Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 アイリス(by MORADOLL) 1stCDリリース/nanoCUNE/ゆるめるモ!「アイドル・フィロソフィー VOL.4」2部@渋谷Club Asia

http://www.great-hunting.com/event/20140119_idf.php



渋谷円山町のライブハウス、Shibuya-O系列とasia系列を比較すると、asia系列はどこもフロア以外の居場所に困る位に狭苦しく、例えアイドルイベントであろうと物販スペース隣が喫煙所みたいな配慮の無さも含めて、居心地の良さはShibuya-O系列に軍配が上がるのだけれど、音の鳴り方に関して言えば圧倒的にasia系列の方が好きだ。基本的にヒップホップ系に合わせたPAなのだろうか、繊細な表現力は全く欠けているけれど、ざらついてパンチの強い音が鳴る。特に低音域は歪んだ塊が打ち付けてくるような鳴り方をする。そういう箱でライブアイドルを観ると、客の方も3割増し位のテンションになっているような気がする。



アイリス(by MORADOLL)

腰痛のためリーダーが脱退、しかしそれはもう「テクプリ」ではない、として仙台ロコドルテクプリの活動を終了させ、残る三人によって新たなユニットが立ち上がった。公募して選ばれたユニット名「アイリス」は、ギリシャ神話の虹の女神イリスから取ったのだろう、まさに東北で最も美しいユニットの名に相応しい、しかし今の時代における鉄則「ウェブ検索で不利にならないこと」という点に関してはとことん無配慮で、声優アイドルi☆Risやらなにやらとの混同が面倒臭いのでアイリス(by MORADOLL)と表記しておく。一般名詞をユニット名に付けてしまうのは今の時代においては流石にちょっとどうかとは思う。
トベタ・バジュンによるテクノポップサウンドを特徴としたテクプリだが、トベタ・バジュンは楽曲プロデュースから離れ、今後アイリス(by MORADOLL)もテクプリ楽曲を引き継ぐことは無いという。トベタ氏は「つりビット」の総合プロデュースに引き続き、石川のロコドルJumpin'から脱退したエース浜田彩加を中心に再びテクノポップユニットを始動予定。*1


ではアイリス(by MORADOLL)の楽曲はどうなるのか、と調べていくと地元仙台のスタジオ/楽曲制作会社経由で仙台長町ファンク研究所という名前に辿りつき、仙台のイベントで披露された曲はディスコ回帰×EPOという堪らない感じ。今回の東京初ライブイベントで遂にCD発売ということで、居ても立ってもいられずチケットを買い、開演前に物販に駆け込み、また先走ってメンバーがいない物販でCDを買って、アイリス(by MORADOLL) デビューCD購入者第一号になった。



真っ白でふわふわのスカートのドレス、胸元や腰には薄紫のリボンとアイリスの花のコサージュデコレーション(見た感じ菖蒲というよりジャーマンアイリス)を上品にあしらった、80年代アイドルというよりもクラシカルな60年代コーラスアイドル、それこそThe Supremesの香りすらする衣装に身を包みステージに三人が登場し、「はじめまして」「ただいま」の挨拶と共に「魔法の呪文」「アイリス」を披露。二曲どちらともスイートなディスコファンクポップで、ピュアでドレッシーな衣装と合間って、古き良きサウンドの情景と優しさに満ちている。シンセベースのうねり具合、ドラムのフィルイン、鳴くトーキングモジュレーター(っぽいヴォコーダ)、ディスコファンク素人の自分にも細かいところまでファンク好きが作っているのが分かるいい曲。
ライブアイドルの楽曲はライブ披露が前提なので基本的に「エンディングがパキっと終わってすぐ拍手」という作りになっているが、この二曲とも、リズムが抜けてから抒情的に終わる20秒近いアウトロがあって、その作りも寧ろ斬新だ。そのアウトロで、ゆっくりと観客に背を向けて並ぶ三人の美しい後ろ姿を、良質なポップスの余韻と共に噛み締める、この余韻はとても芳醇なものがある。アイドルポップスはももクロに続けとばかりに「全力全力」と唱えすぎて、勝負曲のテンポは上がっていくばかり、126BPMのゆったりとした上質なディスコポップがこれほどに贅沢な物になるとは。

