テクノポップ専門店「メカノ」がPerfumeを取り扱わない理由
テクノポップが好きであれば必ずどこかで彼の名を目にしているであろう、伝説の渋谷ディスクユニオン2号店店長であり、現在は中野ブロードウェイ内CDショップ「メカノ」*1店長である中野泰博氏。最近ではKRAFTWERKの日本盤リマスターに解説を書かれている。「メカノ」にPerfumeが置かれないのは、今となっては不思議ではないが、ブレイク前の時点では、何故扱わないのだろうと不思議だったのだが、いつもその理由を聞きそびれていた。
Perfumeファン、テクノポップファンだけでなく、音楽の流通に携わる人必読のインタビュー。POSシステムに対する考え方と、「魚屋」の例えは興味深い。
超マニアックなCD屋「メカノ」はなぜ潰れないのか
http://ascii.jp/elem/000/000/561/561848/
―音楽業界はすっかり斜陽で、CDもさっぱり売れていないんですけど、このお店、どうしてやれているんですか?
中野:僕は毎日売れているところを見ているので、CDが売れていないという実感がないんですよね。
―このご時世で不思議ですよね。
中野:不思議でしょうねえ。実はこの店、Perfumeがないんですよ。
―ほー。そらまたなんで?
中野:あれは消耗品のJ-POPだから。新譜で買取りしても、3ヵ月もすればブックオフに並んで、すぐ100円になっちゃう。それを、個人の店で、買取りでやるのは無理なんですよね。
―在庫を持った途端、価値が目減りしていくと?
中野:そうですね。それやってたら、今ごろうちは潰れています。
―じゃあ逆に、そこそこ売れないものだけをそろえていると?
中野:インディーズの基本ですけど、売れると解散するか、(質が)落ちるんですよ。でも売れないバンドは、尺度がお金じゃないんで、赤字でもやるんです。すると3年後〜4年後でも、売れたりするんですよ。
―ある意味、クラシックにも近いところがありますよね。
中野:アーカイブ的なところはあるでしょうね。あとは、私が独りでやっているから、ってところもあるんですよ。これでバイトを使って会社組織にしていたら、このジャンルでは無理ですね。上限があるので。
中野店長に「Perfumeは消耗品のJ-POP」と言われると、実に説得力がある。提供するものは消耗品でかまわないような「J-POP」マーケットというフィールドで勝負するということは、単なる音楽ファンの好き嫌いなどというレベルを遥かに超えた、「芸能ビジネス」としての商品価値こそが最優先だ。そういう事を踏まえつつ、今のPerfumeと向き合っていくのは、かつてを知るファンにとっては、とても複雑なことでもある。