Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Saori@destiny「ワンマンLIVE in Glad」@渋谷Glad


正直言うと、直前まではこのライブを観るつもりではなかった。
非常に挑戦的で、そしてまたしても名曲揃いのアルバム「WORLD WILD 2010」は素晴らしく、そしてそのリリースパーティーは、これまでの彼女のライブの枠を超える、クラブサウンドとアイドルライブの結節点のような面白さがあった。*1 しかし、その2ヵ月後のライブは、様々な事情があったにせよ、とても評価できるものではなかった。*2 良し悪しの波が大きすぎるのだ。あの落差を観て、随分自分の気持ちは醒めてしまい、前売りチケットも買わなかった。ワンマンライブ恒例の、ライブ前の時間を活用して行われるファンクラブ向けイベント「BackUp Party」も、今回は「公開リハ」だという。物販でがっつきたいオタならまだしも、わざわざリハにお金を払って見に行こうとは、自分には思えなかった。


その後、何人かの前売りチケットを買った人に聞いても、整理番号はみな驚くほど早く、このライブに全く注目が集まっていないのは明らかだった。渋谷Deseoのリリースパーティーのような奇跡は、もう誰も期待していないかのようだった。


ところが、ライブの2週間前、Twitter上でこんなやり取りがなされる。


Saori@destiny
@Saoridestiny
 夏といえば、、、、今年は夏っぽいことしてないかも!(2010-09-04 11:37:04) link
Saori@destiny
@Saoridestiny
 夏が似合うアーティストを目指すSaori@destinyです!(2010-09-04 11:41:47) link
Aira Mitsuki
@official_aira
 わたしと同じやんか!笑 RT @Saoridestiny: 夏が似合うアーティストを目指すSaori@destinyです!(2010-09-04 14:59:53) link
Aira Mitsuki
@official_aira
 @Saoridestiny Saoriさんがライブで『I Cant』やるとき乱入してもいいですか?笑(2010-09-04 15:05:20) link
Saori@destiny
@Saoridestiny
 @official_aira  うん!!ぜひ乱入してください♪(2010-09-5 02:14:57) link
Aira Mitsuki
@official_aira
 どうしようかな、なにしようかな〜楽しみになってきた♪Twitter上で勝手に成立w RT @Saoridestiny: @official_aira  うん!!ぜひ乱入してください♪(2010-09-05 14:02:07) link


そしてその5日後。


D-topia
@dtopiainc
 Saori@destinySaori@destiny ワンマンLIVE in Glad』“Aira Mitsuki”の出演決定! http://www.saori-destiny.com/info.html#event(2010-09-10 19:04:46) link
D-topia
@dtopiainc
 Aira Mitsuki 『Saori@destiny ワンマンLIVE in Glad』“Aira Mitsuki”の出演決定! http://www.airamitsuki.com/information_event.html(2010-09-10 19:05:23) link
Aira Mitsuki
@official_aira
 いやん、もう告知されたのね@dtopiainc: Aira MitsukiSaori@destiny ワンマンLIVE in Glad』“Aira Mitsuki”の出演決定! http://www.airamitsuki.com/information_event.html(2010-09-10 23:45:12) link
Aira Mitsuki
@official_aira
 乱入が正式に決定w すみませんが、おじゃましま〜すm(__)mhttp://www.airamitsuki.com/information_event.html(2010-09-10 23:49:15) link


Twitter上での思いつきが現実に!というふれこみだったが、懐疑的な見方をすれば、あまりにも売れていないチケットを何とかするために、事務所が梃入れを行ったのではないだろうか。基本的にAira MitsukiSaori@destinyは、同じ事務所、同じプロデューサー配下にありながら、ほとんど接点が無い。数年前にイベントで競演した位で、普段は事務所ですれ違う程度、「あまり交流を持たないように事務所に言われている」とUstreamAiraが発言したりすることもあった。そもそも、Twitter上で二人が絡むのも、これが初めてのことである。ゆえに、この唐突な流れはどう見ても不自然としか言いようが無い。
また、同じ事務所、同じプロデューサーにもかかわらず、熱心なファン層は全く別のクラスタで、自分のように両方見に行く人間は多くない。Saori@destinyの最新アルバムの中でも屈指の名曲「I Can't」「グロテスク」。そのヴォーカルをAiraに差し替えたものが、Aira Mitsukiのアルバム発売時の店舗特典として付けられた時、反発を覚えるSaoriファンは多かった。ライブで一番盛り上がる最高の切り札に、タダ乗りされたような気分になったからだ。


