Aerodynamik - 航空力学

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中田ヤスタカ楽曲大賞2013に投票するよ

http://ystkma.blog.shinobi.jp/


中田ヤスタカ楽曲大賞、対象楽曲数は

  • 07年/64曲
  • 08年/73曲
  • 09年/34曲
  • 10年/59曲
  • 11年/31曲
  • 12年/51曲
  • 13年/46曲

という推移。ほとんどの楽曲を中田ヤスタカ自身が作詞作曲編曲レコーディングミキシングからマスタリングまで手掛けている、そしてそれらが商業ベースに乗るポップソングで、一定以上の質を維持し、なおかつ15秒聴いただけではまらせるどキャッチーな曲をこのペースで量産する。全工程をPC内で完結させる時代に全てを一人で手掛けることなど珍しくも無いけれど、このスピードで大衆へ向けた商業音楽を作り続けろと言われてまともな精神を保っていられるクリエイターがどれだけいるのだろうか。仮に自分を振り返ってみると、本気でいいシステムを作ろうと持てる力を全部投入すると精神的にも体力的にも一年持たない。経験則的に、素晴らしい作品を生み出すことと、自分の身を削ることがイコールな生き方しか考えられない。所詮凡人はそんなものだ。ヤスタカには、音楽制作における才能とは別の、仕事との距離感、そういう部分の特殊能力について訊いてみたくもある。よく「ストレスをためない仕事術」などというタイトルで売られているビジネス書があるが、大抵は取捨選択と優先度のコントロールについての話ばかりだ。好きなミュージシャンは誰も彼もが寡作になっていく。それを含めての才能、そういうものなのだろう。




最近面白かった参考文献。


ハフィントンポスト日本版の記事から。
「全てのクリエイターには「中田ヤスタカにとってのCAPSULE」が必要である」
http://www.huffingtonpost.jp/muneharu-uchino/capsule_b_4451173.html



AKBグループの膨大な楽曲の中でも最多数の編曲を手掛ける野中“まさ”雄一インタビュー。コンペで上がってくる曲を、初日打ち込み、二日目歌とギター入れの二日間で編曲。秋元康はアナログシンセを嫌うといういい小ネタ。
AKBサウンドを編み出す、DTM現場に潜入!
http://www.dtmstation.com/archives/51869835.html




楽曲部門 (持ち点10pts、上限3pts、最大6曲)

楽曲   配点
CAPSULE /
Rainbow
ASOBITUNES 1


中田ヤスタカYAMAHAを離れてASOBISYSTEM/unBORDEに移籍、7月にこのASOBISYSTEMコンピ「ASOBITUNES」がリリースされた時点では、「CAPS LOCK」のような極端な路線変更を見い出せなかった。CAPSULE以外の楽曲群を聴いて、本気でヤスタカがどこまでチャラくなってしまうのかを心配した位だ。


とはいえ、そこに収録された複雑なマイナーコード展開を持つ「Rainbow」の後半はPerfume「Spending all my time (Album-mix)」や「Party Maker」へ繋がるループがある。また、Rip Slyme「熱帯夜 -Yasutaka Nakata (capsule) Remix-」ではPerfume「Handy Man」から「Sleeping Beauty」へ繋がる、シャーナイやプーンギといったインド系管楽器音色や、アラブ音楽のモードというかマカームを取り入れた、東アジア/インド/中東趣味が見て取れる。この辺りのルーツが世代的にNeptunes細野晴臣なのか、どういう狙いで今敢えて欧米EDMでもなく、記号的J-POPでもない、この辺境サウンドを押し出してきたのか、とても興味深い。





楽曲   配点
CAPSULE /
DELETE
CAPS LOCK(初回限定盤) 2


Perfumeドームツアーでの「Enter the Sphere」のライブエディットも、CAPSULE「DELETE」も、ヤスタカのレトロゲー、横スクロールシューティングゲームオタ剥き出しなところが愛らしい。まだ初代PlayStationが出てくる以前のゲームサントラは電子音楽好きにもプログレ好きにも強くアピールする物だった、あくまでポップで可愛らしいチップチューンではなく、キース・エマーソンの強い影響下にある派手な展開のあるプログレっぽいところが本物のオタくさい。





楽曲   配点
CAPSULE /
SHIFT
CAPS LOCK(初回限定盤) 1


ヴォーカルチョップ的な手法は今では珍しくも何とも無いし、ヴォーカルにAutoTuneをかければ初音ミクだなんだと言われたものだが、実際に人の声を完全に素材レベルに落とし込んで、なおかつ「ポップスの形を保ったまま」ミク化へ、という逆アプローチは意外に行われていない気がする。ボカロPがメジャー化して商業仕事をする場合には普通のヴォーカリストに普通に歌わせる、つまりミク自体が彼らにとって単にヴォーカリストの代替でしかなかったというインタビューをよく見るが、それこそ宅録ダンストラックをライブで実演する時に、TB-303を生ベースで、TR-808TR-909/LinnDrumを生ドラムに置き換える行為のつまらなさの様なものを感じたりもする。メジャー仕事を手掛けるボカロP達にとって初音ミクは単なる「ヴォーカルを歌う楽器」でしかなく、ターンテーブルTB-303が新しい楽器として再発見されるような音楽的イノベーションがあるんじゃないかと思っていても、なんだかそういう感じではないらしい。
この試みの中で、こしじまとしこのヴォーカリストとしてのアイデンティティが保たれているのならいいのだけれど。まあヤスタカと付き合いも長いしそこは上手くやっているのだろう、と。





