Aerodynamik - 航空力学

はてなダイアリーからはてなブログへ移行中

観覧記録 南波志帆+タルトタタン/tofubeats「ナンバタタン・ノ・ズレテルナイト vol.3」@渋谷O-nest

http://natalie.mu/music/news/101599



南波志帆タルトタタンによる全五回の「ナンバタタン・ノ・ズレテルナイト」、三回目には遂にtofubeats登場。この夜はまさしく彼の為にあった。この日はO-nestにしては信じられない位にがっつりと低音が鳴っていて、それはtofubeatsサウンドに合わせてそうしたのだろうと思うけれど、おかげでタルトタタン南波志帆も、普段と違ってとてもセクシーにすら感じられた。O-nestのライブは低音が少なすぎると南波志帆のマネージャーと話したことがあるが、「あの箱の構造とスピーカーの能力で低音をブーストすると前方の客が耐えられない鳴り方になるからしかたない」、そう言っていたはずだ。しかしこの日はO-nestでこんなに低音が出るのかと驚くほどの鳴りで、「今日は低音をブーストしてみた」というその日のマネージャーは、ダンスフロアの共犯者だった。


タルトタタン

今回も鹿間水月+野佐怜奈の「暫定タルトタタン」編成で、最初からフロントマンは流動的なダミーのアゼル&バイジャンプロジェクトという設定でもういいんじゃないかと思ってしまう。佐藤なぎさが可哀相だが。


タルトタタンの「テトラッド」は実質的に真部脩一が一人で作り上げた世界だった、そういう意味ではかつての相対性理論をそのまま引き継いだ作風だったが、今作「グーテンベルクの銀河系」ではもう真部脩一が関わってはいないようで、西浦謙助が歌詞を書き、曲を書いているのはbloodthirsty butchersから吉村秀樹田渕ひさ子赤い公園津野米咲少年ナイフ山野直子というちょっと90年代の「オルタナ化する日本のロックバンド」のあの感じを思い出すテイスト。で、その豪華な面子の中で、坂部翔という人が書いている二曲「tokyo eyes」「蝶の舞」が断トツにいい。彼の名を全く知らなかったのだけれど、去年までSISTER JETでベースを弾いていて、今は台湾の相対性理論とかいうそのまんまな感じの杏窪彌(アンアミン)で曲を書いている。相対性理論とか進行方向別通行区分、来来来チームのような狭い感じで括れてしまうのかもしれないが、タルトタタンのこの二曲は、「Futurama」を出した頃のスーパーカーとか、解散寸前のユニーコンのような、ポップとオルタナが交錯して変に面白いものができてしまった瞬間の匂いがする。


  1. しょうがないマイラブ
  2. 某ちゃん
  3. 蝶の舞
  4. tokyo eyes
  5. ランララン
  6. サイバーサバイバー
  7. しょうがないマイラブ
  8. バーチャルディスコ

杏窪彌 / 夏天 DEMOver.


杏窪彌 /ひみつのみつ (demo)



南波志帆

何が良いって、セットリストに久し振りに聴く楽曲が入っているという事だ。それは、単に昔の曲をやります、とか、聴く側も最近の曲に飽きたとか、そういう話ではない。南波志帆の最大の魅力はその声質にあって、当然昔の曲はその声質ゆえの不安定さ拙さも含めた魅力だったと思うが、年を重ねて表現力を付けた今、それらを今の力量でもって歌い直す事にようやく本人が意義を見出した、という意思が見て取る事に意味がある。これはそういう選曲だ。ライブ後に「セットリストは南波志帆本人が組んでいる」とマネージャーに伺った。
今はっきり言ってしまえば、2013年の年頭に竹中夏海が振りを付けた楽曲群が披露された当初、それはライブ現場のファンにも、そして恐らくポニーキャニオン内でも大不評だった。おまけにそれを取り入れることに専念したのか、岩谷啓士郎/松江潤/須藤優/小松シゲル矢野博康といったいつもの息の合った面子によるバンド演奏もしばらく観る事ができなくなってしまった。不安だけが先行し続けたまま、カラオケと振付のライブが続いた。しかし、彼女は一年かけてそれを自分の表現の一スタイルとして消化し、またいつもの面子とは違うコトリンゴ/神谷洵平/村田シゲバンドで互いの呼吸を感じながら合わせて歌う貴重な経験も積んだ。ズレテルナイト2回目では、久し振りにいつものバンドメンバーの演奏で、そこに振付を交えて、それでも寧ろ新鮮な新しい魅力を得られたと常連にド真面目な顔で言わしめる魅力を放った。常連なんてもともと保守的な目で物を見ざるを得ない存在だから、この一年の不安な試みが確かな経験値になっているのは間違いない。


よくあの赤門の前を歩いた学習院女子大学の学園祭に「赤い公園」と共に出演するとのことで、「1000円でライブが見れるだけではありません。なんと、我が物顔で女子大に入れます!」と観客の苦笑いを買い、tofubeats君のことを「ビーツ先輩」と呼んでみたりしつつ直ぐ「トーフさん」と素で呼んでしまったり、MCのあの「間」は相変わらず巧みで。


  1. Ram Rider / VOICE -とおくのきみへ- starring 南波志帆
  2. 少女、ふたたび
  3. 宇宙の中のふたりぼっち
  4. 胸騒ぎの惑星
  5. 髪を切る8の理由。
  6. MUSIC
  7. 「ありゃりゃ?」
  8. ばらばらバトル
  9. トラベリンライト

南波志帆 - MUSIC


tofubeats - LOST DECADE feat.南波志帆



tofubeats

最初からタルトタタンをステージに呼んで提供曲「keep in time」。「豪華ゲストに頼るというね。ここからはノンストップですよ。」とライブスタート。東京女子流 新井ひとみをフィーチャーして「ワーナーミュージックからメジャーデビュー」の威力を見せ付けた「マジ勉NOW!」からアシッドやダブステップに流れて散々躍らせてからの「Don't Stop The Music feat.森高千里」「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」で大合唱、最後は南波志帆を呼んで「LOST DECADE」。50分。有り体に言うとあっという間の50分。「自分の作った曲を生で歌ってもらうのは初めてでした。なかなかいいブッキングでしたねー」とかすかしたこと言いやがって、そのままアンコールはタルトタタン南波志帆tofubeatsで「水星」。エモいという言葉は好きではないが、踊りながら泣く、泣きながら踊る、それはとてもエモーショナルな時間。
Perfume Night」にリモート出演したのって2008年だっけ?その頃と比べて、彼のスタンスもキャラクターも醸し出す多幸感も、あえて「多幸感」と呼ぶ、もうドラッグでヘラヘラしながらダンスフロアで知らない奴と抱き合っているあれを多幸感と呼ぶ時代でもなく、アイドルで高まるその気持ちを安易に多幸感と呼ぶのでもなく、あえて「多幸感」と呼ぶ、自分はこの言葉が好きなんだ、そしてトーフ君のその感じはあの頃と全然変わっていなくて、ただ今はあの頃よりずっと沢山の人がオンライン/オフラインでそれぞれの感情の一番青臭いところに彼の音楽を置いている、それはとても素敵な事だ。



tofubeats - Don't Stop The Music feat.森高千里


tofubeats - 水星 feat,オノマトペ大臣(PV)


dancinthruthenights - マジ勉NOW! feat.新井ひとみ(東京女子流)


tofubeats - 朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2012mix)





ASIN:B00BUMDT5K:detail
ASIN:B00F0CTOSM:detail