Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 T-Palette Records 感謝祭 2012@品川ステラボール


ライムベリーがT-Palette参加、初のレーベル全グループ集合という事で足を運んだ。


6月に行われたレーベル一周年記念イベントが原宿アストロホールだったので、半年でキャパ1800のスケールに拡大するというのも凄い。会場は横に広く、動員もゆったり余裕を持って観られる位だったが、やはりこの手のイベントなので、ステージ前だけは凄まじい密集状態。しかし、同一レーベル内でのイベントらしく、「自分の推しのグループの時だけ最前スペースを譲ってもらい、出番が終わったらさっさと下がって他のグループのオタに場を譲る」という行為が、数百人規模で整然と行われ続けたのには感心した。大抵の対バンイベントでは、最初から最前を確保して動かないリテラシーの欠けたオタ集団などそう珍しくない光景だから。


ライムベリー


レーベル参加の若い順に登場。トップバッターの打順と、だだっ広い舞台に怯むことなく、スクールガールの衣装にアディダスのスニーカーとメンバーカラーのパーカーでステージを走り回り、注目されやすい「ねえお兄ちゃん」の突き抜けた馬鹿らしさとインパクトだけでなく、トラックやコンセプトの特殊性と面白さ、ガールズラップのキュートさなどをベストな選曲で初見の人達に伝えられたのではないだろうか。
特に、強烈なパーティーチューンの連続の中に、青臭い思春期のリリシズムが溢れる「Ich liebe dich」を挟み込むことができるようになったことは、ミドルティーンの不安定な感情を細やかに描きだし、グループの持つ世界観を一気に拡大させるという強力な武器になった。


イベントはニコ生中継されていたのだが、例によって数曲が音声カット。カットされない楽曲でもサンプリング抜きのクリーントラック。実際のところレーベルがこれらについてどう考えているのかが知りたかったが、ライブ後の嶺脇社長のコメントで、「ライムベリーはサンプリング著作権的に難しい楽曲だが、その『大人の事情』を何とかしていくのが我々の役目であり、時間はかかると思うが全部当たっていく」という大変頼もしい言葉を聞けた。


  1. RHYMEBERRY IZ NO.1
    • MC
  2. SUPERMCZTOKYO
  3. Ich liebe dich(3MC Mix)
    • MC
  4. HEY!BROTHER
  5. まず太鼓
  6. MAGIC PARTY

HEY!BROTHER→まず太鼓→Ich liebe dich



アップアップガールズ(仮)


ももクロのブレイク以降、「全力感」が「多幸感」以上のレベルで使い倒される表現となり、もはや「どのグループも全力でやっているのだから、ももクロが全力とか云々」とすら言われなくなった。
それでも敢えて言うとすれば、「ハロプロに憧れる彼女達の夢を飼い殺しにした挙句見捨てた」ハロプロに対する復讐ストーリーを背景に、ブレーキの存在を捨ててアクセルを壊れんばかりに踏み込み続け、「今しかない、今しかない」と繰り返し叫び続けるこの反骨精神の塊そのものであるグループが、非常に分かり易い形で「全力感」に対する共感を呼ぶのは確かだ。


肉弾戦の様なステージの後、MCで「今ステージに立てるこの瞬間が本当に楽しいんです」、そして「AKB以上に有名に、そしてももクロより激しく」と強烈な意思を言い放った彼女達の、過負荷の切迫感は最高にひりひりする。嶺脇社長が「『UPPER ROCK』は本当にうちから出したかった」と悔しがっているのが印象的だった。アップアップ(仮)を体現するあの曲の破壊力。今年はこの曲と「アッパーカット! 」に「前のめり」の活力を随分貰った気がする。


  1. イチバンガールズ
    • MC
  2. チョッパー☆チョッパー
  3. バレバレ I LOVE YOU
  4. 夕立ち!スルー・ザ・レインボー
  5. サバイバルガールズ
    • MC
  6. UPPER ROCK
  7. アッパーカット!