  1. 魔法の呪文
  2. アイリス


「アイリス」(by MORADOLL) 仙台放送まつり2013




ライブ後、メンバーがまだ物販にいないのを幸いと、その場にいらっしゃった作曲者、礒村淳氏に話を伺う。今回は完全生歌、録音も仙台長町ファンク研究所の生演奏、ねちっこいシンセベースはKorg Kronos手弾き、ソフトシンセ無し、もう出来ている次の二曲はぶっといP-Funk路線。それをあのメンバーが歌うのだからどうなるか期待しかない。物販スタッフの女性は実はヴォイストレーナーの先生で、「あの子たち歌は結構巧いのよ、ほら前はああいう声だったけど」「まああれはそういう音自体が味ですから」などと話を伺いつつ、先生も初めての物販とのことでチェキの電源の入れ方をこちらが教えたり。今の持ち歌二曲はかなり高いキーを要求するのでかなり大変そうではある。



話の中で作曲者礒村氏から「Washington D.C.の『GO-GO』シーンを掘れ」との啓示を頂いたので、早速Youtubeと配信でその辺りの音源を漁ってみる。便利な時代だ。後にグラウンドビート/ニュージャックスウィングそしてヒップホップに繋がるスウィング/シンコペーション強めのリズムと展開の少なさが特徴的なパーティーファンク。



Trouble Funk - Pump Me Up (1982)

Chuck Brown And The Soul Searchers - Back It On Up (1983)


Familiar Faces - The New Dance 1985. 12" version


The Pied Piper of Funkingham - Clap Song - 1982


Rare Essence - Body Moves (1982)



nanoCUNE

初期のテクノポップ/トランス色が強い楽曲から、アルバム「天上遊園」ではかなりロック寄りになり、それもひめキュンフルーツ缶とは全く別の、若さと青さが鋭利にひりひりと痛みを伴って響く、世代的にスーパーカーNUMBER GIRLを思い出すような楽曲を打ち出すようになった。「思考錯乱」「S.O.S.」辺りはフロアで聴くとTHE MAD CAPSULE MARKETSみたいな進化の仕方に思える。ライブではAutoTuneがきつくかかったヴォーカルのリップシンクをやめ、生歌になっていた。今のサウンドなら剥き出しの声の方がずっといい。

  1. 抹殺ロック
  2. 碧の世界
  3. 思考錯乱
  4. 嘘つきライアン
  5. 衝動DAYS


nanoCUNE - 碧の世界 @ iDOL BUNCH Vol.3


nanoCUNE 「ミイラ男とフランケン」 @ SHIBUYA-AX



いずこねこ

相変わらず独自路線過ぎる。新譜にはミニマルなマリンバのフレーズが増えて、単純だからSteve Reichを連想したりするのだけれど、このトラックでインテリ臭さを排してここまで盛り上がる現場は素晴らしい。

  1. white clock
  2. e.c.l.s
  3. BluE
  4. last cat factory
  5. e.c.i.n。


いずこねこ BluE 131229


いずこねこ 朝が来るまで終わる事の無いダンスを 131229



ゆるめるモ!

ゆるめるモ!に加えて、箱庭の室内楽からハシダカズマと上野翔のツインギターが参加。


クラウトロックオタを飲み込む「SWEET ESCAPE」を初めてライブで見る。Klaus Dingerのアパッチビート/ハンマービートが淡々と10分間のエイトビートを刻み、箱庭の二人は深いエコーの効いたドロドロの轟音サイケギターをかき鳴らす。Neu!のMichael Rotherの代打にManuel Göttschingを呼んで、LSD入りの7upセッションをやっているかのようだ。(もっともNeu!のレコードはConny Plankが編集したからああいうものになっているだけで、ライブはストイックどころかやっぱりドロドロなんだけれど。)
ゆるめるモ!はバレエを取り込んだ不思議妖精ダンス。全員がメイド服とセーラー服の中間の様な白黒衣装に身を包み、バレエの様に舞いながら座り込んだ一人を儀式のように囲んで周りを輪になってくるくる回るパートや、最後にLSDでラリったかのように互いを突き飛ばし始め服を脱がし合う、まさに過剰なオカルト感がヤバい。Amon Düülのようなカルトコミューンの中に少女達を囲ってドラッギーな音楽漬けにしていくかのような演出がやばい。アシッドテスト。この子たちがヤホワ13みたいなライブを始めたらどうしよう、いやそれはベルハーに期待か。


ステージ上で唯一動きがおかしい挙動不審な「あの」という子に目を奪われた。

  1. ゆるトロ (slo-モ!)
  2. SWEET ESCAPE
  3. なつ おん ぶる〜

ゆるめるモ!with ハシダカズマ(箱庭の室内楽)『SWEET ESCAPE』@新宿LOFT 20140105


ゆるめるモ!(You'll Melt More!)『SWEET ESCAPE』MV


ゆるめるモ!X箱庭の室内楽 / 虎よ(MV)


ゆるめるモ!X箱庭の室内楽 / 木曜アティチュード(MV フルver)




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