しかし、そういう前提においても、二人を共演させようとする事務所のやり方は、それはそれでデートピアらしかった。そう、こういう何でもありの胡散臭さこそがデートピアの面白いところだった。
面白いライブが見れるかは分からないけれど、やはり足を運んでみるか、そう思って、前日にチケットを買った。整理番号は80番。渋谷Gladのキャパは300人だ。一体どうなるのだろうか・・・。




結局前売りは100番前後まで出て、後は当日券となったが、会場の埋まり具合を見る限り、200人弱は入っているように見えた。客席両サイド、特に上手側は大きく黒幕に覆われ、またしても偽装が図られていたが、まあこれもいつものデートピアだ。


バックキーボードは今日も二人。下手「みずっち」はRoland SH201とMacBook、上手「トミー」はKORG MUSIC WORKSTATION KARMAにMicroKorg、シンバルパッドに、AKAI MPCのようなパッド。


  1. I Can't
  2. Play
  3. Baby Tell Me
    • MC
  4. ファニー・パレード
  5. ブリーズ・ブリーズ・ブリージング
  6. Chemical Soda
    • MC
  7. My Way
  8. Sakura
  9. グロテスク
  10. プリズム
    • MC
  11. シンパ
  12. World Wild 2010
  13. ロスト
  14. Shangri-La
  15. サヨナラリヴァイバル
  16. エスニック・プラネット・サバイバル
  17. Ez Do Dance
    • EN
  18. Sakura
  19. I Can't (with Aira Mitsuki
  20. ステンレス・スターライト


頭から勝負球。全力でぶっ飛ばす。最初の3曲は、「WORLD WILD 2010」リリパで見せたような曲間ミックスが施され、テンションを下げる隙を与えないどころかアクセルを踏みっぱなしにさせる。後半の「シンパ」からの流れも、いわゆるぶっこみ繋ぎで畳み掛ける。盛り上がりと引きのバランスが今回は絶妙。最初から観客も腕を振り上げ大声で盛り上がる。盛り上がり度でいえば「WORLD WILD 2010」リリパをも超えていた。


中目黒SOLFAではどうしようもなかった舞台の低さ狭さ、照明など、ここでは当然のように全て解決されている。中目黒SOFLAは音もよく酒も上手いが、あくまで小箱のクラブである。あんなところでは「ライブ」はできないし、無理矢理やってもいいものは提供できない。高く広いスペースに本格的な照明、ミラーボールにレーザー、VJスクリーン全て揃った環境でこそちゃんとしたステージングができる。Saoriはこれまでに無くダイナミックに動き、それよりもバックキーボードの二人が派手なアクションを見せ、大いに目を楽しませてくれた。単にCDの音源に手弾きの音を重ねているだけではない、ライブアクションとしてのキーボードプレイ。それを照明が盛り上げる。ライブパフォーマンスにはやはりそれに適したステージが必要なのだ。これまでデートピアはSaoriのホームグラウンドとしてSOLFAを多用していたが、あの狭さ、立地などのせいで、今一動員は伸び悩んだ。今日、この会場で、これだけのものが見せられることが明らかになったのなら、ホームグラウンドを変える決断を早急にするべきだ。


全体的に、とにかく楽しく踊れたし大いに盛り上がったという印象だ。今まではあくまでサポート的な立場に収まっていたバックキーボードの二人も、今日は派手にシンバルを叩き、飛び上がってキーを叩き、魅せる演出がなされており、また演奏にも細かく手弾きならではのアレンジの変化を加えており、ようやくそのステージにおける存在意義を見せ付けてくれた。また、二人の手弾きによるイントロから始まる、聴かせる曲「Sakura」ですらも、幻想的な照明も相まって、これは狭いブースに隠れて演奏するSOLFAではできないと思わせてくれた。


