Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 360°Premium LIVE「コトリトナンバ 〜コトリンゴ+南波志帆〜 ワンマンライブ」@代官山LOOP

http://ameblo.jp/liveloop/entry-11772439629.html



ヴァレンタインの時期は「フリージアとショコラ」企画のおかげで毎年南波志帆のライブを観ている。前回の真夏日から半年振りに、*1 コトリンゴバンドと南波志帆による「コトリトナンバ」ライブが実現。金曜日の定時に会社を出ると、既に都心でも雪が積もり始めていた。関東全域に広がったこの冬二度目の大雪。ビジネススーツに仕事の鞄を抱え、底面つるっつるのビジネス靴を履いて、谷だの山だのと地名が付けられた場所に向かおうとか、本当に馬鹿げている。都心は坂道だらけだ。会場に向かうまでに重たい雪の中に足を捕られ、坂道では何度も転倒する。ビジネススーツでも履けるブーツとかないのだろうか、などいう以前にそれなりの靴で出社して履き替えればよかった。この日打ち合わせをした取引先の人は靴にはめるスパイクを持っていたが、必要なのはビジネス靴に付けるスパイクや、滑らない機能付きのビジネス靴ではなく、そこまでしてビジネス靴を履こうとする行為自体があほらしいという自分と世間の意識改革だ。



必死の思いで会場に辿り着いたころには既に10センチ近くの積雪が。




今回は代官山LOOP名物「360°ライブ」という事で、前回の狭くてステージも客も緊迫感あるステージから一転、フロア中央に機材がセッティングされ、観客は360度それを直ぐ近くで囲むという贅沢なスタイル。この夜にピークを迎える積雪、帰れるかどうかも分からないというのにそれでもこの愛すべき音楽の為に集まった人達には、既に妙な一体感が生まれていた。大雪の中でここだけ暖かい場所、ホームパーティのように柔らかな空間、リハーサルを覗いているようなリラックスした演奏、バンド越しに他の観客の笑顔を観るというなかなか無い体験のライブは、ゆったりと親密な空気を湛えながら進んでいった。半年前のあのきりきりとした緊張感が嘘のようだ。


前日の「南波志帆赤い公園」でPerfumeチョコレイト・ディスコ」のバンドカバーが披露されていたので、この日も何かあるだろうと思っていたが、南波志帆からの提案でコトリンゴ「chocolate」が選曲された。バンドも嫌がるという7拍子の難しい曲で、南波志帆も提案しておきながら実際に歌う立場になって初めてその難解さに気付いたというが、右手を普段より小刻みに動かしリズムと音程を取りながら歌いこなしてみせる。NONA REEVES小松シゲルのタイトな演奏を軸にした南波志帆バンドとは違い、手数が多くとてもカラフルで賑やかだけれど、騒がしさよりも子供の様なピュアネスが先に立つ神谷洵平のドラムをはじめとした、個々が自由奔放で即興性/ジャズテイストの強いコトリンゴバンド。この自在に揺れ動き続けるグルーヴを必死に掴んで歌う、「今まさに鍛えられている」感のある南波志帆の声を聴くのもこのイベントの醍醐味。淡々と透明な少女だった彼女も二十歳を越えて一つ一つの言葉の色を濃くしていく。「まつひと」では普段よりもより情感的な空気に、コトリンゴもコーラスを入れることすら忘れてのめり込んでしまう。基本的にコトリンゴ提供曲とピアノ曲が中心の選曲の中で、前回の「プールの青は嘘の青」に続いて今回のキリンジ選曲は堀込高樹提供「お針子の唄」。


コトリンゴタイムでは、ラグタイムっぽいアレンジでの「メトリポリタン美術館」、そして後半のインプロが圧巻の「Classroom」。「姫姉さま」、と再び呼び戻される南波志帆コトリンゴから見ると南波志帆ナウシカっぽい雰囲気があるようだ。松田聖子天国のキッス」の宮川弾アレンジカバーは、microKORGから流れるチープなカシオトーンサウンドと村田シゲ&神谷洵平によるドゥワップアレンジが施され、よりほのぼの感が。


コトリンゴと村田シゲの夫婦漫才に南波志帆が加わってツッコミが二人になり、バンドメンバー紹介はこの組み合わせならではの即興伴奏からの即興コント付き。やっぱり「チョコレイト・ディスコ」のフレーズも飛び出す。最後には国生さゆり「バレンタインキッス」のサービス。時期的には「オーロラに隠れて」なども聴いてみたかったが、このバンドでしか出せない自由な即興感のある生演奏が故の芳醇さは、打ち込みシンセポップスとはまた違う世界。アゼル&バイジャン西浦謙助と真部脩一プロデュースのタルトタタンとの共同イベントから発展したユニット「ナンバタタン」ではふぇのたすヤマモトショウがプロデュースを担当、松永天馬が参加したりとサブカル方面にも展開する一方で、このコトリンゴとのユニットは保守的な良心として大切に続けていってほしい。



結局この日、途中駅まで進んでみたものの、除雪車もその類の設備も備えていない中央線は日を跨ぐ前に止まったまま運転復旧ならず、吉祥寺ですら25センチを超えた記録的な積雪、停電して空調が切れ凍える車内で一晩を明かそうとする人達と暫く車内で粘ってみたものの、体力的に無理と早々に諦め、駅近くのバーを渡り歩いて翌日昼過ぎの復旧を待った。




南波志帆コトリンゴ+ベース村田シゲ&ドラム神谷洵平

  1. 南波志帆 /クラスメイト
  2. 南波志帆 /会いたい、会いたくない
  3. コトリンゴ / chocolate
  4. 南波志帆 / みっつの涙
  5. 南波志帆 / お針子の唄


南波志帆コトリンゴ

  1. 南波志帆 / Wannabe
  2. 南波志帆 / まつひと


コトリンゴ+村田/神谷

  1. コトリンゴ / おいでよ
  2. コトリンゴ / classroom
  3. 大貫妙子 / メトリポリタン美術館


南波志帆コトリンゴ+村田/神谷

  1. 南波志帆 / 天国のキッス
  2. コトリンゴ / つくりごと
  3. 南波志帆 / ふたりのけんか
  4. 南波志帆 / anselm
    • メンバー紹介
    • EN
    • 抽選(チョコレート・サイン入りポスターなど)
  5. 国生さゆりwithおニャン子クラブ / バレンタインキッス


コトリトナンバ 360°LIVE「まつひと」@ 代官山LOOP


コトリトナンバ 360°LIVE「anselm」@ 代官山LOOP




コトリンゴ「ツバメが飛ぶうた」


コトリンゴ「classroom」


NATURAL BEAUTY BASIC × 南波志帆 「天国のキッス


南波志帆「クラスメイト」


国生さゆり - バレンタイン・キッス