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Aerodynamik - 航空力学

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中田ヤスタカ「AutoTuneをオートで使うヤツには"ナメるな!"と言いたい」@Sound & Recording Magazine 10年4月号

music

http://www.rittor-music.co.jp/hp/sr/


買って放置していたのでもう次の号が出てしまった。


7ページに渡るロングインタビューは、「最近のエレクトロについて」「一人でマスタリングまでやることの意味」「欲しいツールMacbookの前に置きたくなる様なデザインで、Motifの鍵盤がついた高級USBキーボード)」など多岐に渡り、なかなか面白い。お馴染みのスタジオ写真も満載だが、現スタジオに飽きたので気分を変えるために現在新スタジオ準備中ということだ。




ロングインタビューの中から、AutoTuneに言及している部分を。

−Cubese 5ではオーディオ・リージョン内でピッチ補正ができる機能=VariAudioが加わりましたが、それは使っていますか?


使ってますね。リージョンを細かく切ってピッチを変えるよりも、リージョンの中で波形の微妙な長さを変えながら補正できていい。(中略)
作曲者が歌えるようになったというか、ニュアンスも自由に操れるようになった。そのまま本チャンに使う場合もあるし、例えば歌入れのときに、"こういう風に歌ってよ"っていう見本として僕がエディットしたものを聞かせたりします。

−そのほかにピッチ補正で使っているツールは?


Cubese 5にプラグインとして付いているPitch Correctも使ってますね。ただ、Pitch Correctはナチュラルなので、もっとはっきりかけたい時はAntares AutoTuneを使います。AutoTuneのほうがまっすぐにピッチを直して"修正してるぜ!"って感じになる。(中略)


ただ、僕は最近そんなに硬さを求めてないんです。そもそも僕はオートでかけない。オートでかけてるヤツには、AutoTuneをナメるなと言いたいですね(笑)。作曲で使うなら、オートでかけちゃ駄目だと思うんです。補正としてうっすらとオートでかけるならいいと思うんですけど、たまに"これ、オートでかけっぱなしだろ!?"っていう曲があるんですよね。あれはAutoTuneをかけただけで満足している。ピッチ補正するにしても"歌って"ないといけないんですよ。例えば、ドからレにメロディが移る時に、滑らかに行かないで、"ド・レー"ってなるじゃないですか。それが"ドー・レー"なのか"ドゥ・レー"なのか、前後に合うキーと長さを調節するのはオートでは無理。あり得るとしたら、AutoTuneの効果をモニターしながらうまく歌えるシンガーだったらいいかも。まあ、歌い手さんにそれをさせるのもどうかと思いますけどね(笑)。


Capsuleのボーカリストこしじまとしこさんはピッチ補正を前提に歌っているわけですよね?


昔は、そのままAutoTuneをかけながら全曲歌ってもらってましたね。最近は普通に録って、そこから補正をかけるようになりました。まあ、もともとピッチ補正を売りにしているわけでもない・・・・・・AutoTuneを使うための音楽をやっていたわけじゃなくて、普通の声だと馴染まない音楽だったので、オケに合わせるためにボコーダーとかAutoTuneを使うようになっただけ。いかにオケと声の一体感を出すかというだけで、ディレイやリバーブと一緒の感覚なんですよね。


−本作は過度なピッチ補正が少なくなりましたよね。よりナチュラルなかけ方というか。


オケに合わなくなってきたんですよね。多分、周りの音と合えばAutoTuneも使うんですよ。使うのが嫌なわけじゃないので。でも、今はAutoTuneがちょうどいい音楽をやってないからでしょうね。少なくとも、”AutoTueかけたら楽しいよね”っていうノリじゃないのは確かです。海外のヒップホップなんかは特に、”俺、初めてAutoTune使ってみたぜ”っていう曲多いじゃないですか。今までナチュラルな女の子としか付き合ってなかったのに、いきなりギャルと付き合っちゃったみたいな感覚(笑)。周りが”前の彼女の方が絶対にカワイイって”っていっても聞く耳を持たなくて、要素に興奮しちゃってるみたいな。メガネを取ったら平凡な”メガネ男子”とも感覚的に似てますね(笑)。まあ、AutoTuneは興奮できる要素って事でいいんじゃないでしょうか。


まあ以前から一貫して言っているように、「オケに合わせるためにAutoTuneを使う、オケに合わなければ使わない」というスタンス。手段か、目的か、というところは変わらない。巷に氾濫している大抵のAutoTuneサウンドは、先にAutoTuneを使った「今風の」サウンドスタイル、という目的ありきなのだが、それを「無理してギャルと付き合ってる感」というのは随分面白い例えだ。


Perfumeのブレイクは、保守的な日本のポピュラーミュージックシーンにおいて「ああJ-POPでもAutoTuneを露骨にかけてもいいんだ」というブレイクスルーを生み、いわゆるテクノポップPerfumeフォロアーだけでなく、アメリカのR&BやHipHopを意識したサウンドとしてメジャーシーンでAutoTuneが使われはじめ(MIKIKO先生もPVに参加しているChemistry「Life Goes On」あたりが印象的)、最近では韓国のポップシーン、K-POPの流行を経由した形で、ジャニオタの中でも賛否両論を呼んだKAT-TUNThe D-Motion」のようなとんでもない曲がリリースされたりと、サウンドの進化に大いに貢献した(特に心理面で)。


テレビでやっている下らない芸能人物まね番組で、女性タレント三人がヘリウムガスを吸いながら「ポリリズム」を歌うというネタをニ度ほど見た。世間的に「Perfumeサウンド=変な声(AutoTune)」がネタとして通じるほどの知名度になったことにも感慨めいたものを感じるが、まあCapsulePerfumeの新曲を聴いても分かるように、方向性としては「AutoTuneかけてます!」的なものでは無くなりつつあり、そもそも物まねされるような飛び道具としてAutoTuneが使われていたわけでもなく、Perfumeにおいてここまで世間に定着した「アーティストイメージとしてのAutoTune」を固持していくという考えは、ヤスタカにはさらさら無いようだ。




Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2010年 04月号 [雑誌]

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