Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 LAMA 1stアルバム「New!」発売記念フルメンバー初ライブ@渋谷タワレコ

http://www.lama.jp/




くるりは文学 ナンバーガールは哲学 スーパーカーは神話」、というコピペがある位に、ある世代にとってのこれらのバンドの影響はとても大きいものだ。身近な言葉ではとても語れない。まるで自分の生き方そのものにまで影響を与えている位だから。だから、2010年代に入って、スーパーカーから「iLL」ことナカコーと、フルカワミキナンバーガールから田渕ひさ子が集まって、最後にドラムの代わりにagraph牛尾憲輔を入れて、新たにバンドを立ち上げる、というニュースを聞いた時は、驚きのあまり自分の耳を疑った。


ライブは、5分遅れで始まった。アルバムのレコーディング風景を淡々と映した映像が10分ほど流される。実験的でありながら、和やかな空気。アニメが好きな牛尾が教えたのか、ナカコーがアニメ「けいおん!」劇中歌「ふわふわ時間」をギターを弾き、牛尾が歌っている。ドキュメンタリーはノイズで終わる。


そのまま静かにステージに現れた四人。全く顔を合わせず、観客を見る事もない。再びノイズが場を満たす。そしてゆっくりとベースの音が立ち上がってくる。


ナカコーとフルカワミキは、ソロとあまり方向性は変わらず。NYANTRA、iLLなどで見せる、狭い世界の中での箱庭的世界で、閉じたギターとベースを鳴らする。そこに、生気のない、冷やりとした質感の牛尾の電子音と電子のビートが垂直に絡んでいく。熱さやグルーヴを後ろに隠し、クールで整った端正なリズムを正確に刻む。全くそこに揺らぎはない。一方で、酷く歪み、悲鳴のように生々しく、肌にひりひりとした痛みを感じるほどの、田渕ひさ子のノイジーなギターが被さり、不協和音を生む。


MCも客の煽りも一切なく、ただノイズを鳴らし、鳴らしっぱなしでそれぞれが自分のタイミングでステージを降りて行った。客とのコミュニケーションを一切拒むような、そんな神経質で張りつめた重い空気。観客がアンコールを求めて拍手したが、それに応えることもなかった。

  1. Warning
  2. Cupid
  3. Night Telepathy
  4. Spell
  5. Blind Mind
  6. Fantasy
  7. Dreamin'


四人揃ってのライブは今日が初めてとなる。しかし、まだこの時点では、この牛尾と田渕という、ある意味ナカコーとフルカワミキバンドであるLAMAに色を付けるべく存在する、両極端な存在にもかかわらず、それぞれ別の事を主張するだけだったし、それが止揚を生んでこのバンドに面白さを与えるところまでは達していなかった。つまり、まだぎこちない関係にある、ということばかりが前に出ていたように思う。アルバム自体も、ナカコーとフルカワミキのソロを合わせただけのような内容だ。しかし、このバンドに変化と深みを与えるのは、やはり牛尾と田渕に他ならないはずだ。特に、バンドにドラムの代わりになるリズムが欲しいからと抜擢された牛尾。彼がもっと、LAMAに変化を与えてくれることだろう。それこそ、後期スーパーカー以上に。シングルに収録された、「SPELL」の牛尾によるリミックスは、その片鱗を見せている。きっと、彼らにしかなしえない新しいサウンドを聴かせてくれる、そう期待して待っている。




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