Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Rev. from DVL×きゃらふる 東京初単独ライブ@TwinBox AKIHABARA


  • 20131104 Rev. from DVL×きゃらふる 初!東京単独SHOWライブ@TwinBox AKIHABARA


現場系アイドルオタの遠征手段は大抵18切符か夜行バス、時間が無い人は金で時間を買う新幹線、それが相場みたいなものだったので、そういう意味では首都圏に集中するアイドルオタの移動はせいぜい大阪止まりだったのだけれど、2011年のLinQのデビューと同タイミングで始まったLCCの価格破壊競争により、大阪に夜行バスで行くよりも羽田-福岡間を飛行機で飛んだ方が安くて楽でその上観光が楽しい(ローカルアイドルは地元観光と密接な関係にある)というパラダイムシフトが起きてしまった。頻繁に福岡に通う都内在住オタも増え、今年のゴールデンウィーク、つまり「博多どんたく」の時期に沢山行われた九州インディーズアイドルイベントを観にLCCで福岡へ飛んだオタも少なくない。










ここ2週間でどれだけの人がこの画像を目にしたことだろうか。2008年位から続いているPerfume経由の福岡ドルオタブログの人が5月の「博多どんたく」イベントで撮影しブログに投稿した写真をソースに、*1 11/02に2chのニュース速報(嫌儲)板で「【速報】日本のアイドル界に天使が舞い降りた」スレッドが立ち、その日のうちに2chまとめサイトがそのスレッドのまとめ記事を一斉に投稿し、Twitterではその画像が拡散された。そこで、ネットで話題のネタを今年の4月から投稿しているNAVERまとめアカウントがそのネタを「【千年に一人の逸材】博多のローカルアイドルが、かわいすぎるとネットで大騒ぎ【橋本環奈ちゃん画像】」として投稿、この記事の「千年に一人の逸材」という煽りのインパクトも相まってこのまとめ記事自体が猛烈な勢いでTwitter上で拡散され、11/04の時点で橋本環奈は一躍ネット上で時の人となっていた。ネット上のコンテンツに関心を奪われ、全く勢いの無くなったテレビ業界も、一時期のネットへの反発から「ネットの話題の」という冠付きで双方向の共存を図る時代。11/05の時点でNHK「つぶやきビッグデータ」、EX「ネットHOTランキング」などネットのトレンドを扱うコーナーで橋本環奈が取り上げられ、その後CX「めざましテレビ」が慌てて食い付く。


NAVERまとめにはインセンティブ制度があり、アクセス数に応じて広告収益がユーザーに分配されるため、安定して高アクセスを狙えるアイドル画像まとめ記事が非常に多い。「千年に一人の逸材」を投稿したアカウントの人もこの件でおいしい思いをしたのだろうが、「かわいすぎる」や「美しすぎる」といったネットで使い倒されたよくあるタイトルではここまで注目を得られることは無く、「千年に一人の逸材」という大袈裟な煽りを付けた機微があり、そして拡散された画像がまたそれを裏切らないものだった、まあ何があるか本当に分からないものだ。


アクティブハカタは九州ロコドル運営の中でもベテランのくせに断トツに商売っ気もその手のセンスも無いところで、所謂ステルスマーケティングをしかけるようなITスキルも無い。スクール色が強くダンススキルの高いユニットが東京初ワンマンライブの会場にまともな低音も出せないTwinBox AKIHABARAを選ぶ時点でセンスが無い。素晴らしい楽曲があるのにCDをAmazonで売らない時点でセンスが無い。入手しづらいCDにはタイトルすら付けられておらず、「CD-A」「CD-B」と表記されていて匿名のテクノかというセンスの無さ。現在のアイドル運営において最も重要なコンテンツたるYouTubeもファン任せ。東京初ワンマンに合わせてファンが「奇跡の一枚」でスレ立てしたら大ヒット、それ以上の裏も何も無いと大抵のアイドルオタなら確信しているだろう。


Rev. from DVLの楽曲群、特にヴォーカルRie/トラックメイカーZunのユニットRiZ名義で提供されたものは、TRICK8fFantaRhyme擁するTRUST FUKUOKAに負けず劣らず素晴らしいもので、相変わらず福岡のセンスの良さに嫉妬しつつ、まともに流通させていないことに苛立ちすら覚える。となんだかんだ言いながら前売りチケットを買う。



東京初ワンマンは話題に乗って当日券が相当出て、入れなかった人もいたとのことで、キャパ公称200の箱(実際そんなに入らないだろう)はぎちぎちになり、最前5列分出ていた椅子を急遽3列片付けることに。入場の際にRev. 高橋菜々美の生誕イベント用としてファンからサイリウムを頂く。


ライブ開始、Rev. が13人全員、きゃらふる(元D-Little)は7名、ステージに登場してまず自己紹介から始まる。それもいわゆる一言付きの自己紹介で。長い。先に自己紹介を片付けてから、真っ赤なスパンコールの衣装を着たRevによる「シカゴ」とThe Revels「Comanche」を使ったタップダンスが始まる。なんだこれは。さっきの雰囲気とは全く逆ベクトルのいかがわしさ、ガチなスクール感。そしてまた残りのメンバーの自己紹介。進行の間が悪い。しかしそこからはMCを殆ど挟まずヴォーカル2〜4人/バックダンス3〜4人のグループが入れ代わり立ち代わりで怒涛の様にパフォーマンスを披露。しかも要所要所でタップダンスを組み込んでくる。ここがRev. from DVLの最大の拘りのようだ。


