Aerodynamik - 航空力学

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Perfumeにおける「解散危機」と、当時の三人の意向@RKBラジオ「チャートバスターズr」 110606

http://rkbr.jp/cbr/index.html


いわゆる「解散危機」の話をするのは二回目か。

−「Complete Best」っていうのが、2006年8月に発売されたんですけれども、所謂「コンプリート」ってことで、活動のまとめって事は、「え?ひょっとしてPerfume解散するの?」なんて不安の声が、ファンの中に広がっていったのがこの頃だったんですね。


−「ベスト」って事で、逆に言うと、「これが売れないとどうなっていくんだろう」みたいな部分を抱えながら、って所はあったんですかね?


あ:ああ、「コンプリートベスト」なんで、もう、初めてのアルバムが「ベスト」で、完全に「解散される」っていう風に。「解散されるんですよね」みたいな。


か:ファンの人に、握手会とかで「解散しないでね」って凄い言われて、「解散するの?」「え・・・?いいえ」みたいな。


−そんな気無いのにね。


か:三人はもう、「え?だって新曲も入ってますけど」っていう感じだったんですよね、最初は。周りがね、凄い言ってきたから、「あ、コンプリートベストを出すって、そう思われるんだ」っていうのに気付きました、そこで。


あ:もう、今考えたら「そらそう思うわ」って感じだし。


か:コンプリートしちゃってるよね。


あ:「コンプリートってタイトルに出しちゃう?」みたいな。普通に今考えたら分かるけど、その時は分からなかったんで、ね。もう凄い前向きにね、「アルバム出して、次はシングル出して」。


か:「今までをまとめて、これを名刺代わりに出して、よろしくお願いします」、みたいな気持ちでいたのに。


−世間の反応とは全然逆だったんだ。


か:温度差があったんですよね。

「コンプリートベスト」=解散フラグ、この解釈については、東京ドーム公演直前になってようやくPerfume自身の見解が語られた。それについてのまとめ記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20101001/p1




三人の気持ちとして、「解散」は念頭に無かった、ということは確かなのだろう。しかし、三人が解散するつもりが無いことと、徳間ジャパンとの契約が当初の予定通り「最初の三枚」で切れる、という話は全く別次元である。とはいえ、後者についての情報はあまりにも少なすぎる。


以前のまとめエントリにあらかた書いてしまったが、もう少し補足的なものを書いてみる。
今改めて当時の時系列を見直してみると、2006/08/02に「Complete Best」が発売され、太田出版「CONTINUE」誌上の「Power Perfume Girl」連載開始はその年の10/17発売号から、そして「Twinkle Snow Powdery Snow」のネット配信限定リリースが2006/12/20となっている。つまり、雑誌に連載の仕事を取ってきたAmuseとしては、その時点で活動をクローズさせる予定はなかったと思われる。そして、同誌の2回目の連載で、Perfume宇多丸の対談が行われ、そこで初めて次のシングルをリリースする予定があるということを、三人はマネージャーから知らされる。



TBS-R「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」 070901

宇多丸:お会いするのは結構久し振りですね。


あ:そうですね。


宇多丸:いつ以来になるのかな、確か、「Complete Best」を去年出して、それがあって暫く位ですもんね。その後「チョコレイト・ディスコ」っていうシングルが、まだレコーディングが決まる前、直前だったんですよ。


あ:へー!


宇多丸:で、某雑誌の取材でお会いして、でね、でね。僕は失礼にも、さっきも放送でちょっと言ってたんですけれども、いや、正直ね、「Complete Best」みたいの出すとね、ほら・・・ね?アイドルっていうと、大体こういう所で・・・


の:あー!言ってたー!


あ:あー、言ってたわ。


宇多丸:活動休止とかね、なってしまう事が、しばしばですよ、これが多い、で、そういうことが無いように、僕が周囲の大人に怒鳴り散らして「来ますよー」みたいな事言ってたら、丁度その時マネージャーさんが、「いや、次のレコーディング決まったよ」って、三人とも知らなくて、「えー!ほんとに」なんて言ってたのが「チョコレイト・ディスコ」。

12/17発売の号の対談収録なので、この報告は11月中の出来事だろう。Amuseの意図とは別に、徳間ジャパン側は初めから「三枚リリース」と発言していた事から、8月から11月未明までは、「Complete Best」の次の活動は、徳間ジャパン側にとっては不透明な状況だったと考えられる。


そしてもう一つ。彼女達はこの8月から11月未明の間に、大学を受験している。


J-WAVETOKIO HOT 100」080120

−大学一年生ということなんですけど、アイドルなのに、なんで大学に行こうと思ったの?


あ:大学を受けるとき、私たち全然行く末が決まってなくて、私たち広島県出身なんですけど、いつ地元に帰されるかってぐらいの崖っぷちな状況で、歌手で行けるかどうかもどうかもわからなかったので「大学にいこう」と。


−でもけっこう去年ぐらいからドカ〜ンときたよね?


あ:あー、でも去年の9月ぐらいだったので、マネージャーからも「大学行っとけ」っていわれました。


−あー、もう責任取れないぞってね。


あ:はい、「僕はわからない」っていわれて。

西脇さんは「大学を受けるとき、私たち全然行く末が決まってなくて」とはっきり発言している。三人とも晴れて今年の春に大学を卒業したのでこのネタに初めて触れるが、大本さんと樫野さんが受験した某大学のAO入試は10月、西脇さんの受験した大学の方は11月。勿論マネージャーである山本氏が「大学に行っとけ」と言ったのは先のことを見据えての事だが、受験時点では次の活動予定が無かった(知らなかった)、そして次の活動を知らされたのが11月の対談収録時点であり、時期は一致する。


まあ、直ぐに参照できた外部的な材料はこんなところ。結局、徳間ジャパンがどういう考えでいたのかは謎のままだ。ただ、普通に考えれば、一枚目のアルバムのタイトルに「Complete Best」なんて付けるセンスはどうかしているし、内容は「これまでの活動のまとめ」で、新曲はたった一曲だけで、その一曲「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」の歌詞も、あまりにも示唆的だった。そういう事だ。


今となっては、「手を伸ばしてももう届かない」、その意味は全く別のニュアンスで捉えることができる。これはとても幸せなことだ。しかし、かつて初めて握手会というものに参加して、「あ〜ちゃんの握手スキルは凄い」なんて話していたあの頃を思い出すと、少し寂しくもなる。




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