Aerodynamik - 航空力学

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Perfume、LAでの自己紹介は「自分達らしく日本語のままで」、Perfumeが日本的であること@DIME 2011年8月9日号

http://www.digital-dime.com/


昨年、韓国Mnet主催の音楽番組に出演した時には、「セミョンハクチョソ Perfume イムニダ」と、韓国語で例の自己紹介をやっていたPerfume*1 しかし、ハリウッドのレッドカーペット招待時には、いつも通りに日本語で自己紹介をこなしていた。おまけに、ジョン・ラセター監督直々の要望により、日本語での自己紹介と「Cars 2!」を繋ぎ合せた挨拶を、各種メディアの前でやってみせた。
あの自己紹介を何故今回はローカライズ(グローバライズ?)しなかったのか、何らかの意味があるのではないかと思っていたが、大本さんがインタビューでその事に触れていた。

の:今回の「カーズ2」では、主人公マックイーンの友人の”おんぼろのメーター”が準主役なのですが、監督のジョン・ラセターさんとお話をした時、「どこに行っても自分は自分、ということを大事にしてほしいというメッセージを込めたんだよ」って言っていて、なるほどなって思ったんです。確かにメーターは、故郷のラジェーター・スプリングスにいるときも、レースで東京やロンドンにいる時と変わらない。最初、LAでの自己紹介は英語でしたほうがいいのかなって迷っていたんですけど、監督のお話を伺って、日本にいるときの自分達らしく、そのままでいようって思ったんです。 自分らしくいるのって、とても難しいですけどね。

韓国MAMAでは、もともと西脇さんのK-POPへの興味が強いこと、招待を受けての現地へのサービス、現地語が話せないのでせめて挨拶だけでも、恐らくそういった事情でのハングル自己紹介だったのだろう。しかし今回、ハリウッドというより大きい世界を前にして、Perfumeは、「どこに行っても自分は自分」、自分らしさを選択し、日本語での自己紹介を貫いた。



か:先日、椎名林檎さんとお食事をさせていただいたのですが、その時に「”今、日本のポップスってこういう感じなんだよ”って世界に届けられるのがPerfumeのかっこいい曲で、凄く嬉しい」って仰ってくれて…。LAに行く直前で緊張していたのですが、自信を持てた言葉でした。

映画の中でPerfumeの音楽に求められた役割は、海外から見た日本の様々な特徴が誇張された東京のシーンのなかで、より「日本的なポップソング」として輝くことだ。K-POPが日本で語られるときによく使われる、「世界標準」「世界に通用する」といった視点から評価されているのではない。
仕事なり芸術なり、国際的な舞台で評価されるとき、それは自らをグローバライズして世界と同じフィールドに置くことが必要なのではない。出自の文化を日本人にしかなしえない変態的なレベルで表現するから評価されるのだ。仏ジャパンエキスポの中核をなす日本のアニメや漫画、原宿系ファッションなどのポップカルチャーや、劇中でも奇妙に描かれるシャワートイレなど、ガラパゴス化の極地のようなものだ。欧米にはマドンナやカイリー・ミノーグのような超大物ダンスポップクイーンを筆頭に、ダンスポップグループは本当に幾らでもいるし、それらに比するようなものではおそらく日本人は勝負できない。タフでセクシーでビッチな匂いのするエレクトロダンスクイーン達が犇めく中で、「エレクトロ×J-POP×アイドル」という日本人にしか成し得ない魔改造によってアイデンティティを確立したPerfumeだから、そしてそれがあまりにも「日本的」であったから、菊地成孔の言うところの「東京クール」であったからこそ、他の多くの候補曲を聴くのを監督に止めさせてしまうほどのインパクトが生まれたのだ。
だから、Perfumeは、「仮に」海外活動があったとしても、グローバライゼーションなど意識せず、堂々と「広島から来ました」という顔をしていけばいい。もちろんコミュニケーションのためには多少英語を覚えることは必要だけれども。



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