Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 スマイル学園 電音部UNDER FACE ラストライブ「Changes UF into Deep Mind」@アメ横アイドル劇場

http://ameblo.jp/smilegakuen/entry-11829381074.html
https://www.facebook.com/official.page.smilegakuen/posts/742957489103884



スマイル学園内の部活ユニット電音部UNDER FACE、デビューがいきなりWOMBでのワンマンライブ、それから1年半、ライブ活動は対バンでほんの数回行われたのみだった。いや、もっと活動していたのかもしれない、しかしその姿を見る機会には恵まれなかった。今回のワンマンライブも3ヶ月近く前からチケットが売り出されているが勿論その3ヶ月間も活動は無い、しかし送られてきたチケットはユニットのコンセプトに合わせた(センスがいいかどうかは別として)凝ったデザインのもので、更にメンバー全員とそれぞれのソロでの写真まで付いていた。母体のスマイル学園のライブをほとんど見た事が無いにも関わらず、この電音部ユニットにかけるコンセプトの作り込み加減とそのコスト、それがあまりにも母体とかけ離れているのは既にこの段階で手に取るように分かった。UNDER FACEのコンセプトは突き抜けすぎていた。それも悪趣味な方向に。サイバーパンク趣味を更にグロテスクにしたヴィジュアルの上に、異様なガイノイド感を出すために小学生にカラコンを入れさせ、そして最新曲のタイトルは「Mr. Pusher」、麻薬の売人を指すスラングだった。BABYMETALはメロイックサインをキツネサインと読み替え、ヘドバンにはコルセット/ネックサポーターを使い、過剰な部分をKAWAIIポップ的な個性に巧妙に差し替えていったが、電音部にそういった配慮は皆無だった。むしろ悪目立ちすることで世界相手に勝負をかけようというスタンスだったし、公式サイトやFacebookTwitterアカウントに英語が並ぶ作りは最初から日本を相手にするつもりも無かったようだ。


このライブの数ヶ月前に、スマイル学園から脱退者/卒業者が相次いだ。そしてこの電音部のセンターを務めていた田谷菜々子もその例外ではなかった。電音部UNDER FACEには水野あおいが補充され、体裁は保たれたが、実態がどうなっているかは分からないままだった。Twitterのユニット公式アカウントもいつの間にか別の個人が使っており、公式サイトはセキュリティ警告でChromeにブロックされる始末。


ライブの数日前に一応彼女たちのことを確認しようとスマイル学園のブログを見ると、ライブタイトルは「電音部 UNDER FACE ワンマンライブ "UF927"」から「Changes UF into Deep Mind」へ変更されていた。そして会場も秋葉原TwinBoxからアメ横アイドル劇場に振替られていた。NHK朝ドラ「あまちゃん」劇中で「アメ横女学園」専用劇場「東京EDOシアター」という設定になっていたアメ横センタービルの中に本当に作られた劇場、と呼ぶには随分と寂しい箱だが、それは仕方ない、あの専用劇場の中のシーンは原宿アストロホールのものだから。ブームにあやかりアメ横センタービルの催事場を商店街が1年半賃借して作られた劇場、ライブハウスのお約束であるバーは紙コップとファミレスにあるドリンクディスペンサーで賄うという発想はなかなかに驚いたけれど、全てが最小限の設備の中で、これはこれで十分だ。





ステージに上がった岡崎苺/永島穂乃果水野あおい、3人はもう悪趣味なサイバーパンク衣装を着ていなかった。勿論カラコンもしていない。スチームパンク的なガジェットも身に纏っていない。普通に子供的に可愛い背中の空いたゴスロリワンピースにツインテールだった。水野あおいは身長が高いのでバランス上センターに置かれていた。客は椅子に座ってステージを見ていた。最前列はスマイル学園の常連組なのだろう、大きなカメラを抱えた人達が撮影チケットを買って座った。自分も最初は勝手が分からず隅に座っていたが、踊るために座席の後ろで立ち見する事にした。MC中に、これが電音部UNDER FACEのラストライブである事が唐突に告げられる。ライブタイトル通り、「UNDER FACE」は「Deep Mind」として仕切り直すこともアナウンスされた。唐突ではあったが、予想できたことでもあった、そして、この会場の箱としての貧弱さを差し引いたとしても、衣装が奇抜さを捨てたとしても、それでも電音部UNDER FACEのライブが異様で面白い事に変わりは無かった。このライブがアメ横の喧騒を見下ろすビルの催事場で行われていることの異次元さは尚の事だ。


