Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli)アメリカ 2010年公開 PG12



この作品は何かを語ると即ネタバレになるので感想を書きづらいなあ。


予告編の情報は以下の通り。核戦争後の荒廃した近未来、デンゼル・ワシントンがある一冊の本をどこかへ届けようと旅をしている。旅の途中のある街を支配するゲイリー・オールドマンもその本を探している。そしてその本を巡って両者の争いが始まる。


確かに内容はこれだけだ。二人の大物演技派俳優を配したことで見れる映画にはなっているが、演出も安っぽく単調、カメラワークもぱっとしない、アクションシーンも単純な作り、物語は平坦で大した盛り上がりもなく、サスペンス映画と銘打たれているほどのサスペンスも無い。予告編のような「アクションとサスペンス満載」を期待してしまうと、多分つまらない映画の類になるのだろう。エンドロールが始まるとともにほとんどの人がさっさと席を立っていた。脚本の方も挙げていくときりが無い位、至る所に突っ込みどころ満載なのだが、まあそういう作りの甘い映画だ。「荒廃した世界」をあれこれ駆使して頑張って作っているのは分かるのだが、今ひとつ生々しさに欠け、「見せる映画」としては若干物足りない。


しかし、個人的には、この映画はやや退屈でありながらもなんともいえない感慨を与えてくれた。なによりこの映画が描こうとしたテーマには、観た後も色々と考えさせられるものがあった。このテーマは見る人を選ぶだろう。
「ある本」が何であるかは言えないが、その本を運び続ける信念と使命感、その本が文化を失い荒廃した未来に残されていく事の意義、人類の再生と繰り返す歴史、非常に様々なものに心を動かされる。
「ある本」の中身についても、賛美と批判の両面が語られており、その本が人を支配する道具にも、人を救う道具にもなりえるがゆえに、非常に危うい存在であるという視点がはっきりしており、単なる勧善懲悪物という枠に留まっていない。


ただ、その肝心の本について、ある程度の知識がないと、あちこちに張られた伏線の意味を理解できず、メッセージを掴みきれないかもしれないなとも思う。辿り着いた目的地でその本がどうなるのか、その辺りも理解できずに「なんじゃこりゃ」になるかもしれない。また、「これはプロパガンダ映画だ」という感想も見たが、それはこの本に関する幾つかの細かい演出を見落としているのだと思う。誰もが一度は聞いた事のある有名な本ではあるものの、ちょっと万人受けするネタではない。




テーマ以外にいい所を挙げるとすれば、ヒロイン役のウクライナ美人、ミラ・クニス。可愛さとかっこよさを兼ね備えた女性。似たキャラのアンジェリーナ・ジョリーより好みだな。あと、幾つかある派手なアクションシーン、どれもデンゼル・ワシントンがめちゃめちゃ強すぎてちょっと萎えてしまったのだが、最後にあれは某邦画のオマージュなのだと分かって鳥肌。