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Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「悪魔を見た」(I Saw the Devil) 韓国 2011年公開 R18+



新宿TOKYU MILANOにて鑑賞。予告も観ず予備知識も全く無いままに観に行ったので、「猟奇殺人とレイプを繰り返す悪魔を、正義のイケメン警察官イ・ビョンホンが追い詰める!」という内容だと思っていたら、とんでもなく凄惨な残虐展開満載でびっくりした。そもそもこれはミラノ1という巨大な場所でかけるような映画ではない。休日昼間でもスカスカだったし。逆に言うと、こんな残虐映画にイケメンスターのイ・ビョンホンが出ていることで、韓国のお国柄を想像できる、とも考えられる。


最近のK-POPアイドルブーム的なもののお陰で、日本における韓国のイメージは随分とポップなものになっているのかもしれない。しかし、続々と公開される韓国映画を観ていると、韓国の本質は、かつて根元敬が「ディープコリア」で描いたような世界と全く変わっていないと感じさせられる。それは、とても泥臭く、厚かましく、生々しく、そして笑えるほどの狂気に満ちた、過剰なまでにパワフルな「剥き出し」の人間性に根差したものだ。
菊と刀」に描かれるように、日本人が「恥」に根ざした閉じた文化を持っているのに対して、韓国人は自らを「恨の文化」と呼ぶ。別に韓国クライム・サスペンスばかり見ているからという訳ではないのだけれど、とにかく韓国映画は人間を下衆に描くことに非常に長けている。無能な人間、無能な警察、無能な政治家、解決されない事件、救われない被害者。ある意味韓国映画の典型かもしれないが、そういったものへの強烈な不満を描くことで、人間の本質に迫ろうとする力は、邦画ではとても真似のできないものだ。


この作品も、「恨」をベースに、ひたすら猟奇的な残虐シーンが続いてゆく。その残虐性は、映画の半ばで善悪をも超えてしまう。そしていつしか観客は、自らの中に「それ」を求める悪魔がいることに気付く。日本ではとても生まれがたい、クライム・サスペンスの良作。144分があっという間。