Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Perfume、国内オールナイトダンスフェス初登場「SONICMANIA 2013」@幕張メッセ

http://natalie.mu/music/news/91664



Perfumeのブレイク前夜、2007年前半の「ファン・サーヴィス sweet/bitter」当時、Perfumeを「音楽やメディアの新しいあり方」として取り上げていた書籍媒体は「Studio Voice」「TV Bros.」といった、まだルサンチマンと選民意識の入り混じっていたかつての「サブカル」雑誌ばかりで、逆に世間の視線はアイドルに対して今より遥かに冷たく、Perfume側からクラブカルチャーサイドへのアピールがあったのも当然のような流れだった。クラブカルチャーは商業的なポップス音楽に対してとにかく偏見というか棲み分け意識が強く、沖野修也が「彼女や彼氏が遊びに来たら好きなJ-POPは隠さなきゃいけない(持ってる時点でOUT!)」なんて記事を2011年になっても書いている位で*1、正直クラブカルチャー側がPerfumeを受け入れる度量なんてありはしないのだけれど、クラブでプレイされなかったとしても、「クラブリスナーの耳に耐えうるまともなダンストラックが鳴っているアイドルポップス」ということすら当時は珍しく、それが一つの「エクスキューズ」となって、どれだけの偏屈なクラブミュージックリスナーの心を氷解させたか、今更説明する必要も無いだろう。一方で、ブレイクを果たしたPerfumeは自ずからクラブカルチャーとは距離を取り、J-POP界の中での存在感を高めることに注力していく。


今でこそどのロックフェスもアイドルを取り込んでいくことで時代との共存を図ろうとしているが、その嚆矢は「SUMMER SONIC 07」に「Dance Stage オープニングアクト」として登場したPerfumeで、その後ロキノンとの蜜月が始まり、RIJFCountdown Japanの常連となり、2013年の夏は遂にPerfumeRIJFメインステージの大トリを飾るまでになった。そのPerfumeが、RIJFの大トリと同じ年にダンスフェスへの出演を解禁する、自分の感覚では「ダンスフロアに戻ってくる」ということになろうとは、正直想像もできなかった。紅白に5年連続出場するレベルのお茶の間テクノポップアイコンをダンスフロアが受け入れられるのかと随分混乱もしたものだが、今回のSONICMANIAで同じメインステージに立つのはPET SHOP BOYSサカナクションということで、そんな混乱すらも杞憂でしかなかった。2011年から恒例になったSONICMANIAの過去二回は、フジロックのダンスステージ出演者とマッドチェスターレジェンドによるフジロックアフターパーティのようなテイストが強かったが、SONICMANIAサマソニと同様に時代に合わせて舵を切ったようだ。




平日の仕事は早々に切り上げられず、会場入りしたのがPerfume開始10分前。連日の酷暑と仕事起因の疲労が酷過ぎて、踊っているよりもフードコートでダラダラしている方が多かったという残念な一晩。



Perfume

世界最大規模のダンスフェスUMFの韓国版に出演すると聞いた時には、ダンスをある程度柔軟性を持たせる形に変更して、トラックをフロア仕様に作り直してくるのではないかという位に過剰な期待をしていたのだけれど、音は「Magic of Love」のリズムトラックに手を入れたくらいで乗り切った、というか、PTAコーナーまでやって、J-POPの通じない国で「はみがきじょうずかな」/trf「survival dAnce」/B'z「ultra soul」までやるという内輪受けすぎるライブに終始していた。今回のSONICMANIAでは、UMFから更に「レーザービーム」「FAKE IT」を抜いたセットリストで、トラックのアレンジも変わらず、「男子!女子!メガネ!」のコール&レスポンスもやり、40分も無い持ち時間の都合か随分圧縮しながらもPTAコーナーもしっかりと「はみがき」をやるという感じで、正直ダンスフェスに出てこれか、という意味ではがっかりさせられた。
まあ「ダンスフェスでPerfume」という前提さえなければ、いつものPerfumeのフェス向けライブとスタイルは何ら変わることも無い。これまでもライブ用に音を作り直すというのは基本的にPerfumeでは行われてこなかったし、「バンマス」こと飯塚啓介氏のエディットも切り貼りとSE足しが中心だった。ダンスフェスに対する姿勢というものがこんなものかというがっかり感は、ダンスフェス、ダンスミュージックに対する自分の過剰な思い入れでしかない。「JPNスペシャル」のようなスタイルで35分やってくれというのは極端過ぎる話だ。単なる好き嫌いの問題。頭四曲を四つ打ちで繋いでいたことだけでも有難い。これが無かったら相当辛かった。
Perfumeのアクトよりも、始まる前に踊るスペースも取らずにアホみたいに前方への圧縮を始め、曲が始まっても別に踊る訳でも無く、曲のサビになった時だけ人差し指立てて縦にぴょんぴょんジャンプするあの悪夢みたいな様式がダンスフェスのメインステージ一面に広がっていたことに一番心が折れた。




