Aerodynamik - 航空力学

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Perfume「シークレットシークレット」MV監督の児玉裕一がその制作イメージを語る@BUBBLE-B・政所のSPEEDKING RADIO

http://blog.livedoor.jp/speedkingprod/archives/51450727.html


Perfumeのミュージックビデオに関しては、「ビタミンドロップ」から現在に至るまで、全て関和亮氏がディレクションを手掛けている。これは、Perfumeのアーティストイメージの一貫性を生む、非常に重要な要素の一つである。
しかし、どういう経緯なのかは不明ながら、唯一「シークレットシークレット」については、児玉裕一氏にその依頼が飛んだ。そしてファンが期待と戸惑いをもって迎えたその作品の出来については、言わずもがなである。「GAME」初回盤DVDに収録されていないのが本当に残念だ。


BUBBLE-B・政所のSPEEDKING RADIO第62回目にて、児玉裕一氏が「シークレットシークレット」について語った部分を、Podcastが聞けない環境の人のために、書き起こしてみる。



児玉:どうやってミュージックビデオを作ろうかなって考えた時に、もうあれ、ほんと「GAME」ってアルバム、もう名作が出る直前だったんで、これで絶対もう一気にバーンって行ってしまうんだなあっていうのを考えた時に、これをずっと支えてたファンは、きっと嬉しいけど、凄い悲しいんじゃないかっていうところがスタートだったんですよ。まず大ファンになるところから。もう、のっち可愛いなーってとこから、かしゆかお人形さんみたいだなーってとこから、最終的にはPerfumeあ〜ちゃんだなーってところに。最終的にはPerfumeの三角形をどう描くかってところ、それを新しいファンと、ずっと昔から、広島時代から追っかけてたファンにも、どうやったら受け入れられるかっていうのを、こう考えるわけですよ。

Perfumeがようやくブレイクを迎えるその一点、そのタイミングだからこその、あのストーリー。
依頼を受けた曲をひたすら聴きこみ、アイディアが降りて来るのを待つというが、その一つ一つの被写体に対する愛情を持たなければ、ここまでの仕事はできない。依頼を受けてから、「最終的にはPerfumeあ〜ちゃんだな」という熱心なファンが語るお約束ポイントまで達する、その没入力とでもいうか、そういうものを毎回どの作品にも発揮させるセンスは、児玉氏はずば抜けていると思う。

児玉:やっぱり、凄い努力してるわけじゃないですか、テレビではニコニコしてくださいって言われて笑ってる笑顔かもしれないけど、本人達はもっと絶対アーティスティックな事とかやりたいから、この笑顔はどうなんだろうみたいな事とか、そういうのとか凄い考えちゃったんですよ。あのビデオ本当に、最初が一番笑顔なんですよね。だんだん笑顔じゃなくなってくんですよ。だんだんアーティストになっていくんだけど、セットも豪華になっていきつつ、スタジオの隅っこにある飲み物も、あれ最初水なんですけれども、次オレンジジュースになって、次トロピカルジュースになっていく、最終的にはやっぱあの、タモステに出たって話を、宇多丸師匠に。途中でなんか司会者が出てくるんですけど、宇多丸さんなんですよ、宇多丸さんにタモさん役をやってもらって。

アーティスティックである事と笑顔の関係。背中がひやりとする。
飲み物は言われて初めて気付いた。

児玉:ミュージックビデオ、予算無い中で、セットを一回作って、それを間引いていけばこう、地味なセットになっていくことが出来るぞと。

Perfume至上最も豪華に見えるセットについて。

児玉:僕はね、「コンピューターシティ」って曲で、Perfumeには凄いいい話だなって思って。「コンピューターシティ」の振りを、あのミュージックビデオの中に一箇所入れたりとか。関さん、ずっとやられてたディレクターへのリスペクト。昔のミュージックビデオで着ていた衣装を着て、「コンピューターシティ」の踊りを踊るっていうね。本当に、ファンだったらこういうビデオが作りたかったんじゃないかなっていうのを、代わりに僕が。この8年間を表現したいって思ったんで。

衣装が「エレクトロ・ワールド」で、振りが「コンピューターシティ」。
当時「ネクストステップ」と呼ばれたPerfumeの進化とブレイク。それまでの古参を振り切る勢いで拡大していく状況の中で、マスを対象に作られるビデオの中に、あえて当時のファンだけが分かるネタで、ファンの気持ちを代弁する。そのブレイクまでのストーリー性が語られるPerfumeだからこそ、なおの事生きてくる演出。



−実際そのPerfumeファン、その広島から追っているファン達に、そのメッセージというか、込められたメッセージっていうのは届いたと思います?


児玉:いや分かんないっす。届いてないかもしれないですけどね。


−いやでもね、そこまで汲み取って、多分ファンも凄い喜んでいるというかね、あのビデオを作った人はこんだけ愛情を出してるって聞いただけでも多分物凄い喜んでると思うんですよね。

当時のファンには、製作意図と熱意は十ニ分に届いていると思います。
ブレイク後にこれを見たファンはどう思ったのだろうか。






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