観劇記録 「イップ・マン 葉問」(IP MAN 2)香港 2010年公開
新宿武蔵野館にて鑑賞。ブルース・リーの師父である詠春拳大師イップ・マンの香港での姿を、日本でなかなか主演作の見られないドニー・イェンが演じ、共演・武術指導にはサモ・ハン・キンポー。香港カンフー映画の伝統を受け継ぐ素晴らしい出来。ドニーの繰り出すシンプルな詠春拳の動きの美しいこと美しいこと。家族と正義を愛する穏やかな人物というキャラクターも意外にも良フィット。そして59歳のサモハンが全く遜色なく動きまくるのには、もはや感動的ですらあった。川井憲次の音楽も雰囲気よし。カンフー映画ファンはぜひ押さえておきたい一作。
現地でタイトルが出るまで気付かなかったのだが、今作「イップ・マン 葉問」は原題「IP MAN 2」、つまり続編の方だった。一作目に当たる「IP MAN」は、2009年度香港映画賞最優秀作品賞を受賞し、近年最高のカンフー映画と呼ばれる評判だったのだが、それを見に行ったつもりが続編だったのでちょっとびっくりした。
今作「イップ・マン 葉問」は、英国人を悪役として、「蹂躙される中国人のプライドを取り戻すため闘う」という、強烈に中国ナショナリズムを煽るストーリーなのだが、前作「IP MAN」も日本軍を相手に据えて全く同じストーリー構造なので、タイミング的に敢えて反日的作品の公開を避けたのだろう。*1
本編公開後に「IP MAN」の予告編が流され、本編の動員が5000人を超えたら、「IP MAN」を「イップ・マン 序章」として劇場公開する旨が伝えられた。なんとかラインを超えてくれればいいのだけれど。ということでみんな劇場に見に行こう。