楽曲   配点
Perfume /
1mm
LEVEL3 2


「スパイス」同様に抑制された粗くてファットなハウストラックと、絞られた音色、そしてBPMは110。追いつめられるような不穏な歌詞。世界中のダンスフロアを席巻するEDM、高速化するJ-POP、どちらにも背を向けたこのビートダウンなダンストラックがリードトラックとして扱われるアルバムの素晴らしさ。


何度も同じことを言うけれど、「LEVEL3」はリリースした事に意義がある、ここまでリスナーの耳を育てたことに意味があるダンスアルバム。恐らく今の巨大なPerfumeファン層に「Party Maker」のような音楽を届けること自体がとんでもないことで、あれは東京ドーム公演で5万人にハンドクラップさせることを考え抜いた末に作られた「仕掛け」だけでできているようなものなのだけれど、実際に東京ドームへ行ったら最初から最後まで観客は棒立ち手拍子が当たり前という客層で、まあ今更そんなところを気にする話でもないのだけれど、「Party Maker」があろうがなかろうが観客はずっとハンドクラップしてました、という所にペーソスというかほろ苦い悲喜劇みたいなものを感じた。





楽曲   配点
Perfume /
Sweet Refrain
Sweet Refrain (初回限定盤)(DVD付) 3


ワブルベースと共存するホソノイド歌謡とかALFA時代の高橋幸宏ソロみたいな古臭いシンセポップ感がたまらなく好き。MEG「PASSPORT」などで見せるベースラインのユキヒロ節。





楽曲   配点
きゃりーぱみゅぱみゅ /
ふりそでーしょん
なんだこれくしょん(初回限定盤) 1


きゃりーぱみゅぱみゅは「日本を代表するポップカルチャーアイコン」として海外の物好きから日本の津々浦々のお茶の間まですっかり定着した。これは凄い事だ。村上隆だの草間彌生だのと持ち上げたところでそれはお茶の間レベルまで通用する物じゃない。Perfumeきゃりーぱみゅぱみゅ、その二組が当然のように紅白歌合戦に出ている時代の奇妙さ。「なんだこれくしょん」は様々な要素が記号化アイコン化されつつキャッチーに配置された名盤。他の曲ほど奇抜さや記号化はないけれど、「ふりそでーしょん」のベタなキュートさは今年のPerfumeに無かった分嬉しい一曲。






いやあ今年は豊作で6作に絞るとつまらないな。今年は楽曲単位で選ぶのも難しい。CAPSULEPerfumeきゃりーもアルバムはコンセプトアルバムの様なものだから、一つ一つを切り出せるような気がしない。結局投票として面白いものではなく、2013年によく聴いたもので選ぶことにした。


CAPSULE「RETURN」は、細野晴臣人形劇三国志か、久石譲かと言う位の、スケールのデカさと過剰にメロディアスで情感溢れるサントラ的なサウンド。Perfume「Dream Land」と対になるような作品。久石譲はオールタイムベストとしているキューブリック作品に対して「我々がキューブリックから学ぶべきいちばん重要な本質は"映像と音楽が対等であること"」とか言っているが、この人の曲は過剰すぎて映像を食いまくってると思う。


ONE PIECE FILM Z」サントラへ提供した「ZEAL」はちょっと気恥ずかしい。「スタートレック」に提供した「Into Darkness」はSFファンにも中田ファンにも訴えてこないであろう箸にも棒にもかからない出来。椎名林檎中田ヤスタカ「熱愛発覚中」は「中田ヤスタカとして求められているもの」を全部詰め込んだ過剰な感じがいい。MINMI「風に乗せて」はシャッフルの入ったトライバルハウスっぽいところに惹かれるけれど地味だねえ。まあm-flo loves MINMI「Lotta Love (Yasutaka Nakata Capsule Mix)」みたいなものをもう一度やる様な時代じゃない。
SCANDAL「OVER DRIVE」は、曲の内容よりも、SCANDALのメンバーが「バックトラックもできていないのに先に歌入れさせられて情感も込められないし、演奏もバラバラに録るし、このレコーディング訳が分からない」と不満たらたらのインタビューが面白かった。




ミュージックビデオ部門 (持ち点5pts、上限3pts、最大2曲)

楽曲 監督   配点
Perfume/
Sweet Refrain
田中裕介 Sweet Refrain (初回限定盤)(DVD付) 3


ループと差分を楽しむテクノ感。オブジェのように美しい三人をそのままオブジェとして撮る距離感は、関監督作には出せない味。


近年の田中裕介監督作「Sweet Refrain」「未来のミュージアム」「Spending all my time」「Spring of Life」、関和亮監督作「1mm」「Magic of Love」「FAKE IT」「GLITTER」。今の関和亮監督作に映るPerfumeは崇高な存在。





楽曲 監督   配点
椎名林檎中田ヤスタカ(CAPSULE)/
熱愛発覚中
児玉裕一 浮き名 (初回限定仕様盤) 2


狙い澄ましたコレジャナイ感が素晴らしい。アクション監督に下村勇二というセレクトの渋さで見事な低予算映画あるいはゲーム内ムービーなテイスト。






Youtubeに720pで公開されているきゃりーぱみゅぱみゅもったいないとらんど」のコメントに「FINALLY A J-POP VIDEO IN MORE THAN 480P」「The future is here」とあって笑えた。Perfume公式チャンネルが公開している480pや360pのPV、フレームレートが低すぎてダンスがカクカクになってしまっているものを見る度に、「ダンスを見せたいんじゃないのかこのグループは」と切なくなる。まあようやく徳間ジャパン時代のPVもパッケージリリースされるし、これらをネット上で共有拡散されるプロモーションツールと見るか、商品と見るか、そういう事に悩まされる最後の時代なのだろう。