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Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 南波志帆 第五回主催ライブ「THE NANBA SHOW」@渋谷WWW


  • 20120901 「THE NANBA SHOW 相当衝撃的なスクールポップ!! Vol.5」@渋谷WWW


2010年8月に始まった南波志帆主催イベント「THE NANBA SHOW」も、もう五回目。幸いなことに今のところ皆勤賞。


2010年の暮れにオープンした渋谷WWWには何故かこれまで行く機会が無く、今回初めて足を運んで唖然。渋谷WWWはシネマライズの地下スクリーン跡にそのまま居抜きで作られた箱だった。90年代の単館系/ミニシアターブームのアイコンであったシネマライズ、この劇場を象徴する映画が、ドラッグとユースカルチャーを描いたダニー・ボイルトレインスポッティング」。あの劇場だけで15万人を動員する途轍もない影響力のあった作品で、もちろん当時通っていた大学の部室にもあのオレンジのポスターが恥ずかしげも無く貼られていた。「STUDIO VOICE」を愛読するようなハイカルチャー気取りのお洒落サブカル向け作品が上映され、小西康陽プロデュースで市川昆「黒い十人の女」リバイバル上映の時も随分話題になった。ウォン・カーウァイ天使の涙」、トラン・アン・ユン「シクロ」、ラース・フォン・トリアー奇跡の海」、コーエン兄弟「ファーゴ」、アロノフスキー「Π」、ソフィア・コッポラヴァージン・スーサイズ」、ヴェンダースブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。上映作品がほいほい思い出せる。最大のヒット作は多分「アメリ」だろう。あのカルチャーが好きだったか否かは別として、90年代のユースカルチャーを牽引していた劇場であったことは間違いない。調べてみると、地下シアターの閉鎖は2010年6月、最後の上映作品は塚本晋也「鉄男 THE BULLET MAN」だった。シネマライズは現在2Fシアターのみの営業となり、地下シアターが居抜きでWWWになった。あの特徴的な急斜面がそのままフロアになっていて、どの位置からも当然ステージがよく見える。驚くことにサウンドシステムにはBerghainなどでも使われるテクノファン垂涎のFUNKTION-ONEを据え、しかも音周りの電源は240Vを引いているという。ライブハウス営業が中心であまりテクノイベントに使われていないため来る機会も無かったが、一度テクノの鳴りも聴いてみたい。


住岡梨奈

アコギ一本弾き語り。正統派の素敵な声だったけれども、もっと個性というか癖を押し出してもいいと思った。

  1. feel you
  2. 川本真琴 - 1/2
  3. ナガレボシ

タルトタタン

タルトタタンはこのステージが初ライブ。プロデュースは相対性理論進行方向別通行区分の西浦謙助と真部脩一、進行方向別通行区分にいた橋本アンソニーによる「アゼル&バイジャン」。タイミング的に、相対性理論のオリジナルメンバーである西浦と真部の二人がバンドを脱退、代わりのドラムにd.v.dのitokenとShing02の山口元輝、ベースにOKAMOTO'Sの吉田匡が入ったという話があって、じゃあ真部サウンドはどこへ行くのかと関心が集まっている時期でもあって、このライブを目当てに来た人も結構いたような感触だった。


タルトタタンは亀高綾乃と小野早稀の女性二人で結成、青山真治がPVを撮ってフォトブックを出してまずアルバムを出したと思ったら小野が脱退して有井優が加入。こちらも流動的なユニットなのだろうか。アルバムには「やくしまるえつこのカリスマ性と毒気を抜いた、漂白された抜け殻のような相対性理論」という身も蓋もない感想を抱いていたのだけれど、その初ライブは想像していたものよりもかなり良い印象だった。色違いの服を着て、リズムも取らず殆ど棒立ちで歌い、一曲終わるごとに手を前にして丁寧にお辞儀をする、そんな二人の佇まいはまあ予想の範疇だったけれど、そのポップなのか淡泊なのか掴みきれない微妙な空気感、見た目は普通の可愛い19歳なのに、70年代の歌謡アイドルにでもいそうな感じが不思議と面白い。二人とも一曲づつピアノを弾いたりもして、「あ、弾くんだ」と素直な驚き。家に帰ってアルバムを聴き直すと、少しカラフルな印象に書き換えられていた。
バンドはドラム西浦、ベースにサニーデイ田中貴、ギターに田渕ひさ子。設定もサウンドも空気感もなんとなく霧がかってぼんやりとしたタルトタタンだが、ステージでは田渕ひさ子の鋭角なギターが全部引き締めてライブの形を整えていた。面白いバランスだと思う。

