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Aerodynamik - 航空力学

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Perfumeの「物語」は、Perfume自らによってその終幕を宣告された


Perfume代々木公演、その後半に差し掛かったところで会場を震わせた「YoYoGi Disco Mix」は、スクリーン上のピンクの衣装のPerfume(武道館オープニング衣装)が、「Edge」の衣装を纏った黒のPerfumeに変わるところから始まる。その黒のPerfumeから「DISCOとは何か探しに行くのだ!」という依頼/命令を受けて、白い衣装のPerfumeが調査を開始し、「DISCOは!」「代々木にある!」という調査結果を出す。
DISCOを発見した白いPerfumeは、ここで唐突に「もう、あなた達の指図は受けない!」「みんなと踊るんだーーー!!!」と叫び、主従関係は突然に崩壊し、白いPerfumeの放つスペシウム光線的なものによって黒いPerfumeは消去されてしまう。
全くもって唐突である。全く文脈が繋がっていない。なぜDISCOを発見した時点で黒いPerfumeは消去されなければならなかったのか?




武道館公演で初披露された「Edge」。ここでスクリーンに投影された映像は、そのまま代々木でも流用された。武道館公演DVDが発売されているにもかかわらずだ。3人の映像を「黒いPerfume」に差し替えたとはいえ、それでも見るもの全てに武道館公演を意識させる内容であり、それは敢えてなされたと見ていいだろう。そして「YoYoGi Disco Mix」のオープニングでも、武道館公演のピンクの衣装から黒いPerfumeにモーフィングされた点を考えれば、黒のPerfume=武道館であり、そして白のPerfume=代々木というメタファーに他ならない。


「武道館」は、彼女達の長い物語における「到達点」の象徴でもあった。08年に武道館公演と紅白出場という、一つのクライマックスを迎えたその物語は、武道館公演DVDの特典映像によって補完され、ファンによって「今がピークなのではないか」と思わしめるに十二分の感動を伴っていた。


しかし、「道夏大陸」を柱とする、ファンの作り上げた美しい「物語」のクライマックス=武道館公演=黒いPerfumeは、代々木で白いPerfume「自らによって」消去された。これは明確なメッセージである。「もう、あなた達の指図は受けない!」のだ。ここでいう「あなた達」とは、武道館公演でのPerfumeであり、武道館公演までの彼女達を取り巻く環境であり、武道館公演までのPerfumeの長い長い物語である。その「物語」の第一章をPerfume自身の手によって終幕させる儀式こそが「YoYoGi Disco Mix」であり、そしてここに第二章の始まりが高らかに宣言されたのだ。


その第二章は、公演タイトル通りに「ディスコ」であり、純粋に「ダンスミュージック」たる方向性を示し、新曲「Night Flight」はミュンヘンディスコを髣髴とさせ、BPMPerfumeの定番128から一気に上昇する。その精神は「みんなと踊るんだーーー!!!」の台詞に集約される。
「ディスコ」であるが故に、ロックを意識した「エレクトロ・ワールド」は、超人気曲であるにもかかわらず、代々木のセットリストから外されねばならなかった。そしてディスコ=ゲイカルチャー=カウンターカルチャーという文脈に基づき、ゲイポップユニットApothekeが「YoYoGi Disco Mix」に起用された。


「sweet」によってダンスフロアを目指したPerfumeは、「ポリリズム」のヒット以降、「アーティストとしてのバリュー」の為に「意図的に」ダンスフロアから離れることを余儀なくされた。*1 このことは、結果として上手く働き、彼女達を一つのクライマックスへ導いた。


しかし、Perfumeは再びダンスフロアに戻ってきたのだ。「ディスコ」を旗印に。3rdアルバムと8月からのツアーは、Perfumeの第二章を明確に語る内容となるだろう。もう今の彼女達に「苦節8年」の物語のバックアップは必要ない。J-POPの先端を突っ走るのみだ。




さあ、「道夏大陸」を捨て、ダンスフロアに急ごう。