Aerodynamik - 航空力学

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観劇記録 「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network)アメリカ 2010年公開 PG12



立川シネマシティにて鑑賞。圧倒的に面白い。「Facebook」、その開発者マーク・ザッカーバーグ、そして彼を取り巻く人々の物語。クレイジーな起業家というよりも、自分が面白いと思うものにしか興味が無い、生粋のエンジニア気質。挨拶すら省いて実装に没頭するエンジニア、広告を拒んで美しさを優先させる美学、サービスが形になっていく過程、天才エンジニアと、その独善的な天才っぷりに同期出来ない保守的な凡人達の悲哀と軋轢。ウェブシステムの開発のスピード感そのままに、疾走感溢れる編集と会話の応酬で描かれる、天才の悪行。ザッカーバーグと、共同創設者CFO、そしてあのNapster創設者の三角関係。全てを手に入れ、そして引き換えに失うもの。全システムエンジニアにお勧めの作品。


ここで描かれるザッカーバーグは本当に屑な、色々と欠落した人間であるけれども、エンジニアにとってはあまりにも魅力的な男だ。完全に彼の立場で見ていた。Facebookが立ち上がっていく、その異様なまでの面白さ。自分がSIerに入ってやりたかった事はこれだったんだな、という事を思い出す。もっとも、ビジネスを後回しにして面白い事を形にしていく彼らとは、「コンピューターを使う」という以外に共通点のなど無く、そもそも自分には起業家になれるほどのバイタリティも傲慢さも無いのでそんな会社にしがみつくしかないのだけれど。


Facebookが立ち上がる場となる、ハーバード大学の空気もつぶさに描かれる。天才ギークと対照的な、アメリカのエリート大学の閉鎖的文化を垣間見れるのもまた面白い。頭脳/体力/家柄による階層、エリートだけが招待される社交クラブの排他性、逆にそれを逆手に立ち上がるFacebook。学園青春物としてもなかなか興味深い。