Aerodynamik - 航空力学

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中田ヤスタカ楽曲大賞2009に投票するよ

http://ystkma.blog.shinobi.jp/


中田ヤスタカ楽曲大賞、対象楽曲は07年/64曲、08年/73曲から、09年/34曲に。数字だけを見ればここ数年の半分以下、随分と減ったような気もするが、普通のミュージシャンが多くても年間にシングル3枚+アルバム1枚程度のペースであることを考えると、これでもかなりの作業量だ。


とはいえ、「エレクトロ」という基盤の上で、溢れ出るアイディアをもって勢いに任せてがんがん良曲を作れてしまう時期は過ぎたのかな、という気もする。Meg、鈴木亜美、両者が一旦中田プロデュースを離れたという事も、かなり重要なキーワードだと思う。
今年は随分と「メジャーフィールド」でニューエレクトロが持て囃された年でもあり、似たようなバキバキのサウンドばかりが溢れ、勝手な話だけれど自分としてはこの手の音は完全に聴き飽きてしまった。もう「エレクトロ(笑)」という気分といっても過言ではない。MARQUEE vol.74でヤスタカが語っていたように、Capsuleの新作も、もう違う方向を向いているようだ。フォーマットに頼らず、一曲一曲、少し時間をかけて作りこむとどういうものが出来上がるのか、早く次を確かめたいなあ、そんな気分なのです。



楽曲部門(持ち点10pts)

楽曲   配点  
中田ヤスタカ /
Hello(iida CMソング)
3 ヤスタカの魅力は、「中田サウンド」と括られる音色よりも、いいメロディーとコードなのだということを、こんなに短い作品でも十二分に堪能できる。次の一手が楽しみだ。
Passion Pit /
The Reeling (Yasutaka Nakata Capsule Mix)
!マナー(期間生産限定盤) 2 リミックス仕事もなんだか全部似たような「中田エレクトロ」色のものが続いて、完全に食傷気味なのだけれど、原曲の音がダサすぎて使い物にならず、ヴォーカル以外を全部中田色にするしかない、という事もあるのだろう、という勝手な推測。この曲については、原曲の音色を生かしつつアレンジに相当遊びも入れている、こういう作りはとても好感が持てる。
Perfume /
23:30
ASIN:B001QTWC46:image:small 2 ジャズっぽい体裁を取っているけれど、音色、エコー/ディレイの使い方、音符の置き方など、Rei Harakamiの強い影響を感じる曲。表の「ワンルーム・ディスコ」が過剰に尖った音色、あくの強いJ-POP的メロディーなだけに、このフラットに浮遊する感触はなかなか得がたい心地良さ。
Meg /
Freak (Yasutaka Nakata Remix)
ASIN:B001VA10IY:image:small 1 自分の手から離れたMegを自分色に染め直す、一種のリベンジとして面白い立ち位置の曲、ということもあってか、他のリミックス作品よりも手の込んだ「甘さ」の演出がにやりとさせる。普段の中田作品とは違うMegの発声の荒さも面白い。
Perfume /
Night Flight
トライアングル(通常盤) 1 Pino楽曲に外れなし。文句なしのポップソングであり、イメージ戦略としてもアイコン化しやすいテーマでありながら、これをシングルとして勝負できないのが悔しいところ。
Perfume /
Kiss and Music
トライアングル(通常盤) 1 Perfume楽曲中最もタイトな作り。この一曲でアルバムが引き締まる。アルバムだからこそ出来る実験作。であるがゆえに、無理にライブ演目にしなくてもよかったとも思う。


一年分の候補作品全体を聴き直しても、手法としてのニューエレクトロに限界を感じたのが正直なところ。Capsuleはヤスタカの好きなように変化していけばいいと思うけれど、パブリックイメージとしての「テクノポップ」を背負うPerfumeは今後どうコントロールしていくんだろうなあ。


あと、ヤスタカにはソフトシンセだけで完結せず、古臭いハードシンセも使って欲しいなあと思った。ソフトシンセだからこその利便性をもってして、彼の思うように自在に音作りが出来ているのかもしれないし、いい曲にはソフトもハードも関係ないんだけれどね。でも、今年の楽曲は、焼入れをして硬さを手に入れた反面で靭性を失ったような、そんな感触が否めない感がどこかにあった。



ミュージックビデオ部門(持ち点5pts)

楽曲   配点  
Perfume /
ワンルーム・ディスコ
ワンルーム・ディスコ(初回限定盤) 1 クオリティ云々というより、西脇さんのウィンクに1点。
Perfume /
NIGHT FLIGHT (CM ver.)
  1 テクノポップのアイコン化として非常に面白い素材なのだけれど、CMで完結してしまうのが残念。

今年はクオリティに衝撃を受けるような作品はなかったので、持ち点を捨てた。


「I still love U」のように、Perfumeの「3人」を大好きなファンが見てニヤニヤするような、一種のファンサーヴィス的なビデオもそりゃ必要かとは思うけれども*1、シングルを切る勝負曲では、やっぱりPerfume自体を初見の人まで「何これ!?誰のビデオ?」みたいにびっくりさせるくらいのインパクトが欲しい。エレベーターの中で偶然目にしてファンになる位の。「あーこれゴンドリーだよな」とか思わせた時点でなんかもうインパクト勝負に負けている気がする。



ライブ部門


演者のパフォーマンスレベルが高かった日、というよりも、演者、客席全てを含むライブ空間として充実していた日を選んだ。
3人は常に全力だし、照明演出も素晴らしい、でも、肝心の「音」にもう一ひねりが欲しかった。CD音源に飯塚さんがシュワーとかSE乗っけてるだけの音源が全部というのはもう物足りない。そしてそこはPerfume3人の領分ではない。

*1:まあこれはアルバムのおまけだし、予算の都合もあるだろうけど