Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 南波志帆 初主催ライブ@代官山UNIT




この期に及んでまだ南波志帆に触れていないCymbalsNona Reevesのファンがいるのなら、それはとても残念なことだ。同情の念すら覚える。土岐麻子と沖井礼二と矢野博康を同じステージで見ることはもう無いのと同じように、17歳の輝く南波志帆は、今しか見ることが出来ないのだから。


8月に初めてのワンマンライブを成功させた南波志帆が、今回は初の「自主企画」という名目で、「冬の学園祭」をテーマにイベントを開催した。UNITのフロアは人で埋まったが、前方でもゆったりと踊るスペースを確保できる程度で、動員は300人強位かと思われる。30代から50代位までのシティポップス好きなおっさんが中心の客層だが、中には同じ学校の友人達や、ホリプロ繋がりと思われる驚くほど可愛い女の子達も。学園祭ということで、「実行委員長 南波志帆」からのメッセージや時間割(タイムテーブル)が記載されてた「お楽しみプログラム☆」を入場時に手渡され、気恥ずかしさにくらくらする。


初めて観たHALCALIは、これまでのイメージ以上にトラックのビートがしっかりしていてとても踊れる上に、二人のラップがとてもスムース。キャラも立っていて面白い。「ストロベリーチップス」「今夜はブギーバック」などの他に、ゲスト西寺郷太の「Zig Zag Saturday Night」も。コールのタイミングも知っているHALCALIファンは、ステージ前で陽気に踊っていたが、南波志帆ファンは基本棒立ちなので、異様な温度差が。


そしてその温度差がやばいことになったのが、DJとして登場したNona Reeves西寺郷太の時だ。「南波ちゃんの準備が整うまで俺がフロアを暖める、暖めすぎたら御免な」と威勢良くDJプレイをスタートしたはいいが、一発目のAlien Ant Farm「Smooth Criminal」に会場ドン引き、早くも「誰だこいつ早く終わらないかな」的空気に。西寺も焦って超有名曲を連発するも、南波ちゃんのライブですら基本棒立ちの観客は、9割がたが冷め切った顔をして棒立ちのまま。余りにも冷え切ってしまったフロアを何とかしようと「分かりやすい選曲に努めています」「今かかっているのはStevie Wonderです」などとDJがマイクで喋りだすほどの異様な状況に。その時のプレイリストが傑作すぎるので載せておく。7曲目まで涙目の郷太が見えるだろうか。

  1. Alien Ant Farm / Smooth Criminal
  2. Chas Jankel / 愛のコリーダ
  3. Gloria Estefan / Conga
  4. Wham! / Wham Rap!
  5. Michael Jackson / Billie Jean
  6. Stevie Wonder / Do I Do
  7. Kanye West / Paranoid
  8. Nona Reeves / パーティーは何処に?
  9. New Edition / Mr. Telephone Man
  10. Shanice / I Love Your Smile
  11. The Blow Monkeys / Digging Your Scene


マイクで熱唱を重ねたり振り真似をしたりと色々煽って、とても面白いプレイを見せてくれたのだが、それでも棒立ちスタイルの観客に、彼はとうとう最終手段に出る。自分の曲をかけ、それをバックにマイクを握り、「自分は今日の出演者、ハルカリと南波ちゃんの両方に曲を書いている。それに南波ちゃんバンドのドラムとは高校時代からの間柄なんだ」と自己紹介を始め、先日読売新聞にインタビューが掲載された、その新聞紙を持ち出して来て、観客にわざわざそのページを開いて見せ、「俺はどこぞの馬の骨とは違うんぞ」「志帆ちゃんも今日は僕の曲をやってくれるはず」とアピールをする始末。確かに南波志帆が好きでもその作曲陣にまで興味が無い人には、彼や彼の選曲にも興味が持てないだろうから、この位の情報を公式Twitterで先に振っておいてもいい位だ。見たことも無いような状況に、情けないやら可笑しいやらで大いに楽しませてもらった。あと、「Telephone Number」は「南波」に掛かっているのではないかと勝手に気付いて一人でげらげら笑いました。


各40分の前座のあと、南波志帆バンド登場。今回もキーボードは渡辺シュンスケ、ドラムにNona Reeves小松シゲル、ギターに岩谷啓士郎、ベースは須藤優。


前半をしっとりと聴かせたワンマンライブとはうって変わって、スタンディング会場らしい選曲、それに加えて演奏がやたらと荒削りでダイナミック。小松シゲルのドラムはいつも以上にファンキーで、「ケーシー」のギターも荒く走る。そんなバンドを従える南波志帆は、自称「床屋さん」、70s風の斜めのトリコロールストライプのワンピースに、トレードマークのサイドテール。観るたびにそのステージングは成長してゆくが、今日は荒れるバンドを乗りこなす安定感すら感じられた。動物のぬいぐるみがぶら下がったピンクのカオシレーターソロもいつもより長めで激しく、「みたことないこと」では電子音に耐性の無い客が軽く引くくらいに派手なプレイを見せた。不安定な橋を渡る様をどきどきしながら見つめる時期はもうそろそろ過ぎて、これからは才能が開花するのを楽しむ余裕さえ与えてくれそうだ。
相変わらずの「重ねて感謝いたします」などと妙に大人びた単語の混じる不思議なMCで、観客はみなデレデレ顔。ライブ中も観客はほとんどが棒立ちだったが、この人たちはこういう楽しみ方をするのだろう。だって皆最初から最後までとても笑顔だったのだから。


もちろん西寺郷太の提供した佳曲「不思議なミラー」「それでも言えない You & I」も披露。メジャーデビュー以降、キリンジ堀込高樹おおはた雄一などの提供するソフトな路線の曲が多くなったが、そちらの渋めな方向に傾倒するにはまだまだ早いと思う。やはり南波志帆の10代の魅力を引き出す、西寺楽曲のポップでダンサブルなセンスがまだまだ彼女には必要だ。



  1. ストーリー
  2. スローモーション
  3. 会いたい、会いたくない
    • MC
  4. 不思議なミラー
  5. きっとすべては夜のせい
    • MC
  6. オーロラに隠れて
  7. ごめんね、私。
  8. サンダル (カオシレーター
  9. それでも言えない You & I (カオシレーター
  10. みたことないこと (メンバー紹介&カオシレーター
  11. 楽園にて
    • EN
  12. Bless You, Girls!


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