Aerodynamik - 航空力学

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なぜシングルCDには「インストバージョン」が収録されるのか


シングルCDには、「Instrumental」バージョン、要はヴォーカル抜きバージョンが収録されていることが多い。
あれは一体どこに需要があるのだろうか。


そもそもこんなことを思ったのは、Perfumeポリリズム」を買った時だ。
それまでのPerfumeの作品にはインストが収録されていなかったのに、「ポリリズム」から唐突に収録されるようになった。1月発売予定の新作も、インストが収録される予定だ。


それまでの作品と「ポリリズム」以降は何が違うのか。
ポリリズム」は、NHK・ACという大型タイアップが付いた初めての曲であり、所属レコード会社がブレイクを意識したシングルであることは間違いない。
とすれば、より大きな間口である大衆に受け入れられる為の条件として、レコード会社はインストの収録が必要と考えてたということか。


大衆がインスト収録を望んでいるとすれば、一体そこに何を求めているのだろう。




記憶を辿ると、90年代の空前のカラオケブームの頃には、インストは「カラオケ練習用バージョン」として認識されていたような気がする。
しかし、実際にそのトラックでカラオケの練習をした経験はない。それは自分個人の問題か。
当時使っていた安いミニコンポにも、ヴォーカルを消す機能が付いていた。これはおそらくセンターに位置されている特定周波数をざっくり落とすだけの機能だと思われるが、気味の悪いエフェクターとして時々遊んでみたくらいの覚えしかない。


もっと遡って80年代の頃はどうだっただろう。
当時は歌謡曲のレコードを買っていなかったので分からないのだが、持っていたほんの数枚について言えば、歌謡曲のシングルにはインストは収録されていなかったような気がする。この辺は知らないのでなんともいえない。
インストが収録されなかったのは、7インチレコードの収録時間に由来するものなのかもしれない。
確かあの頃は、カラオケ用のインストを収録したカセットテープが多数売られていたはずだ。カラオケ「ボックス」文化はなくとも、酒場や家庭でカラオケは愛好されていた。シングルレコードに収録されずとも、別の形態でカラオケ需要があったのか。


先日のタモリ倶楽部で取り上げられた、歌謡曲のインストディスコアレンジを収めたレコードも、70年代当時はかなり需要があったようだが、あれはカラオケではなく、イージーリスニング、BGM的な利用をされていたものと思われる。


謡曲を離れてダンスミュージックについて言えば、12インチレコードに、インストのロングバージョンが収録されていたものが多かった。
これは、ディスコでかけてもらうという目的があったのだろう。




カラオケにあまり興味がない人間にとって、インストバージョンの魅力は、単にヴォーカル抜きというよりも、オルタネイティヴバージョンとして、バックトラックの面白さを十二分に堪能できることだ。
YMOは、テクノ歌謡を意識したアルバムをリリースする際、わざわざヴォーカルをシンセに差し替えたインストバージョンのアルバムをもう一枚リリースしたことがある。


また、インストバージョンに他の曲のヴォーカルを被せる、またはオリジナルバージョンとインストの差分を利用してヴォーカルトラックのみを抜き出し、他の曲へ被せる、いわゆるマッシュアップのネタとしても重宝する。
先述の「ポリリズム」についても、様々なリミックスやマッシュアップが作成され、ニコニコ動画にアップされている。
ヒップホップではマッシュアップを前提としたアカペラバージョンが収録されることも多いようだ。
ただ、このあたりの需要はそう多くはないだろうし、著作権的にも問題が多く、レコード会社が進んで収録するとは考えにくい。




やはり歌謡曲/J-POPにおいては、カラオケを好む層への対策としてインストの需要があるのだろうか。
あるいは、安易な曲数の水増しの為なのか・・・。


つまらないがそれ位しか思いつかなかった。
このあたり、ぜひid:gotanda6さんに考察していただきたいものだ。