Aerodynamik - 航空力学

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PerfumeのRockin'onインタビューについて


「CUT」は買った。買ったけれども、「CUT」は「Rockin'on JAPAN」と同じロキノン社だけあって、「Rockin'on JAPAN」フォロー編のような感じのインタビューで、もう気分的には真面目に読む気にもなれない。


Rockin'on JAPAN09年7月号は、アルバム発売前に出たものだ。

歌ものはぐっと減り、かなり振り切ったダンス・ミュージックアルバムになっている。メンバー3人の歌声にも、これまで以上に大胆にエフェクトがかかっていて、人間味が薄くなっている。作詞・作曲・プロデュースを手がける中田ヤスタカが、好きなように、エッジの効いたサウンドを追求しているような、尖ったアルバムだ。

文章は小松香里氏のこんな煽り文で始まっている。これを読んで、ああ、中田ヤスタカはポップミュージックを捨て、とうとうCapsuleのスタンスをPerfumeで始めてしまったのだな、そういう前提の中で、あの過剰な深読みは始まった。


直前の2回のフライデーで、自分はある程度平静を気取ってはいた。けれども、それまでPerfumeの3人を「プロのアイドルとして求められる事だけを正確にこなすマシン」のように見ていたのに、生々しい写真を見て、実は「一人の表現欲求を持った女性」なんじゃないかと捉えるようになってしまい、「ヤスタカの進めるPerfumeCapsule化」を彼女達は一体どう見ているのだろうかと、真剣に考えたつもりだった。


しかし、その後に実際アルバムを聴いてみれば、なんのことはない、煽り文とは全く異なるもので、歌ものは減ってないし、振り切ったダンスミュージックでもないし、人間味も薄くもなっていない。バカらしい。思いっ切り煽られただけだ。小松氏はちゃんと音源を聴いた上でこの文章を書いたのか?


何のことは無い、「ヤスタカの進めるPerfumeCapsule化」なんてものは最初から無くて、小松氏の煽りにあてられてしまっただけだったのだ。それを真に受けた自分は、結果、被害者だけでなく、加害者となってしまった。




そして、もう一つ、インタビューに関する重要なエントリ。


聡明であるということ
http://hyperf.blog84.fc2.com/blog-entry-333.html


ロキノンのインタビューにあるのは、インタビュイーの言葉ではなく、インタビュアーの言わせたい言葉。もちろん、今回の「CUT」もそうだ。そういうマナーを踏まえていなければ、インタビュアーのいいように振り回されてしまう。


この出版社の文章を読む時は、こちらにもそれなりの覚悟がいる。そういう事を前以て分かっている読者なら、「どうせロキノンだろ」と一笑に付しただろう。自分には、それができなかった。これまで聴いてきたテクノの存在が、音楽に意味や苦悩を求めるロキノン社のそれとは対極にあるものだったから、こんな下らない前提が必要だなんて、まるで知らなかったのだ。世間知らずといわれればその通りだ。


できるなら、事実だけを拾っていきたい。そういうインタビューだけが読みたい。