  1. 恋するカレンダー
  2. 入り鉄砲に出女
  3. 鳴門
  4. シンギングインザレイン(キーボード有井)
  5. epoch making love(キーボード亀高)
  6. ランララン
  7. しょうがないマイラブ




バンドじゃないもん!

爆弾。楽しければ何でもいい、というアイドルオタのメンタリティに支えられているイベントでなら面白く観ていられるが、今回のイベントでは間違いなく爆弾。パンストの匂いを嗅いで二人とも死ぬ寸劇での空気の冷たさ、「何なんだよこれは」という冷めた野次が飛ぶ光景にぞっとした。あの女性らしい生臭狂気エンタメの壁は正直乗り越えられそうにない。

  1. バンもん!のテーマ
  2. 歌うMUSIC
  3. ショコラ・ラブ
  4. Back in you
  5. パヒパヒ

南波志帆

ギター岩谷啓士郎、ベース須藤優、キーボードSunny、ドラムはプロデューサーCymbals矢野博康。特にホームイベントという事もあるけれど、歌もMCも、盤石の安定感という安易な言葉でアレだけれども、とても高品位なものを安心して提供して頂ける信頼感が備わった南波さん。正直言うと、声の不安定さと危うさを楽しんでいる時期もあったけれど、自分の中ではもはや一歩離れた位置から「スタンダード」的な質の高さを味わう存在に移動した感がある。相対的に土岐麻子の位置に近づいているというか。


そういう距離感で楽しくライブを味わっていた所で、MCで切り出された言葉が会場の空気を一転させる。「14歳の頃から『10代のうちに武道館』を目標にしていたけれど、現実とのギャップに苦しくなる」と涙ぐんでいる。ついさっきまでスタンダードを観ているつもりだったけれど、彼女が見ているところはそこではなかった。武道館でライブをやるなら、もっともっと売れなければならないし、目指すところはビルボードライブ東京じゃない。彼女の作品の中ではコトリンゴおおはた雄一の静かな曲がとても好きだけれども、そういう「ポップスの良心」だけでは武道館には立てない。なんてこった。「でもファンの皆さんや支えてくれるスタッフがいるから100年でも200年でも歌い続けます」と言う彼女。それは勿論そうあってほしい、でも土岐さんのワンマンツアーはブルーノートビルボードライブを回っている。そういう愛され方じゃないんだ。「南波さんの音楽はそういう評価軸だけじゃない」と恐らくあの場にいたファンは思っていたかもしれない。でもCDが売れて動員が増えなければ音楽活動を続けていくことも難しい。19歳の彼女に「スタンダード」を求めるなんて楽しみ方は、ファンのエゴかもしれない。YUKIに作詞を頼んだり、サカナクション山口一郎に作曲を頼んだり、少しでも今のファン層の外側から興味を引こうとし続けていることは知っていても、彼女がその葛藤をここで吐き出すまで、目を背けていただけかもしれない。ライブが終わった後、ファンの人達と食事をしながらこの葛藤を共有しあったが、「キリンジは武道館やってる」という一言がその日の救いだった。「いやそれと比較しても」と思うけれども、とりあえずその日はその一言に縋って終わった。

  1. 少女、ふたたび
  2. 宇宙の中のふたりぼっち
  3. 水色ジェネレーション
  4. 天国のキッス
  5. 髪を切る8の理由。
    • MC
  6. それでも言えない YOU&I
  7. こどなの階段
  8. ミライクロニクル
  9. 楽園にて
    • MC
  10. セプテンバー
    • EN
  11. THE BANGLES - MANIC MONDAY
  12. トラベリンライト





髪を切る8の理由。(特典CDなし)

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”CHOICE” by 南波志帆

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テトラッド(通常盤)

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バンドじゃないもん!

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feel you

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