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Aerodynamik - 航空力学

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Perfume「ワンルーム・ディスコ」@週刊文春2009年4月16日号「考えるヒット」


近田春夫の考えるヒット600は「ワンルーム・ディスコ」。
色んな意味で鳥肌が立つような評。

Perfumeの新曲を聴くのは楽しみでもあるがちょっとドキドキもする。というのもあのアーティフィシャルな歌声には早晩みんな飽きてくるだろう。その事をどう考えているのか?そろそろ作戦が必要な時期にさしかかっているんじゃないかと思うとなんかねぇ・・・。
そんな心配をよそに、はたしてイントロが始まると、待っていたのはおなじみPerfumeというか中田ヤスタカの世界だった。音色の選びやエフェクト処理には”風格”さえ感じられて、一つブランドの確立されたことから来る自信がミックスから伝わってくる。
ただ、以前に比べると作りはかなり普通のポップスよりになっていて、ダンサブルとはいえDJなんかよりTV局のプロデューサーに気に入られそうな音だというのも偽らざる第一印象である。
つまりサウンド総体としての冒険が少なくなったように思えた。トラック的面白さは薄まったということである。先にブランドといったのも同じ事を逆から述べたに過ぎない。要するに”まとめる方向”に作品がお行儀よく収まってきているのである。
この雰囲気が何に似ているかというと、国産車のマイナーチェンジかもしれない。日本のクルマは大抵、新車で発表されたときが一番アグレッシブでマイナーチェンジの度にスリルが薄れてゆく。正しいんだろうがつまんなくなっていってしまうことが多いのだ。
いずれにせよ、ついこの間まで強気にリスナーを振り向かせていた存在が、今はマーケット側に歩み寄りを見せている。これはやはりシフトということなのだろう。


しかしシフトというならばそれより歌詞だ。これまでになくグッと日常的なのである。いや生活観があるというべきか。この「ワンルーム・ディスコ」の主人公は(たぶん地方から都会に出てきた)つましい一人暮らしの女性で、これからの生活に一抹の不安を抱えているという話なのだ。超クールなサウンドの中に見えてくる心情はどこか懐かしくさえある。二十一世紀のワンルームというよりはAM深夜放送が華やかなりし頃の”下宿”で、キャンディーズの「春一番」でも聴いている、そんな景色にも思えるのだ。
まぁそれは極端な例えにしても、機械みたいな声でノスタルジックというのは確かに”アリ”だなとは思う。Perfumeの佇まいと妙に相性がいいのである。”デジタルキャンディーズ”とかいって、往年の名曲を中田ヤスタカに料理してもらって企画物で一枚出してみたらどうだろう。案外受けるんじゃないだろうか。

「ついこの間まで強気にリスナーを振り向かせていた存在が、今はマーケット側に歩み寄りを見せている。」
ここはとても重要な部分。これからTeam Perfumeの目指す方向とは。


1RDは音よりも詞の世界について語られることが多い。以前からヤスタカの詞について語っていた近田氏、「デジタルキャンディーズ」とは面白い例え。もちろんAmuseの大先輩を踏まえての事だろう。


なお、先週に引き続き今日のタモリ倶楽部ではPerfume近田春夫が並んで座っています。
http://aerodynamik.tumblr.com/post/92874065/




参考:
考えるヒット「Dream Fighter
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20081211/p1
考えるヒット「Love The World
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20080825/p1
考えるヒット「ポリリズム
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20071116/p1
Perfume×近田春夫対談@TV Bros.
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20071219/p1


いいのかこれで―考えるヒット〈6〉

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