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Aerodynamik - 航空力学

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Perfumeの望む楽曲と、中田ヤスタカの作る楽曲のベクトルの相違@What's IN 2010年8月号

http://www.musicnet.co.jp/whatsin/index2.html


ウェブ版と紙面版では内容が微妙に異なっている。以下紙面版から。


開かれる事自体が画期的だったという、「Voice/575」制作前のPerfume中田ヤスタカのミーティングにて。

か:まず、東京ドームが決まりましたという報告をしたんです。「おお〜、すごいじゃん」と、凄く喜んでくれて、ドームに向けてのシングルに対する私達の希望を伝えました。「夏なので、インパクトのある、めっちゃカッコいい曲お願いします!歌モノっていうより、フェスで盛り上がれるような」と。珍しくメンバーから沢山の意見や思いを伝えました。そしたら中田さんが、「任せて。カッコいいもん作るから」って言ってくれて。


の:メンバーだけじゃなく、スタッフさんも含めてこんだけ熱く語る中で「大丈夫、俺に任せて」って言っちゃえるのはスゴいなと思って。


(中略)


あ:Perfumeとしては、「Edge」みたいな、ホントに中田さんがクラブで回してるみたいな感じの音を希望したつもりだし、想像してたので、あ、歌モノなんだってところに、なるほどなと。多分、中田さんも凄く悩んで考えてくれた結果、こうなったんだろうなと思いました。

Perfumeの三人が考えている楽曲のベクトルと、中田ヤスタカの提供する楽曲のベクトルの相違性についての言及。


「Edge」、それは、武道館、代々木、直角二等辺三角形TOURへと引っ張ってきた、ワンマンライブにおける大きな見せ場の一つでもある。ライブこそPerfumeの軸と考えているPerfumeの三人にとっては、夏フェスや秋に控えた一大正念場の東京ドーム公演において、「Edge」に相当するような曲を披露したいと思うのは当然だろう。


Perfumeの三人がずっと希望し続けて、今回ようやく実現した、レコーディング前のミーティング。そこで「ぜひEdgeみたいなのを」と熱い希望をヤスタカに直接伝えて、「任せて」という回答に喜んでいたところに、「Voice」が上がってきたら、三人もスタッフも、さぞかし梯子を外されたような気分にもなっただろう。結果としては「キュンとなるいい曲だな」ということでまとまってはいるようだが。


最近のヤスタカのインタビュー、あるいはCapsule「Player」やMeg「Maverick」でも明らかなように、既にヤスタカの興味はハードなエレクトロハウスからは離れつつある。サウンドの勢いだけで強引に持っていくようなスタイルよりも、よりポップスとしての普遍的な強さを求めている。それを突き詰めた結果、「Voice」はまるでCapsuleのデビュー当時、つまり「さくら」「東京喫茶」のようなものすら感じさせるような楽曲になっていった。インタビューにもあるように、ヤスタカ自身この曲に相当な試行錯誤を繰り返していたようだ。発注側との意識の摺り合わせも難しかったと思われる。


Perfume側の事情は置いておくとして、「Edge」を奉り上げて「Perfumeは他のアイドルとは違う!(キリッ」とかいう一部信者の気持ちもまあ分からなくも無いが、そんなものをA面にして、J-POPフィールドで勝負できる訳が無い。ちょっとファンクな「ナチュラルに恋して」ですら「Music Station」で浮きまくっているというのに。ヤスタカは、かつての小室哲哉のように、ダンスミュージック/クラブミュージックをJ-POPフィールドへ落とし込む事に意義を感じているし、実際に、保守的なJ-POPにおける価値観を更新してきた。ただ、そのバランスというか匙加減はとても難しくて、発注側の徳間ジャパンやYAMAHAの注文を聞き過ぎると、「Dream Fighter」や「ワンルーム・ディスコ」のような歪なJ-POP歌謡が生まれてくる。そこを回避しつつ、「Voice」のようなポップスを作る苦労というのは推して知るべし、というところか。


それはそれとして、幾らなんでも「Edge」とは言わないまでも、今回のシングルには、東京ドームへの過程を盛り上げる、祝祭的アッパーソングを持ってくるのではと自分も思っていたので、この展開はちょっと意外ではあった。「Voice」は往年のテクノポップリスナーホイホイな上にスルメなのでとても気に入っているけれど、そろそろ、ライブにおけるPTAコーナーの後の「チョコレイト・ディスコ」的な役割を担う、ガツンと来る曲も欲しいわけですよ。ドームで披露される今年第三弾目のシングルとして。気が早すぎますかね。




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