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Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 WIRED CLASH@新木場ageHa

music event

http://www.wireweb.jp/wiredclash/
http://www.ageha.com/schedule/detail.php?id=20140906


  • 2014906 WIRED CLASH@新木場ageHa


@Takkyu Ishino
Takkyu Ishino/石野卓球
今年のWIREは無いヤー。 link


夏の終わり、9月初頭に毎年続いてきたテクノの祭典WIRE、昨年は15回目という節目の年を迎えた。大規模レイヴとしては少し遅れてのスタートだった1999年当時はまだ学生で、90sテクノカルチャーの洗礼を浴びれるだけ浴びた自分も同様に15年分歳を取った。ジャンルは変化と細分化を繰り返し、リスナー層は高齢化していき、そしてエレクトロやダブステップ、EDMがメジャー音楽シーンを席巻しても、それでもWIREは頑なにドイツ産テクノ祭りであり続けた。そして今年、遂にWIRE横浜アリーナでの開催を断念した。恐らく「その日」であったであろう日の昼に横浜アリーナで開催されていたのは、アイドルの祭典「@JAM EXPO」だった。


WIRE」と、ageHaで行われてきたテクノパーティ「CLASH」との連名という形で行われた「WIRED CLASH」には、確かにいつものWIRE的な面子が揃った。それは演者側だけでなく、客層もだ。正直ここまでテクノカルチャーが若者に支持されていないことに絶望した。もうここ数年のWIREは最早同窓会でしかなかった。頑なに一つのジャンルを貫くフェスがあってもいいはず、しかしいまや「ロックフェス」がロックのフェスティバルを意味しなくなったように、テクノ祭りもその意義自体を見直さなければ、自らの居場所すら失うのだ。




ageHa [14/9/6 Sat.] WIRED CLASH

WATERエリアにて話題の泡パーティーが開催!!
ビキニでご来場の女性の方は入場料金2,000円!!!


こんなくそちゃらい企画がなされ、煙草売りのローラースケートの女性達がいつもより溢れる一方で、近年のWIREに必須のスペース「椅子」が撤去され、メインフロアARENAには横浜アリーナで開催できなかった鬱憤を晴らさんとレーザー10本とスクリーン10枚が持ち込まれ、ビジュアルの情報量が凄いことになっていた。ageHaオクタゴンスピーカが鳴っている時の音に関しては文句のつけようもないが、それでもヴィジュアルの力が音を上回り過ぎているという異空間。WIREはドイツの大規模屋内レイブ「MAYDAY」を参考にして始まった、屋内フェスであるおかげで、何度かの台風直撃でも何事も無く開催された。この日も夜はずっと雨が降り続けていた。しかし今の日本ではこのクラスの箱が分相応だ。あとはEDMを幕張メッセの各種イベントに任せて、もう一度テクノは地下へ潜ればいい。





Gonno : ISLAND

スーぺイシーでパーカッシブなテクノセット。


Gonno - ACDise #2



Frank Muller : ARENA

元々彼のスタイルだとしてもここで懐メロ大会なのは色々と辛い。アラフォーテクノおじさんテクノおばさん同窓会と懐メロ大会みたいで死ぬかと思った。よく言えばサービス精神なのかもしれない、しかしここがWIREというよりクラブカルチャー、そして自分自身を見直したくなる時間になるとは。


F.U.S.E. - F.U.


Dave Clark - Wisdom to the Wise


Slam - Positive Education


Joey Beltram - Energy Flash



Shin Nishimura : ISLAND

シャッフルビーツ。

Ryo Nakayama : BOX

テックハウス空間。

A.Mochi -live : ARENA

インテリと暴力、鋼鉄重戦車。


Len Faki - Death by House (A. Mochi Remix)



San Proper : ISLAND

今回の変人枠。アムステルダムのSan Properの奇人っぷりが素晴らしい。ブースの中で酔っぱらって裸のままずっと変な踊りをしながらオールドスクールなシカゴとアシッドとミュータントハウス、そしてDJしながら裸で愛を歌う。ずっと歌っていた。


Randee Jean - YOU GOT IT (Dexter & Awanto3 mix 2)


Fallhead - Audiogen (Pierre Deutschmann Remix)



DVS1 : ISLAND

広いバーカウンターとISLANDを仕切るカーテンが降ろされ、真っ暗なスペースに男前鋼鉄テクノが鳴り響く。


Butch : WATER

明るくなった小雨のプールで踊る。朝のプールサイドで小雨に濡れながら一緒にサイケデリックトライバルハウスで踊っている人達がどう見ても遊び人しか居なくて最高。




最後に、「see you next year」はどこにも出なかった。毎年の楽しみになっていたWIREガールもいなかった。恒例のWIREコンピも出なかった。もうそういう時代は終わった。


15年も続いたドイツテクノ祭りが遂に途絶えた今年、Ultra Music Festivalが日本に上陸してTIFと同じお台場で大騒ぎしているのは、何と言うか、もうダンスミュージックが自らに課す変化と進化の宿命みたいなものだ。
先日Aphex Twinが13年振りにアルバムをリリースした。だから何だというんだ。あれが今のエレクトロニックダンスミュージックシーンに何か影響を与えられるとでも?EDMに対するDaft Punkからのディスコフュージョン回帰という最高の反動ですら、EDMシーンの巨大なビジネスには全く影響を与えられなかった。しかし15年後に今のEDMがまだ聴かれているかというと、そんなことも無いだろう。
15年前の自分だって、KRAFTWERKのリリース国違い盤を集める人達を嘲笑っていた。あの人達は音楽を聴いていない、そう言って笑っていた。踊る事だけがひたすら崇高なのだと思っていた。ダンスするための電子音楽はこれからも進化と変化を続けていく。それがショービジネスに繋がるかどうかなど関係の無い地下シーン、そして今はネット上で。
自分が本当に聴きたい音楽は一体何なのだろう。カリスマ的に流行していたYMO周辺の音楽ばかりを90年代になっても聴いていた人達を、1999年の自分は「耳が止まってしまった人達」だと軽く軽蔑していた。今ではそれを若者にありがちな視野狭窄と笑うこともできる。
アシッドハウスハードミニマルドラムンベーストリップホップ、日々生まれていく新しい音楽を聴くこと、追い付く事に必死で、過去を参照する余裕など無かった。しかし、今自分が15年前のシーンや音楽を語ることは、自分が学生時代に嫌っていた70sプログレ至上主義者や80sテクノポップ狂信者の言動となんら変わらない。恐ろしい事だ。

童(わらべ)のときは
語ることも童のごとく
思うことも童のごとく
論ずることも童のごとくなりしが
人となりては童のことを捨てたり


新約聖書『コリント人の信徒への手紙 一』13章11