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映像制作専門誌「映像+」の「Music Video&CM」特集号は、LADY GAGAの作品と、児玉裕一&関和亮を取り上げている。画コンテと解説が豊富に掲載されていて、映像制作に関わる人は必見。「アイドル映像の作り方」として、ハロプロライブを舞台にコンサート映像とカメラワーク&スイッチング解説も。
関和亮氏の作品解説は、柴咲コウ「無形スピリット」、サカナクション「アルクアラウンド」、PUFFY「R.G.W.」、ねごと「カロン」。
そしてPerfumeは「ポリリズム」から。
First Impression
どちらかというとジャケットのイメージの方が先に出てきてまして。互いに相手の顔を持っているという、人の手が次の人の手を触っているという輪廻転生するような、ループするイメージ。だから途中でグラフィックが乗っかるんですが曼荼羅のモチーフが出てきたり。プラス、戦略的に、こういう子達が歌っていますよ、というのをアピールする必要があったので、アップを多用しています。最初で最後かな、と(笑)。この曲でブレイクしたので、名刺代わりになった曲ですね。
リサイクルのロゴマーク的な循環構造、ポリリズムのあのジャケットのポーズから、輪廻転生、曼荼羅へ。
顔アップは当時「ブレイクにあたって世間に顔を売らなければならない」という話をよくしていたが、あれは事務所の戦略上の都合。ハロプロのPVに良くあるような、こちらを向いて歌っている顔のアップのカット、あれはもうPerfumeには不要だ。
Explanation
Perfumeとの出会いは、「モノクロームエフェクト」のジャケット撮影。最初プロデューサーから、まだ無名の女の子3人組、インディーズ・アイドルなんだけど、ジャケットをやってみないかと言われて。まだ若かったし、色々やってみたい年頃だったので、是非やらせてください!と。今年で結成10年、メジャーデビューしてからはまだ5年なんですけど、その時はみんな15歳、本当に元気で芸能界に憧れる若い女の子でした。僕は映像もやるんですよ、と言ったら、その次の曲からMVもやることになり、今に至る感じです。今ではお父さん的な存在ですかね、いじられてますよ(笑)。映像に関しては、こういうことに挑戦してみたい、と毎回聞くようにしてます。こちらの提案に対しても、あまりこれは嫌だ、とかはなく、それにプラスしてこういう衣装を着てみたい、とディスカッションして作っていく感じですね。
Perfumeの一番の魅力は、3人のキャラクターだと思ってます。3人のイメージ付けはあまり意識してないですが、結果的に映像に素がそのまま出てきているので。あ〜ちゃんはとっても女の子っぽいし、かしゆかはクラスで人気のタイプで、のっちは「それは違うと思うよ」と言うと「何でですか?」と本気で突っかかってくる男の子タイプ。この衣装やビジュアルでこの踊りを、誰か別の人たちがやっても、決してPerfumeにはならない。やっぱりこの3人のキャラクターでないと駄目なんですね。
最近の関×PerfumeのPV制作は、やはりディスカッションして形を作っていくスタイル。監督のアイディアのトップダウン的なヤスタカや児玉氏の制作スタイルとは異なる、いい意味で温めの温度感の元。
そしてもう一つ、「不自然なガール」。
甘すぎないレトロフューチャーなモード。MIKIKO先生のヴォーギングが象徴的。
最後にコメント。
PerfumeのMVは全部好きですが、自分が結構見返すのは「チョコレイト・ディスコ」。なんでもないときにふっと見ています。五角形で鏡の間を作って手前をマジックミラーにして、そこにレーザー光線を打って。レーザーって人に向けたらいけないんですが、それをど頭からやってます(笑)。CGは一切使ってません。いまだと光がちかちかしすぎると規制がうるさいんですが、当時はまだ大丈夫だったんで、そういう意味ではやり切れた曲ですね。
見るからに低予算でも観るものを惹きつける「チョコ」PV。今でこそPerfumeのライブにレーザーは必須だが、当時のライブでは西脇さんがよく「レーザー酔い」を訴えていたのが懐かしい。