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中田ヤスタカ「パッと聴きでよく聴こえる音楽はつまらない」@Sound & Recording Magazine 11年8月号

http://www.rittor-music.co.jp/hp/sr/


Capsule10周年記念として、連続対談の一回目は中田ヤスタカ×福富幸宏。普段一切自分のルーツを語らないヤスタカだが、福富幸宏に対しては「対談したいアーティストとして中田が真っ先に名前を挙げた」とのこと。なるほど。


気になったのは、リミックスに対する考え方の流れからの部分。

中田:リスニングでは普通だけど、フロアでは短すぎる感覚ってありますよね。僕は基本的にポップスを作っているつもりなんですけど、いつも尺を気にしている……”こここはもうちょっと長くしてもいいんじゃないか”っていう風に、次の展開に行くまで引っ張って高揚感を出したりして。


あとは、時間をかけて音楽を聴くことを世間に思い出してほしいというのもありますね。このご時世、音楽に向き合う時間がみんな減っているので、少しでも長く音楽を聴いてほしい。今のリスナーたちは着うたとかで”音楽をちょっと聴く”事が多いと思うんですけど、パッと聴きでよく聴こえる音楽を作ろうとするとダイジェストみたいな音楽になっちゃって、つまらないんですよね


福富:僕もパッと聴きで引っかかるような曲を作ろうとは思わない。常に時間軸があって、その流れにリスナーがどう入ってきてくれるかということを意識している……そこはクラブとよく似ていて、大きな流れをDJが作って、お客さんは出入り自由というのと同じ。

つい先日、少女時代を始めとするK-POPのキャッチーなフックソングの話をしていた時に、「どれを聴いてもJ-POPにありえないキャッチーさが凄い」という話に「どれもこれもキャッチー過ぎてすぐ飽きる」と返されて割と驚いたので、この「パッと聴きでよく聴こえる音楽」についての考え方が非常に気になった。J-POPのフィールドで勝負しなければならないPerfumeの楽曲ですらも、西脇さんに言わせれば「右から左へ抜けてゆく」のがヤスタカサウンドな訳で、着うた世代に訴求するキャッチーさとは逆の方向を向く彼の意識というのは、所謂ヒットメーカーとしての扱いからは遠い位置にいる。




Pizzicato Fiveといえば「キャッチー」だが、そのキャッチーとは非常に遠いところにいる福富幸宏ミックス。「時間軸」という表現が相応しい。




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