Aerodynamik - 航空力学

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Perfume あ〜ちゃんの歌唱法に対する自我意識の大きな変化@What's IN 09年7月号

http://www.musicnet.co.jp/whatsin/


読売新聞夕刊 0710274

−声を加工することに抵抗は?


あ:最初はテクノをよく知らなかったので、自分の声が加工されてわからなくなっているのが、理解できなかった。アクターズスクールは、「小柳ゆきです!」って感じで、歌い上げてナンボ、ビブラードでナンボなんです。急にしゃべるように歌ってとか、もっと突き放すように、とか言われても……。どれだけ自分のプライドを捨てるかっていうのがありました。

アクターズスクール時代に鍛え上げた、あ〜ちゃんアイデンティティであったディーバ唱法。そして、2003年に始まった、中田ヤスタカの求めるフラットな唱法との格闘。それはアイデンティティの崩壊といっても過言ではない。事あるたびに、彼女はこのことを口にしてきた。中田サウンドあってのPerfumeだから、これ無しではやっていけない、そうコメントしつつも、違和感を隠そうとはしなかった。


しかし、遂に、あ〜ちゃんはこの格闘について、彼女なりの決着をつけたようだ。


What's IN 09年7月号

あ:今まで好きな曲はあっても、レコーディングが楽しいと思った事は一度もなかったんですね。それは、まっすぐ歌わなくちゃ、クセをつけないようにしなくちゃって意識してたから。今回初期に録った「Night Flight」や「I Still love U」はそういう感じで歌ってるんですけど、後のほうで録った「Zero Gravity」とか「Kiss and Music」は、”もういいや。別に使われなくても、自分が思ったように歌おう”と思って歌ったんです(笑)。そしたら、すごく楽しかった。だから全然違うと思います。アタシのクセっぽいのも出てるし、ほとんど地声だったりもする。まぁ、もちろん使われてないものもいっぱいありますけどね(笑)。でも、今回は後悔がないんです。楽しもうと思った歌だから、自分で聴いてても楽しい。だから好きです。

ここに、非常に大きな意識の変化が見て取れる。


7年間の葛藤の末に彼女が到った結論は、ヤスタカに反旗を翻すことだった。もはや音源として使用されなくてもいい、それよりも自らのアイデンティティの主張を選んだのだ。そしてあ〜ちゃんは、「歌う喜び」を、再びその手に取り戻した。
これは、表現者としてのPerfumeにとって、今後大きな影響を与えるターニングポイントになりうる出来事かもしれない。あ〜ちゃんの意識の変化を、ヤスタカがどのように受け止めたのか、早く音源で確かめたい。