Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 ももいろクローバーZ「サマーダイブ2011 極楽門からこんにちは」@よみうりランド オープンシアターEAST

http://natalie.mu/music/news/55200



これが極楽門

一年振りのももクロ現場。デビュー盤から音源は聴くには聴いていたのだが、いまいち好みではなかったので現場にまでは足を運ばず、無銭現場で一度見た時も、やはり話題になっていたパフォーマンスの凄さよりも音への興味の無さが上まってしまい、それきりになっていた。最初期の和風系だったり、ももクロ古参の方達が絶賛する「全力少女」「走れ!」「オレンジノート」「ツヨクツヨク」系の楽曲がどうにも苦手なのだ。しかし、去年からCOALTAR OF THE DEEPERSNARASAKIが提供し始めた楽曲群は、どれも自分のど真ん中に入ってきて頭から離れなくなるほどにへヴィーローテーション状態になり、また現場に行ってみたくなった。今回たまたまももクロオタの身内からチケットが回ってきて、これ幸いと足を運んできた。


ももクロ夏の一大イベント。会場は、よみうりランドの野外音楽場「オープンシアターEAST」。椅子席だけで4000席、その周りの芝生席にも詰めれば4000人入る巨大な会場だったが、早々に椅子席を売り切り、追加で出した芝生席だけで2000人もの人達が集まった。


チケットはよみうりランドの入場券付だったので、少し早めに行ってアトラクションで遊んだりなどしていたが、一目で分かる、推しメンバーのカラーをまとったカラフルなももクロオタだらけで、遊園地はさながらももクロ独立国家のような様相を呈していた。開演前の熱気とわくわく感が凄い。オフィシャルグッズとして、ももクロ達の「Z伝説 〜終わりなき革命〜」での衣装を模した戦隊モノ的ワンピースや帽子、ベルトなど(全部で一万円)が事前に販売されていたのだが、意外にも沢山の女性がそれを身にまとっていて、とってもキュート。親子で着用している人達もちらほらいて、実に遊園地が似合う楽しい客層だった。


座席はセンター3列目という奇跡のような席で、久し振りののももクロを存分に楽しめた。
ライブのオープニングは、戦隊モノの楽曲と遊園地の会場にちなんで、遊園地の戦隊モノヒーローショーから始まった。着ぐるみの「ものクロ帝国」ボスが、「まともな大人はこんな所ではしゃがないし、こんなカラフルなTシャツなど着ない。そのTシャツをシックなモノクロに変えてやる!」と、耳の痛いことを言いながら、前方客に大量の放水。そこに、会場入り口の「極楽門」からももクロが登場するも、「ここにいる人たちは変じゃない、社会から逸脱しているだけ」とさらに観客disに追い打ちをかける。あれこれやりとりがあって、最後に「普段真面目に働いて、ここで発散してるんだからいいじゃない!」という結論に落ち着き、ステージ上で必殺技を繰り出して勝負を付け、ようやくショーが終わる。ここまでで既に20分。うわーこれはかったるい、大丈夫かな今日は、そんなことを思いながら楽曲スタート。


そこから普通のライブに戻ったのだが、いやここからは楽しかった。本当に楽しかった。常々言われているような全力のパフォーマンスを、ほとんどMCに時間を割かずにぶっ通しでやる気迫とテンション、そして全力の笑顔、過剰すぎる楽曲達とVJ、どれもかつて無銭現場で観た物を遥かに凌駕していて圧倒された。そしてなによりその場の熱い空気を作っていたのは、熱狂的なファンの方だった。自分の座席位置的に熱狂的ファンが多かったのもあるが、ほぼ全員がペンライトを持ち、全曲全パートで名前コールやらダンスやらあらゆる手段で盛り上がっていて、そのめちゃくちゃに楽しげな空気に完全に飲まれた。普段踊ってはいるけれど振りコピとかコールとか絶対しない性質の自分も、気付いたら手を振っていた。Perfumeファンとやや異なる「踊る」ことに関しては、熱狂的ファンは腰から踊ることは殆ど無くて、ひたすらペンライトを曲に合わせて振り回したり振りコピしたりと、上半身でリズムを取る日本人らしい風景だった。一般的なオタ芸でもそうだが、大体は下半身を固定して、上半身を派手に動かすのが日本人的なノリ方でもある。


