「細野晴臣の歌謡曲20世紀BOX」インタビュー。
http://20thbox.com/
このBOXは6枚組。当初4枚組でスタートした企画らしいのだが、曲目を見ると、どうせアーカイブとして後世に残すなら10枚組で全仕事入れてもいいと思ってしまう。
テクノ歌謡についての部分。
−いわゆるテクノ歌謡。いまだにモンドな人気が高かったりしますね。
細:まあテクノの面白さって、ほんとに初期の頃だけだったんですよね。稚拙な、解像度の低い時代。だんだんそれをリアルな音像に近づけようっていう風潮でいまにいたるという。テクノ歌謡ってのは、そのプロセスの中で咲いたはかない花みたいな印象がある。いまPerfumeがやっていることは、それを踏まえた上では戦略的なものだと思っていますけど。
70年代末から80年代初頭にかけての劇的なシンセの進化の波と、「テクノ」の面白い時期が同期していて、そしてFairlight CMIでテクノは死んだ。その美しい時期にテクノ歌謡が存在していたからこそ、テクノ歌謡は面白い。
よく御大が使う「機械と格闘する」という表現に則るならば、以降の面白い時期は80年代末から90年代初頭の初期ハウス歌謡*1で、95年くらいのテクノ歌謡*2で、2000年前後のエレクトロニカ歌謡*3だ。例えが陳腐で申し訳ないけれど。
Perfumeを語る際に使われる「テクノポップ」「テクノ歌謡」というのは既に概念でしかない。言葉がないので仮にエレクトロ歌謡と呼ぶとしても、ベースにある「エレクトロ」も、タワレコ新宿店にはご丁寧にコーナーまであるけれど、機械と格闘しているかと言われると個人的にはどうもそんな感じはしない。雨後の筍のようにエレクトロ歌謡が現れたけれど、正直もうブームまではいけないという気がする。中田ヤスタカのエレクトロとの格闘は「Sugarless Girl」辺りでもう完成を見ている。彼が引き続き歌物の楽曲を作る時に格闘しているのはAutoTuneとなによりHarmony Engine相手であって、素人が素でAutoTuneをかけても全く太刀打ちできない音作りがあるけれども、それもいつかは定型化してしまうのだろう。
いくら戦略的にやっているとはいえ、テクノ歌謡が「プロセスの中で咲いたはかない花」である以上、いつか現在のPerfumeサウンドは飽きられる。その時期は案外早くに訪れる気がしている。その時にまだヤスタカが音を作っているのだろうか。ヤスタカは次のプロセス、新しい格闘相手を見つけているだろうか。
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