UPPER ROCK初披露 CD音源バージョン



lyrical school

ラップスキルや盛り上げスキルとも全く関係ない所で、ひたすら本人達が意のままに騒ぎ、声を張り上げて馬鹿騒ぎ感を生み出し、結果としてパーティになる、という独自のスタイルを築き上げてきており、嶺脇社長から「ゆるふわ感があまりなくなってきてる」と突っ込まれていた。


「リボンをきゅっと」のハンドクラップは、「実に上手い事やったなtofubeats君」と現場で舌を巻いた。あれは現場で聴いたら合わせてハンドクラップせずにはいられないし、そのタイミングの入り方が絶妙に気持ちいい。


  1. そりゃ夏だ!
  2. tengal6
  3. リボンをきゅっと
  4. photograph
  5. プチャヘンザ!
  6. おいでよ

lyrical school / リボンをきゅっと



しず風&絆〜KIZUNA〜

そういえばちゃんと聴いたことが無かったのでこの機会に、と思っていたのだけれど、体調を崩してちょっと外で休憩。

  1. Pump it
  2. チェッカーフラッグをとめろ
  3. パンチドランカー
  4. カプセルカプセル
  5. I ロックメドレー

LinQ

どれもいい曲なのだけれど、現場で聴くと根本的にダンストラックとグルーヴ感が違い過ぎる、という理由であまり興味を持てなくなってきた。次のシングル「CHIKU-TAKU」は四つ打ちテクノポップだったのだけれど、なんというかタイム感がなあ。


  1. なう。
  2. for you
  3. さよならマーメイド
  4. CHIKU-TAKU
  5. ゴーイング マイ ウェイ!
  6. 祭りの夜〜君を好きになった日〜

LinQ - Chiku-Taku



Negicco

久し振りに90s国産テクノトラック的「アノソラヘ」を聴けて上がる。このグループの持つ飾らない素朴純朴さの中にあるトキメキ感と、しっかりしていて尚且つ重すぎない軽さを備えたハウストラックの快感は他では味わえない特別な感覚だ。
アイドルのライブを語る時に使われるようになった「多幸感」という言葉は、もともとMDMA系ドラッグの作用において使用される言葉で、セカンド・サマー・オブ・ラブで多用されたMDMAは「多幸感」や「他者との同一感」を強くもたらすタイプだったのだが、Negiccoのライブには、その「多幸感」や「他のオタ達との同一感」を、強く感じさせる空気がある。この日集まった別々のグループのTシャツを着たオタ達も、「圧倒的なスタイル」では推しのグループなど関係なく、周りの知らない人と一瞬のアイコンタクトを経て自然に肩を組みあい、皆一緒に笑いながら単純なラインダンスをした。あの時の「共感」めいた感動は、今ここにある。勿論ドラッグ抜きで。


この日の「ラインダンス」は、ETV「Rの法則」地方アイドル特集回の縁でNegiccoと懇意になったアップアップ(仮)森咲樹が嶺脇社長に背中を押されて飛び入り参加、大いに盛り上がる。


  1. あなたとPop With You!
  2. トキメクMERMAID
  3. GET IT ON!
  4. ねぎねぎRock 〜私もお家に連れてって〜
    • MC
  5. アノソラヘ
  6. ニュートリノ・ラヴ
  7. Party On the PLANET
  8. 圧倒的なスタイル

Negicco / あなたとPop With You!



バニラビーン

長身痩躯とそれを生かす最小限に抑えられた振付というよりポージング的なアクションは、それはそれで面白いのだけれど、いしわたり淳治がシニカルな歌詞を書いた「サブカルガールまどか」では、少しだけ趣向が異なる感じのセクシーさがあって、セクシーに動くマネキンというだけで凄く可能性がありそうな気がしたのだけれど、rooftopのレポートでは「ジャック・ドゥミロシュフォールの恋人たち』のドヌーヴ姉妹」と的確に表現されていた。*1


嶺脇社長は「キラーキュイーン」を絶賛していたけれど、自分は新しいアルバムの「スコーネの花が咲いている」がとても気に入っている。Cymbals沖井礼二サウンドを高いレベルでトレースした爽快な一曲。


  1. ニコラ
    • MC
  2. ノンセクション
  3. チョコミントフレーバータイム
    • MC
  4. サブカルガールまどか
  5. 東京は夜の7時
  6. キラーキュイーン

バニラビーンズ / キラーキュイーン(MV)




最後は全員集合して森高千里「ジン ジン ジングルベル」をグループごとに古株から歌い継ぎ。LinQがステップを踏んだり、アップアップがタオルを回したりとその場でアクションを起こす中、最新参のライムベリーが「どうしようどうしよう」と焦るのを見てこっちまで焦ったけれど、無難にラッパーが手を上下させるあれをやって事なきを得た。当初12月にリリースされるとアナウンスされていたライムベリーの移籍第一弾シングルはどうやら先に延びたようだが、早く次の飛躍を見てみたくてその時が待ち遠しい。





HEY!BROTHER

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リボンをきゅっと

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恋のEXPRESS TRAIN

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  • アーティスト:Negicco
  • T-palette Records
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