Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「母なる証明」(MOTHER)韓国 2009年公開



立川シネマシティにて鑑賞。土曜の夕方にもかかわらず客席はガラガラ、客層はウォンビン目当てと思われるオバサンや若い女性。
ポン・ジュノらしく、田舎臭くどんくさい底辺層の人間、下劣な上流層の人間、無能な公務員、全員駄目人間としての人物描写が素晴らしい。また、オフビートなのにテンポの良い独特の編集が今作は冴えまくっている。2時間全く物語から気が離れることがない。
「知的障害を持つ息子の冤罪を晴らそうとする母親」を追うミステリー作品であるが、サスペンスとしても秀逸な手の込んだ脚本、単なる狂気に終わらない母性と業の深さ、泣かせるだけではない親子の絆、距離を置いた心理描写、乾いたユーモアのセンス、全てが秀逸。母親役のキム・ヘジャの存在感というか異物感が凄い。


韓流と持て囃される「恋愛と泣かせ」だけの韓国ドラマにアレルギーを持っている人にこそ、ぜひこの作品は見て欲しい。「傑作」と綺麗にまとめられない、重たく異物感の残る素晴らしい作品。