Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 富士山ご当地アイドル 3776(みななろ)「フューチャーアイドルゲート Level17 NIGHT」@池袋Dot

http://idol-planet.com/live/201401/27-figlv17n


  • 20140202 フューチャーアイドルゲート(FIG) Level17 NIGHT@池袋Dot


2012年、静岡富士宮市が市制70周年記念事業の一環として「わが町のAKB」オーディションを開催、04/29 記念事業オープニングセレモニーでの最終審査を経て合格者24名が発表され、自治体公式アイドル「TEAM MII(チームエムツー)」が誕生した。*1 *2 民間資本のローカルアイドルと地元観光協会が提携活動をしたり、有名アイドルを自治体が観光親善大使に任命したり(鹿児島の柏木由紀や神奈川の新垣里沙のような)、あるいは自治体が「ミス○○」的な観光大使を設置するのはよくあることだけれど、自治体が直接公式アイドルグループを作るというのは聞いたことが無い。逆にそういう物を企画して「公費の無駄遣い」「ジェンダー的に云々」と非難を浴びて計画だけに終わったというニュースの方はたまに見かけることがある。「TEAM MII」に関しても自治体にその手の意見が相当来ていたようで、まあそれは公共事業なのでさもありなんというか。こういう企画が通った方が驚きというか、それ位に「AKB」という存在に代表される「現象」が人口に膾炙したというか。なお、富士宮市は毎年「ミス富士山」も選出している。*3


2012/06/02に地元のイベントで初ステージ、*4、公共事業(実質ボランティア)なので活動は地元イベントのみ、70周年記念事業なのでグループの活動も一年間限定、2013/03/24 市役所内で招待制の「TEAM MIIさよならステージ」をもって解散。結局自分はこのグループのステージを観ることは無かったが、解散後の04/28になってリリースされたシングル3枚を耳にして度肝を抜かれた。XTCがMichael Lücknerとアイドル楽曲を作って、それをベルリンのMorr MusicやUSオークランドのn5MDからリリースしたような、そんなストレンジロック/シューゲイザーエレクトロニカ楽曲。しかもライブでそれをやっているという。こんな趣味的過ぎるアイドルが公共事業として活動していたことに唖然とする。市役所の担当部署は実際どこまでこのプロジェクトに関与していたのだろう。公共事業らしくプロデューサに丸投げだったとしか思えない。丸投げが故に生まれた奇跡というか。



TEAM MII - 湧玉池便り


TEAM MII - やっぱり君ともそのうちバイバイ


TEAM MII - ノートブックの私


2013/1定期公演 04:30から「やっぱり君ともそのうちバイバイ」



リリース済の音源はレーベルサイトで全曲試聴/通販可能。
http://namarecord.com/



TEAM MII解散後、引き続きプロデューサ石田彰氏の元で富士山の世界文化遺産登録に乗っかって後継ユニット「富士山ご当地アイドル『3776(みななろ)』」が活動中。メンバーの増減もかなりあるようで、募集要項には「お金はかかりません」「いつでも、やめられます」「オーディションはありません」をコンセプトに掲げている。正直すぎる、実際のところアイドルはよほど大きい事務所にでも所属していなければ学業両立が困難になったタイミングで辞めてしまうのも当たり前なのだからそんなことまで明言しなくてもとは思うが、まあこれはこれである意味においては誠実な形なのかもしれない。


今年の年頭から流通が始まった「3776」としての1stシングル「私の世界遺産」もとんでもない代物で、UKニューウェーブプログレ組曲みたいなひねくれ展開や変拍子シューゲイザーや過剰なダブ処理、そして近田春夫的ラップの掛け合いまで詰め込み放題、それなのに何故か王道ギターポップに聴こえるという意味ではやっぱりXTC的でもある。高校生の他愛もない会話を暗喩でシュールに組み立て上げる言葉選びのセンスも独特。ライブパフォーマンスも動き回り演劇のように展開し、細かい所で妙に可愛い。物販で手持ち無沙汰になったメンバー達が3拍子/7拍子/7拍子/6拍子の「mi-na-na-rock」の変拍子カウントアップを始め出した時は悶え死ぬかと思った。

  1. 君と一緒に登りたい
  2. やっぱり君はそうさバッチリさ
  3. 心配のタネ
  4. 私の世界遺産


3776 - 私の世界遺産


3776 - ゆるメーター