観劇記録 「ベスト・キッド」(The Karate Kid)アメリカ 2010年公開
ほとんどの劇場が吹替版での公開だが、あえて字幕版を選んで渋谷ヒューマントラストシネマにて鑑賞。
これぞ良リメイク。あのパット・モリタ演じる剛柔流空手道の使い手「ミヤギ」の得体の知れなさ加減や、アメリカでの「空手」ではない「カラテ」の描かれ方なども含めて、旧作に思い入れのある人が多かっただろう。舞台が中国で、カラテじゃなくてカンフーで、その上師父がジャッキー・チェンともなると、全く趣が変わってしまう、そこを不安に思う人も多かったはずだ。確かに、全く違う代物が出来上がったが、この出来に不満を持つ人はいないだろうし、むしろ拍手を送りたい位の快作だ。
ハリウッドでは普通の人物ではなく奇妙なキャラクターばかりを演じさせられていたジャッキーも、今作では地味で陰を持つ、渋みのある演技をようやくものにしている。また、シンプルだった旧作と比べて様々な要素が追加されており、母子家庭と父性のありかたや、弟子であるジェイデン・スミスだけでなく、彼との交流を通してジャッキー自身の心の成長までもが描かれてゆく。アクションについてはよくここまでやったと感服するレベル。主人公の年齢設定が下がったが、フルコンのアクションはなかなかハードで、よくPGが付かなかったなと思うくらい。
随所にかつて師父に扱かれたジャッキー映画のオマージュが散りばめられ、万里の長城や紫禁城、北京オリンピックスタジアムや、武当派の聖地武当山など名所も網羅、大人も子供も楽しめる一品。ぜひ子供と吹替版を鑑賞してほしい。