「My Way」では、トミーが演奏中にMicroKorgを自分と逆の方向に置きなおし、何をやっているんだと思っていたら、Saoriがそれを弾き出した。弾くというかギュイギュイとノイズが出たのだが。いままでSaoriはAiraと違って楽器を演奏しなかったので、例えノイズでもこういったライブにおける新しい試みは重要だ。
3回目のMCで、Airaがいつ現れるのか落ち着かないAiraオタに向かって、「普段Saoriのライブ来てないだろうって人の顔、すぐ分かるんですよ」と笑いを取った後、小さい頃から習っていて、人に教えたこともあるというピアノを披露するという。皆が知ってる超名曲、といって「みずっち」と連弾したのは、「猫踏んじゃった」。冗談のような話だが、まあ鍵盤が弾けるというのなら、弾き語りしろとはいわないが、ライブでもっと色々試していってほしい。CD音源に合わせて歌って踊るだけでは面白みも進歩も無い。


Airaが現れないまま本編が終わる。Aira待ちの興奮もあったが、それ以上に今日のライブは盛り上がっていた。アンコールを求める声が、あんなに熱く大きかったことはないだろう。
そしてTシャツに着替えて再び現れたSaori。このライブの前に行われた「BackUp Party」でファンがアンコール曲を決めたのだという。それはよりによって本編で一度やった「Sakura」。ほぼ同じアレンジでもう一度披露。今日のライブにけちをつけるならこの一箇所くらいか。「BackUp Party」に参加した人に聴いてみたところ、この曲は生歌生演奏を期待できるということで選んだのだというが、残念ながらいくらなんでもそれは事前の練習無しには難しいだろう。


そして再び「I Can't」。ここでSaoriと同じTシャツを着たAira登場。Saori一番の決め曲で盛り上げる。Airaが客を煽る一方で、Saoriに微妙な表情を見て取ったのは気のせいだっただろうか。まあこの日一番盛り上がったのは確かだ。


二人は普段スタジオですれ違うくらい、共演するのも二年半振り、なんとも微妙な空気だが、SaoriはAiraの「Valentine Step」の振りが可愛いのでやってみたいという。翌日のAiraワンマンライブで一緒にやってよという声が観客から掛かり、騒然となるが、スタッフが出てきて「続きはTwitterで」という事に。最後に「本当は一言二言しか喋っちゃいけないって言われてるんだけど」などと微妙な事を言いながらAiraが捌け、最後に「BackUp Party」で決めたもう一曲「ステンレス・スターライト」で締め。


メンバーが捌けた後も興奮の醒めない観客達は、客電が付いて会場スタッフが退場を求めてもアンコールを求めて拍手を止めない。暫くして三人がステージに現れ、「時間を過ぎているのでもう曲は出来ないけれど」と、三人で手を繋いで大きく一礼をした。皆大きく拍手で賞賛を送った。それ位、今日のライブは充実していた。


正直Airaの「乱入」で何か面白いことが起こるかもという事務所の戦略に釣られて行ったのだが、実際のところはAiraがいなくても十分に満足出来るライブだった。まあ折角同じ事務所で同じプロデューサーなのだから、今後も共演があってもいいとは思う。
それにしても、やはりこれだけ魅せるライブをやるには、それなりの箱が必要だという事を実感されられたライブでもあった。ちなみに、Airaは渋谷Glad隣の、Vuenos Tokyoがホームグラウンドだ。同じAsiaグループの渋谷Gladが、今後のSaoriのホームになると、またライブの面白さが高いレベルで安定して行くことを期待できるのだが。Saoriの告知によると、10月のライブは予定されているけど詳細未定、11/21には再び渋谷Gladでワンマンとのこと。







WORLD WILD 2010

WORLD WILD 2010