アイドルポップスからジャスやビッグバンド調への展開を盛り込むテクニカルな構成でありながら、スノッブ感を完璧に打ち消す圧倒的ポジティブで爽やかな超名曲「LOVE〜arigatou〜」、博多名物と観光スポットを詰め込んだロコドルご当地ソングにも関わらず、無理矢理感を出さずひたすら明るさで光り輝く「逢いにきんしゃい」といった至高の名曲も幾つか聴くことができた。また、きゃらふる「アップルパイ」の坂本龍一82年プロデューステクノ歌謡感の可愛らしさ。ダンスコーナーで使われていた倖田來未「POP DIVA」は、M.I.A.Mark Bell一人ユニット以降のLFOがプロデュースしたようなブリーピーな音で凄くかっこいいのだけれど、こういう下世話な楽曲をダンス曲に使うのもスクールな感じ。ダンススタイル、発声とリズムの取り方、ステージの進行、全てがダンススクール的。それらがユニットとして魅力的に働くかというとそれは別の話。きゃらふるに「行くぜっ!怪盗少女」をやらせる(しかも名前のコールを原曲のままで)、本気のタップダンス対決の後に、「ゴキブリを見たときのリアクション対決」をやるなど、こういうパフォーマンスに対する熱意以外のところが極端に雑なところが如何にもスクール感。大人の側に「アイドルユニット」として大きくさせようという感じが全く無く、メンバー達の若さと魅力だけで輝いている。あまり見慣れない風景に少し戸惑う。アイドルユニットが大きく共感を得る要素には歌やダンスの上手い下手などとはあまり関係が無い。ももクロはダンススキルや歌唱力を向上させて共感を生んだのではなく、100メートル障害走のような「全力」が感動を生んだのだろうし、スクール上がりのPerfumeに美学が生まれたのはどう考えてもスクール哲学の広島時代ではなく、上京して夢いっぱいのPerfume達のレコーディングでボーカルをフラットにするために中田ヤスタカが彼女達を泣かせながらヴォーカルブースの椅子に座らせたまま録音を始めた瞬間なのだろうし、ユニット自体の方向性にある種の「美学」を持たせないのはとても勿体無いと思ったが、それは単に自分がオーバープロデュースされたものが好きかどうかというだけのことなのかもしれない。とても素敵な楽曲が収められたCDなのに「CD-A」「CD-B」というタイトルでろくに流通していなかったり、ユニット名や楽曲タイトルレベルでの表記ブレがあったり、公式サイトのインフォメーションが放置状態だったり、Youtubeの公式チャンネルがろくに機能していなかったり、メンバー達の輝きと今の周囲からの注目/情報の求められ方を見ると、大人側の仕事の雑さがとても勿体無く思えるが、そもそもインディーズアイドルなんてそういうものなのかもしれない。



そういう運営の話は別として、がっちり歌えて踊れてパフォーマンスすることを心から楽しんでいるメンバーは美しい。白からブルーへのグラデーションの衣装も爽やかで、ごてごてし過ぎずしかし愛らしい、いいデザインだ。途中のMCで、移動バスの中からスカイツリーを観て写真を沢山撮ったという話から、「東京には綺麗な景色が少ないし、何を撮ってもビルが映り込んでしまう」という言葉が出てきてどきっとした。後半に向かって高まる気持ちの中で、いつサイリウムを使うタイミングがくるのかとどきどきしていたら、アンコールの2曲、そして挨拶もすべて終わり、メンバーが捌けてしまった。こんなことも初めてだったのでちょっと驚く。全てが終わってしまった後にオタが生誕メンバーを呼び戻してそこでサイリウムを使うという展開になり、呼び戻されたメンバーも「怒られるのかと思ったー」と笑う妙な微笑ましさ。


相貌失認の自分には橋本環奈を生で観ても「千年に一人」の可愛らしさを記憶に残すことはできなくて、見た目は衣装と髪型と髪飾りしか認識できず、「ハスキーな声と傍若無人なキャラで強引にトークを回すスタイルはモーニング娘。工藤遥だったなあ」という話を知人したら「そういう見方もあるのか」という反応をされたので、きっとみんな彼女の美しさを堪能して自分とは別のものを見ることができたのだろう。20名もステージに上がるのだから識別するなんて土台無理な話だが、相貌失認のアイドルオタなんて何が楽しくてドルオタやってるのかという自問自答。聞くところによると橋本環奈はトレイシー・ハイド久住小春を足したような顔だそうです。


  1. 自己紹介
  2. (タップダンス)
  3. The Revel / Comanche
  4. きゃらふる / スマイル
  5. LOVE〜arigatou〜
  6. 環状線
  7. 君だけのストーリー
  8. きゃらふる / ママのニューバッグ
  9. らりるれろLOVE
  10. きゃらふる / アップルパイ
  11. 倖田來未 / POP DIVA
  12. ももいろクローバー / 行くぜっ!怪盗少女
  13. きゃりーぱみゅぱみゅ / PONPONPON
  14. 真夜中の日記
  15. きゃらふる / 恋愛急上昇
  16. きゃらふる / あなたがいっちゃん
  17. Wanna be
  18. 宝物
    • EN
  19. きゃらふる / カラフルガール
  20. 逢いにきんしゃい

Rev. from DVL "Love ~arigatou" @博多どんたく博多リバレイン アトリウムガーデン


Rev. from DVL "逢いにきんしゃい" @博多どんたく博多リバレイン アトリウムガーデン


Rev.from DVL「LOVE〜arigatou」


Rev. from DVL「逢いにきんしゃい」


Rev.fromDVL「拝啓おやじ様」




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