Aerodynamik - 航空力学

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「何故J-POPばかり聴いていてはいけないのか?」にふと思うこと

http://d.hatena.ne.jp/nyaaano/20060816/p1


チャゲ&飛鳥のようなJ-POPは、「ヴォーカルの歌うメロディー」という絶対的主体のもとに成り立っており、感受性の平坦化・画一化を招く。
一方Corneliusのような曲は、絶対的主体が無く、人によって受け取るメロディも違う。
それは一つの物事に対して複数のアイデアの発想につながり、生活意識が高まる。



という主張。
中学生の頃によく同じようなことを言ってはうざがられた覚えあります。


もちろんJ-POPじゃなければいいかというと、そういう訳でもなく、実際に自分達が普段メディアを通して耳にするような「洋楽」、それは「インスト」であっても、同じように絶対的主体に支配された音楽がほとんど。
じゃ、J-POPばかり聞いてるのと何が違うかと言えば、ヴォーカルの歌が日本語じゃないので、頭の中ではヴォーカルとその他の音が明確な区別をもって分別されず、次第に他の音にも耳が行くようになる、俗っぽいが、いわゆる「洋楽耳」になる。


だから、洋楽を通過してJ-POPを聞くと、ヴォーカルのメロディーだけでなく、サウンドプロダクション自体に興味が湧いてくる。
チャゲアスも、ストリングスの使い方が凄いよなあとかね。


はい、ここまではよく言われる自明の事実。



曰く、J-POP耳の治療には「映画音楽やクラッシック、またはジャズ、テクノ、ポストロックなどを聴いてその曲の中で鳴っているあらゆる音を聴いてみましょう。」との事ですが、これはもうJ-POP耳が直っている人にしかできないのではないでしょうか。
この「あらゆる音を聴いてみましょう」の部分って、実は結構難しい。
多分聴き込む前に飽きてしまう。楽しめないなら聴かないよね。


主旋律ばかり追って満足するカラオケ的聴き方からはそう簡単には抜けられない。
特に映画音楽はその傾向が強そうだ。クラシックの人もたまにメインの旋律原理主義みたいな人がいる。
ポストロックもバンドによっては意外とカラオケ耳で聴けそうな気がする。
かといっていきなりジャズはちょっとハードル高いね。




じゃ、テクノはどうなのかというと、これは素人にはお勧めできない。
これを通過すると、ヴォーカルはもちろんのこと、メロディーもリズムも重要ではなくなる。
なんかゴーとかピーとか鳴ってるだけで満足になってくる。


何が問題かというと、変人扱いされます。
好きな音をかけても人から嫌がられます。趣味友ができません。
ネットが普及してない、専門誌も存在していなかった頃は、本当に心細かった。


「テクノ耳」が酷くなると、ついには「音が鳴って無くても満足」という域に行ってしまいます。。
いわゆる「4分33秒」耳。
こんなの誰も理解してはくれません。ライブに行って「4分33秒」演奏されたら、金返せといわれて当然。
ヤン富田がライブで「4分33秒」ライブエディットとかやってましたが、あれもネタだから聴けるんであって、最初から最後まであの調子じゃきつすぎる。



あーなに言ってんだろ、書いててわかんなくなってきた。
要は、ビーイング系ばかり聴いてると音楽の深みが分からなくてもったいないけど、深みにはまりすぎると危険なので、両方聴こうよ、ということです。
つまりお前らPerfumeのアルバム買えと。
アイドルソングとテクノが微妙な位置でバランスを保ってるのでいいお薬になりますよと。




※参考
John Cage4分33秒」のフルオーケストラによる演奏。これは貴重な映像だなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=I3f0g93D7dc&


意外にも感動した。人間の咳がこんなに音楽的だなんてなあ。
あと客が退席するときのざわざわがなんかやたらかっこよく思えてくる。