィールドに無理なく展開できるのではないか。その面白さを、誰よりも本人達が判っているのに違いないと思うのである。
いずれにせよこのチームがJポップの歴史に残るということは確かだ。保証する。
音や三人の立ち位置については割とよく言われていることかもしれないが、ヤスタカの詞の世界については、衝撃的だった「シティ」と「エレワー」、それと「マカロニ」あたりくらいしか評されているのを見たことがないような気がする。
ファンにとってはどうしても木の子詞の印象が大きすぎて、語られにくいのかも知れない。
参考までに:
考えるヒット「ポリリズム」
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20071116/p1
Perfume×近田春夫対談@TV Bros.
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20071219/p1