読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Aerodynamik - 航空力学

はてなダイアリーからはてなブログへ移行中

観覧記録 KRAFTWERK「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」DAY 4「The Man Machine」@赤坂BLITZ





KRAFTWERKは、その存在自体がオリジネイターでかつイノベイターであると同時に、伝統芸能の如く「変化しない」という事が重要なコンセプトでもある。だから、「NO NUKES 2012」で「日本でも放射能」「いますぐやめろ」と日本語をスクリーンに表示し日本語で直接的なメッセージを歌ったことは、世界中のKRAFTWERKファンを震撼させた。*1


「変化しない」といっても、81年のツアーからステージ後部に配置されていた各メンバー分の4枚のスクリーンが2000年代に入って大きな1枚になったり、スタジオ機材全てをステージに持ち込んでいたものがVaioノートになり、そして今はタブレットになった、そういうアップデートは細かく行われてはいる。しかし、ステージに四人が並んで直立不動というステージングは、1974年のツアーから全く変わっていない。


基本的にセットリストすら定番曲で完全に固定化してしまっていたKRAFTWERKが、「Retrospective 1 2 3 4 5 6 7 8」と銘打って過去のアルバム8枚を一日一枚づつフィーチャーする8日間ライブをニューヨーク近代美術館MoMAで始めたのが2012年4月。これまでライブで披露されることの無かったアルバム曲を演奏、しかも長い間固定化されていたスクリーンの映像は3D化されたという。想像もつかなかったこの試みを、自分はただ指を咥えて羨ましがることしかできなかった。「NO NUKES 2012」で急遽来日が決まり、そのステージの一片を垣間見ることはできたが、当然幕張メッセでは3Dを展開することはできず、3D用にリニューアルされたシンプル極まりない映像を2Dで見るという味気無い思いをした。



そして待つこと一年、8日間3Dライブが遂に日本にやってきた。本当なら8日間全て観たい。固定された定番曲セットリストでしかライブを観た事の無い往年のKRAFTWERKファンなら尚更の事だろう。しかし、ファンも高齢化し、一日一万円のチケットは全て買えたとしても、8日間連続の有給休暇を取得することができないというジレンマを味わっているに違いない。自分も結局仕事の予定が読めず、この8日間で見る事ができたのは土曜日の「The Man Machine」のみだった。人気曲しかないアルバムで、過去のセットリストとほぼ変わらないという事を後悔するだろうとは分かっていたけれど。





@kraftwerk
Kraftwerk
1 2 3 4 5 6 7 8 - Tokyo - are you ready for eight 3D concerts ? link
@mikiko_san
MIKIKO先生
ク、ク、クラフトワーク link




愚痴はさておいて、雨の赤坂ブリッツ。1998年のKRAFTWERK赤坂ブリッツ3日間を「もう次に観られる機会はないかもしれない」と思い3日間全部観て以来、再び15年振りにこの会場に来たのがまたKRAFTWERKの為だと思うと不思議な気持ちになる。3Dコンサートなので、偏光フィルムの入った紙ペラの3Dメガネが観客に配布され、それをかけてライブを観ることになる。




今時3Dなど珍しくとも何ともない技術で、散々映画館で観てきたもののはずだった。しかし、ライブが始まった瞬間から観客が皆悲鳴のような歓喜を挙げるほどに驚きがあり、楽しさがあり、ライブ後もその興奮を語る勢いは止まることが無かった。何だったんだあれは。それこそ背景が飛び出して来たりするような子供騙しレベルのシンプルな3Dに大人たちは大騒ぎして喜んだ。
プロジェクションマッピング全盛の時代に、3Dの飛び出す映像という子供騙しレベルと見せかけて、その実はKRAFTWERKの楽曲やヴィジュアルコンセプトと同様に、シンプルさを突き詰めていった結果があの映像だった。シンプルさを突き詰め、線と記号とノスタルジックなユーモアだけを残した結果、それはそれまでのKRAFTWERKと同様に伝統芸能の域に達してしまっていたのだ。ハリウッド映画が大金を投じてリアルな3D映像を作り上げても、見慣れたロゴや記号が飛び出してくるというだけのシンプルな面白さの方があの場では上回ってしまっていたのは、日本人の感覚でいうと「能」と同じベクトルの、無駄な物/過剰な物を全てそぎ落とした結果に行きついた地平だけが見せる美しい世界なのだろう。



ツアー3日目から、スマホによるライブ写真撮影はフリーとなった。自分も記念に何枚か撮影してみた。しかし、3D用映像が投影されたスクリーンを撮影しても、当然ぼやけたものが映るだけで、あの立体の楽しさは微塵も形に残せない。Youtubeには各国でファンにより撮影された3Dライブ映像がアップロードされているが、当然ビタ一たりともあの興奮はYoutubeでは伝わりはしない。3Dに見えないからだ。もう一度見たい、焦る気持ちで持ち帰った3Dメガネを再び装着しYoutube動画を見てみたが、それも意味の無い事だった。だからこそ、KRAFTWERKはライブの撮影許可を出したのだろう。あの楽しい時間は、Youtubeの動画を見ても再現できないのだ。何も情報が無い事に慣れ切ってしまっているKRAFTWERKファンが再び味わってしまった興奮に対する飢餓感。どうすればいいんだ。




  1. The Man Machine
  2. Spacelab
  3. The Model
  4. Neon Lights
  5. Metropolis
  6. The Robots
  7. Autobahn
  8. Geiger Counter
  9. Radioactivity
  10. Trans-Europe Express
  11. Metal on Metal
  12. Abzug
  13. Numbers
  14. Computer World
  15. Home Computer
  16. Dentaku
  17. Computer Love
  18. Tour De France 1983
  19. Tour De France 2003
  20. Vitamin
  21. Planet Of Visions
  22. Boing Boom Tschak
  23. Techno Pop
  24. Musique Non Stop


人間解体(ザ・マン・マシーン)

人間解体(ザ・マン・マシーン)

ザ・カタログ(ボックス・セット)

ザ・カタログ(ボックス・セット)