【UNDER FACE】ラストライブ  UNDER FACE One-man live "Changes UF into Deep Mind"




以前の衣装やスチームパンクガジェットは電音部UNDER FACE制作チームが持って行ってしまったようだ。その制作チームは同じようなコンセプトを掲げて新しく「METROPOLIS」というアイドルユニットを立ち上げ、活動の場を既にそちらに移している。*1 こちらも相変わらずサイバーパンクスチームパンクガジェット尽くしのヴィジュアルで、ニコラ・テスラをネタに取り上げる方向性ではあるものの、グロテスクさがバッサリ抜けて随分とフレンドリーになっていた。


Jpop-Idol METROPOLIS
https://twitter.com/idol_metropolis


J-pop Idol "METROPOLIS" "テスラにおねがい" Long Demo


J-pop Idol "METROPOLIS" "EXODUS GIRL"




前売りチケットを買った人はメンバーチェキプレゼントという特典が用意されたが、チェキ撮影機を渡されて自分でメンバーを撮影しろという話で、まさか自分がチェキ撮影側になるとは思わなかった。撮られたことはあっても撮ったことは無い、メンバーにその場でチェキの使い方を教わり撮影する。ファインダーを覗いたその画がそのまま写るような精度のものではなく、初めて自分が撮影したチェキは大きく上に空間が空いてしまう。その場に出てきたスマイル学園トライアウトメンバーにお願いして撮影してもらうと、完璧なクオリティの一枚を撮影してくれた。これがアイドルか。



突然終わるプロジェクトの不可解さの中で、淡々と続く物販と接触。それもそのはず、この日は一日三本のスマイル学園ライブがあり、翌日は一期生北村真珠の卒業ライブを控え、常連ファンもスタッフもメンバーもそちらに意識が向いているようだった。チェキ撮影の横でスタッフの方に話を伺う。スマイル学園の部活動は一からやり直し、ちゃんとコンセプトも学園らしいものを考えていく、悪趣味を売りにするコンセプトをやるつもりはないとのことだったが、今はスマイル学園研修生組織のスマイル学園トライアウトを形にするだけで手一杯のようだった。



活動開始から一年半、それでもメンバーはまだ中学一年生、しかし中学生の一年半の価値は大人と等価ではない。デビューライブはWOMBで、観客よりも沢山の関係者がいた。あれはスマイル学園運営ではなく、電音部制作チーム側の人間だったのだろう。今の「METROPOLIS」の活動を見る限り、結果としてスマイル学園の考える「Deep Mind」と同じベクトルを選んでいるように見えるのは当然の帰結だろうし、だとすればそれは随分と皮肉な擦れ違いだ。
Perfumeだってデートピアだって、それこそCupitronだって、コンセプトとサウンド先行のアイドルである事に変わりはない。では何が、いや、考えるだけ虚しい事だ。ミドルティーンアイドルにダンストラック/メタル/オルタナ/ポストパンク的な楽曲を大人の遊び的に与える運営はいくらでもいる、それを批判するのは簡単で、でも結果としてそれが彼女達の絶対的な個性となり他に無い魅力を引き出すケースを観てきたし、今もそれは続いている、それを応援したい、でも小学生にカラコンは駄目だ。




ちなみに、「電音部UNDER FACE」改め「電音部Deep Mind」はもう活動を始めている。
https://www.facebook.com/official.page.smilegakuen/posts/752958528103780


スマイル学園 岡崎苺 電音部はリニューアル٩(ˊᗜˋ*)و
http://ameblo.jp/ichigo-okazaki/entry-11940049685.html


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