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Aerodynamik - 航空力学

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大衆におもねるPerfumeなどいらない、Perfumeにもっと刺激を!

Perfume


昨年末の各種音楽番組の特番でも微妙な盛り上がらなさを醸し出していたPerfume、というか「ワンルーム・ディスコ」。大晦日には久し振りに紅白を最初から最後まで通しで見たのだけれど、「ワンルーム・ディスコ」のパフォーマンスの地味さというか空気っぷりは本当にやば過ぎた。


Perfumeの三人は、あの大舞台でもいつも通りやってのけ、笑顔まで見せるという精一杯のパフォーマンスを見せてくれたのだけれど、ステージ上にぽつんと三人だけ*1、後ろのLEDスクリーンは赤白青の四角が映るだけ*2、衣装もゴールドで煌びやかなようだが実際は地味に埋もれてしまっていた。全ての出演者があらゆる手段を駆使して派手に「賑やかし」てくる中では、演出を含めたトータルで観ると完全に空気。もはや斬新だったはずのあのサウンドもダンススタイルも、世間の人達にとっては目新しいものではなくなってしまっているだけに、あえてあのようにしたのであろう演出でも、「攻撃的」と評価するのはちょっと難しい。「シンプル=クールでテクノっぽい」的にまとまっているのならそれでもよかったが、そうならずに地味に終わってしまった全ての原因は、曲が「ワンルーム・ディスコ」であったからだ。


年末の「ワンルーム・ディスコ」ショートエディット一曲披露の度に見られた微妙な空気。いつだってPerfumeはアウェイというが、誰にも知られていなくてアウェイ状態なのと、そこそこ知名度がありながらアウェイなのは大分事が違う。CDの売上に相当する人気を、音楽番組のような場ではどう見ても得られていない。
いまだに世間ではPerfumeの振り真似といえば「ポリリズム」のサビ(MIKIKO先生の振り付けではない、単純で真似しやすい香瑠鼓振り付け部分)だし、そのイメージを更新できないでいる。


今回Perfumeが紅白に出場できたのは、どう見てもアイドル/アーティストとしてのバリューではなく、NHK番組貢献度枠とAmuseの大河ドラマ貢献枠のダブル効果があったからというのはファンであれば誰もが認識している事であって、昨年一年間でアーティストとして話題を呼んだ訳でもなく、アイドル枠で括ってしまえばAKB48の昨年後半の脅威的な加速度には到底及ばない。
正直見て見ぬ振りをし続けて来たけれど、Perfumeの活動を「芸能界」という枠組で認識する人達の中では、Perfumeは早くも相当やばい状況に来ている。*3


一部ファンの熱狂振りと、世間の評価の温度差がここまで解離してしまうのは、Perfumeの音楽、パフォーマンスが、万人に理解され愛される表現スタイルを取っていないからであって、それはそれで意図してやっている事であり、それこそがPerfumeを形作る核でもあるので、ファンにだけ面白いCDとライブを提供し続けてくれれば全然構わないとも思うのだが、一方で、世間一般の人達が昨年唯一目にした「ワンルーム・ディスコ」には、ファンを熱狂させる力も無ければ、世間の一見さんを取り込む力も無かった。


2009年の春にリリースされ、その年唯一のシングルとなってしまった「ワンルーム・ディスコ」。大衆におもねった結果なのか、それともアーティストとしてのバリューを高めるためにあえてアッパーなポップチューンを外してきたのか、なんにしろ刺激のかけらも無い中途半端なJ-POP歌謡でしかない、そしてそれ単曲ではどうにも盛り上がりようも無い、「ワンルーム・ディスコ」一曲だけで一年間を通してメディアと戦わなければならなかったPerfumeは本当に大変だったと思う。
アルバムは派手さは無かったが良いアルバムだったし、アルバムツアーは代表曲「Night Flight」や変化球的楽曲、そして最強に演出の強まった「Edge」などの披露だけでも意義があったし、過去のフロアを揺らす輝くような数々のダンスチューンもあった。一見さんを取り込むだけのパワーに満ち溢れていた。
しかし「ワンルーム・ディスコ」一曲で評価を下される場では、どうにも勝ち目が無い、それは誰の目にも明らかで、テレビサイズのショート編集でのインパクト勝負では、むしろ一度だけ披露された「I still love U」の方がPerfumeキッチュな魅力を伝えるという意味では遥かに勝っていたという現実がある。


結局のところ、世間ではいくらアルバムの出来が良くても話題にはならない。ハロオタに「タンポポ」の1stアルバムが傑作だといくら言われても聴かないだろう?メディアに扱われて世間の耳に届くのは、シングルと、シングルを寄せ集めたベストアルバムだけなのだ。いくら「トライアングル」が良盤でも、世間の耳には届かない。アルバムもツアーも良くてファンは満足しているかもしれないが、それだけを原資として今のような活動を続けていくことはできない。


そう、「Dream Fighter」以降Perfumeの「シングル」曲から失われてしまったキッチュなポップセンスを再び取り戻す事こそが、今のPerfumeに必要なことなのではないだろうか。いまだ発表されていない次のシングル曲には、万人に愛されることを意識した凡庸なセンスなど必要ない。必要なのは、少数の人間に熱狂的に訴え、世間一般には奇妙に映りその目を引く、そんな挑戦的な姿勢ではないのか。そもそもPerfumeが注目されたのも、それまでに見たことの無いような奇妙で斬新な異物感、そこがキーではなかったのか。
再び古参を興奮させ新参を驚かせる、そんな全く新しい一手を、来たるべき次の「シングル」に。


スピードを緩めるな、加速しろ、Perfume



 2010年には結成10周年を迎え、年明けからはライブハウスツアーも控える。「来年はもっと攻める年にしたいです」(あ〜ちゃんと笑顔を見せた。


http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20091230019.html

*1:これは仕方が無いが

*2:紅白という場で、PVのイメージを持ち出してなんになる?

*3:ソースはメディア業界の知人