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Aerodynamik - 航空力学

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「2009年のPerfume、Perfume以降のアイドル音楽の進化」から考える@BUBKA 10年3月号

http://www.coremagazine.co.jp/bubka/


堀越日出男・宇多丸吉田豪対談「アイドルを救え!」から「アイドル音楽の進化」。


まず、2009年のPerfumeについて。

堀:宇多丸さんの連載の1位はバニラビーンズでしたよね。


宇:はい。それと「トライアングル」はやっぱり好きなんで。


堀:Perfumeは2009年もっと展開が欲しかったですね。


吉:事務所が舵取りを間違えちゃってる気は凄いしますね。


宇:ただね、難しいとは思いますよ。急にあれだけデカくなっちゃって、まだちょうどいい置き場を見つけてもらってないというか。


堀:持て余してる感じですか?


宇:そう、今までに無い成功のしかたをしちゃったから、相応しい置き場がなくて、今までにあった置き場にとりあえず置くしかなくて、っていう感じが僕はしてますけど。逆にアイドルっていうジャンル側の保守性を物凄い思い知らされた感じもありました。


吉:でも、いままで通りの見せ方もできないから、だいぶ保守的になってキャラも見えなくなってきてますよね。


宇:それはやっぱり、スキャンダル慣れしてない子達と事務所に急にそういう世間の視線が降りかかって・・・・・・ということですかね。

「置き場所がない」、誰もが決まった看板をかけられないものこそ、その強烈な個性が面白い状態だと思うので、どこかの定位置に納まってしまうことがいいとは思わない。けれど、それを継続するのは売り出す側にとっては大変だろうし、舵取りの為のノウハウはどこにもない。


昨年、「Perfumeはアイドルか?それともアーティストか?」なんて答えの出ない禅問答のような議論を再びあちこちで見かけた。AKB48とは違うからアーティストだ、いや、作詞作曲編曲をしないからアイドルだ、といった、まあどっちでも勝手にしてくださいといった感じの話だ。
ファンは自覚しているだろうけど、Perfumeを純粋に「アイドル」として捉えた場合、AKB48の上位メンバーにも、ハロプロのユニット群にも、もちろんスターダストの新興ユニット群にも、Perfumeはまるでかなわない。これらの、見た目も含めて選抜された女の子と比べれば全然可愛くないし、グラビアもやらないし、水着にもならない。バラエティ番組に出ても余所余所しく佇む事しかできない。従来の「アイドル」を支持する人たちや、声優アイドルを熱心に追いかける、いわゆる秋葉原系は、「アイドルとしてのPerfume」に全く関心を示さない。支持する対象に熱心にお金を落とすのはこの層という意味では、ぜひとも支持していただきたいのだが、この層は、対談でも述べられているように、極端に保守的でもある。だから、「アイドル」の記号が付いていないようなものは推せないし、逆に、VOCALOIDなどという単なるソフトウェアにも「初音ミク」という「アイドル」の記号さえ付けば熱心に推すのだ。かつてPerfumeも「アイドル」の記号をぶら下げてみて秋葉原に擦り寄った時期もあったが、その報われなさを考えても、あの3人には「アイドル」は務まらない。というわけで、もうコアな意味での「アイドル」オタ向けの展開はやらなくてもいいんじゃないかという気がする。「写真集」とか。写真週刊誌位でぐらつくようなアイドル商売からは距離を取るべきかと。
今丁度アメーバニュースで「AKB48Perfumeどっちが好き?の投票開始」*1などとくだらない事を煽っているが、こんなものに乗っかってしまうのは本当に馬鹿らしい。こんなものと同じ戦場で戦う必要はないし、勝ち目も無い。


一方、2008年後半から2009年、徳間はいわゆるJ-POPを聴く層への展開を図り、確かに中高生(T層)や若い女性(F1層)のファンは薄っぺらく広がっていった実感はあるが、シングル、アルバムの売り上げの推移を見る限り、そういった人たちはあまりCDも買わないし、音楽的に凝った事にはほとんど興味がないようだ。2ndツアーのDVDを買っておきながら、「エンディングで流れる曲はなんですか?」といった質問がmixiでは相次いでいた。根本的にそういう層に「着うた」以外のものを買わせるのは難しいのだろう。


結局「GAME」を買ったのは誰か?というと、「新しい」スタイルの音楽を求めていた人達だった。新しく挑戦的でいて、なおかつクオリティが高い、奇跡のような存在だから買ったのだ。


ということで対談の後半。

宇:でも、ベストテン選んでちょっと考えも変わって。せっかくPerfumeが成功しても、アイドルというジャンル自体は結局音楽的にも保守に戻っただけじゃないかって気がしてたんだけど、1年分集計してみたら、ちゃんと底上げはされてた。


吉:ハロプロも含めて?


宇:うん、全体で。数年前だったら「これベストテン級だよね」みたいのが全然入らないくらい、気付かないうちに基準が平均的に凄く高くなってた。それこそももクロももいろクローバー)がtofubeats起用するみたいな事は、あきらかにPerfume以降の発想だろうし。


9nineの「Happy×2 Eyes」だって、Perfume以前だったらなかったですよね。


宇:あれも、曲調自体は定番的なんだけど、アレンジやミックスが割とちゃんとしてたりするあたりが、やっぱりPerfume以降の時代感だと思います。AKBも、最近のはかなりちゃんとした音が出てるし。


堀:音でいえばSKE48のほうがいいですよ。ヤバイ曲が何曲かありますよ。良曲はSKEに流れてるんですよ、いま!

Perfumeの楽曲のクオリティの高さと挑戦的な姿勢が、保守的なアイドル楽曲業界においても、その全体の底上げに影響を与えた。やはりPerfumeの肝はそこなんだと。
T層、F1層、その支持が欲しいのは分かるけど、それに合わせた無難な楽曲など、いまどき売り上げにも繋がらないし、そこ向けに「攻め」ても、得るものなどない。そして、「GAME」に群がった「新しく挑戦的でいて、なおかつクオリティが高い、奇跡のような存在」に希望を見出したファンには、ゆるやかに飽きられていくだけだろう。




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BUBKA ( ブブカ ) 2010年 03月号 [雑誌]

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