前日は結構酷い雨で、当日も予報では午後から雨が降ることになっていて、野外ということでレインコートを持っていったのだけれど、ライブの間は何とか持ちこたえて、シャボン玉が飛び交ったりときれいな演出もあった。しかし、夏の野外の為の演出らしく、盛り上がるポイントでバンバン大量に放水されて、メンバーも放水銃を持って走り回り、雨が降っていないにも関わらずびしょびしょになって、物販で売っていた扇子もみんなボロボロになっていて、寧ろやけくそ感溢れるテンションに火を付けていた。そしてアンコールが終わった頃に遂に雨が降り出し、自然まで味方に付けた不思議な感動すらあって、これが野外ライブの魅力なのかとしばし感動。


それと、食いしん坊の妹キャラ、玉井詩織(黄)が、いつものロングツインテールをバッサリ切ってショートボブにしてきて、それが当日初披露だったのだけれど、これがね、びっくりするほどの美少女。*1 Twitterでもこのイメージチェンジを絶賛する声だらけで、ナタリーも記事のトップにこのショートボブになった玉井詩織の画像をでかでかと表示してしまうほど*2、これまでのキャラを払拭してしまうくらいのとんでもないインパクトがあった。よくよく見ると手足は長いし圧倒的に美少女だし、この子はモデルやればいいと思う。


途中で、今年のクリスマスにさいたまスーパーアリーナ公演を決行する旨が発表されて、「武道館や横浜アリーナを飛び越して、キャパ20000のSSAか!」とびっくりしたのだけれど、よくよく考えたらSSAって客席数が可変だから、最低6000人モードにもできるんだよね。いやそれでも十分にチャレンジではある。


ライブの最後、メンバー一人一人が一言言ってステージから消えていくのだが、「ショートカットしおりんだよ」「あーりんだよ」ときて、最後に百田夏菜子(赤)が、少し間を置いてから、「繋いだ手を離さないで」と言った。鳥肌が立った。やっぱりこの子がリーダーだ。




フェスティバルのような楽しいライブが終わった後に、ももクロファンと話をした。ももクロはブレイン陣がプロレスオタで、「怪盗少女」以降は、それを踏まえた派手で過剰でギミックとやらせ感溢れるWWEのような、「ネタと分かった上で楽しむ」エンターテインメントに徹しているけれど、そうした「大人」のオーバープロデュースの中でも、メンバー達に閉塞感を感じないという。Perfumeはご存じの通り、楽曲からダンス、ヴィジュアル演出まで、他のアイドルとは一線を隔すレベルで高度にコントロールされているけれども、メンバー当人たちもその高度さにストイックに臨んでいこうという気迫と同時に息苦しさが常に伴っている。ももクロは、大人のオーバープロデュースがありつつ、同時にそこにメンバーの息苦しさが全くなくて、兎に角勢いだけで馬鹿になって楽しめるところが一番の魅力だという。
Perfumeの武道館公演以降、Perfume古参が大量にももクロへ流れて行った。Perfumeは常に「全力少女」であるけれども、盛り上がる楽しい勢いよりもストイックな挑戦的姿勢が前面になってしまったことで、そこに息苦しさを感じる人たちが、同じ「全力少女」ももクロに共感したのだろう。今のPerfumeがシンクロナイズドスイミング団体戦で演技の完成度をひたすら高める方向性にあるならば、今のももクロは、メンバー一人一人が同時に100メートルハードル走を突っ走っている。ハードルを蹴散らしながら。



  1. Overture〜「ももいろクローバーZ 対 ものクロ帝国 最後の戦い」
  2. Z伝説 〜終わりなき革命〜
  3. CONTRADICTION
  4. D'の純情
  5. ピンキージョーンズ
    • MC
  6. 天手力男
  7. ミライボウル
    • MC
  8. ワニとシャンプー
  9. キミとセカイ
  10. 気分はSuper Girl!
    • MC
  11. ももクロのニッポン万歳!
  12. Believe
  13. キミノアト
  14. 全力少女
    • MC
  15. Chai Maxx
  16. 行くぜっ!怪盗少女
  17. ココ☆ナツ
    • MC
  18. スターダストセレナーデ
  19. オレンジノート
    • EN
  20. 走れ!
  21. コノウタ
  22. ツヨクツヨク