参考までに、麺カタツアー時のナタリーインタビュー、Perfume中田ヤスタカのダンスフェスに対する姿勢。


http://natalie.mu/music/pp/perfume05/page/3

−そしてこのツアーの間に、韓国で「ULTRA KOREA」への出演も決まってます。Perfumeのジャンルはダンスミュージックだと思いますけど、こういうイベントには出たことはなかったですよね。


の:そうなんですよ。「WIRE」に出てみたいとかなんとなく思ったことはあったんですけど、今まで機会もなかったですし。今回は、まったく新しいことに挑戦する気持ちです。前に私たちはよく「ロックフェスに出るアイドルなんて異色だ」みたいに言われてましたけど、「あ、そういうのがまだもう1個あったんだ」っていう感覚ですね。


−ダンスミュージックフェスなので、この日はお客さんが求めてくるものも普段とはちょっと違うかもしれませんね。


あ:それについてはやっぱり、出たことがないタイプのイベントだからみんなびびってます。スタッフさんが「曲は絶対止めないでどんどん続けたほうがいい」「アレンジもそういう人が乗ってくれるように変えたほうがいい」って言ってて、「私たちそのイベントもよく知らないから判断つかないし、中田さんに聞いたほうがいいんじゃないですか?」って話をしたんです。でも私は、スタッフさんのいうその形でやるのはいつものスタイルとは違いすぎるし、私たちが出る意味なくなるんじゃないかな、だったら中田さんが出ればいいって話になっちゃうんじゃないかなって思ってて


−なるほど。


あ:それで中田さんに相談させてもらったら、「今回出演するのはパフォーマンスのステージだから、自分を見失わないようにマイスタイルを保ちつつライブをしたほうがいい。ただやっぱりクラブイベントなので、早い段階で曲が止まるとお客さんのテンションが上がらないから、気持ち長めに1ブロックを作ったほうがいいんじゃないか?」みたいにアドバイスしてくれたんです。それを聞いて、私たちが出てもいいんだって中田さんに言っていただけたような気がして、「あ、よかった。道が見えた」って思いました。すごくドキドキしてたんですけど、楽しめそうだなって今は感じてます。

夏も終わったので、今年の夏フェスのセットリストを見直してみる。今年のフェスセットは以下の5曲が軸になっており、あとはどうフェスのカラーを取り込むかが課題となる。

20130526 「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2013」Windmill Field、今年立ち上がった立ち位置のよく分からないフェスで、出演者はRIJFに近い。軸曲に加えて「ワンルームディスコ」「エレクトロ・ワールド」「FAKE IT」と、一般のJ-POPファンからフェスファンまでどちらにも対応できるよう、相当幅を持たせた珍しい選曲に。

  1. Spending all my time
  2. Spring of Life
  3. ワンルームディスコ
  4. Magic of Love
  5. FAKE IT
  6. エレクトロ・ワールド
  7. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)

20130614「ULTRA MUSIC FESTIVAL KOREA 2013」、これがPerfume初のダンスフェス出演となる。軸曲プラス「レーザービーム」「Hurly Burly」「FAKE IT」、これがPerfumeの考えた、ダンスフェス向け選曲。他のフェスでの選曲と比較すると、分かり易い「レーザービーム」と上げ曲「FAKE IT」はこれまでの前提として、「Hurly Burly」をダンスフェスでしか受け入れられない曲と判断したのが分かる。

  1. Spending all my time
  2. レーザービーム
  3. Magic of Love
  4. Hurly Burly
  5. だいじょばない
    • PTA
  6. FAKE IT
  7. Spring of Life
  8. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)

20130713 「Amuse 35th Anniversary BBQ inつま恋」。アミューズフェス初日のトリを務めたPerfumeは、軸を完全に外して「ワンルームディスコ」「レーザービーム」「ねぇ」「ポリリズム」という極端なシングル選曲をする。これはその日の集客のメインであるポルノグラフィティのファン層を意識したもので、それでもちょっと挑戦として一曲目に「だいじょばない」を入れてみたが受け入れられなかったことを、相当自嘲的なトーンで振り返っていたのが非常に興味深い。

  1. だいじょばない
  2. ワンルームディスコ
  3. レーザービーム
  4. ねぇ
  5. ポリリズム


TFM「Perfume LOCKS!」 20130722

あ:一日目はね、ちょっと、攻め系のセットリストで行ったんだよね。


か:そう、ちょっと実験してみようって言ってね。挑戦的な。


あ:そしたら、お客さんが「ぐーん」引いちゃって(笑)。


か:あわわわわーって(笑)。


あ:やっぱ、J-POPとかね、ポルノさんのファンの方がやっぱ多いので、ポップで歌い上げてくれる「いいやつ」が好きな人達が多いので、急にこうね、「ぜんぜんだいじょばないけどそれもぜんぜんだいじょば…」、(客)「すごい踊っとる…」みたいな(笑)。


か:出てきて早々「だいじょばない」っていうね。


あ:(客)「すごい同じこと言うとる…」みたいなことで(笑)。


か:どうしたどうしたって(笑)。


あ:ぐーん引かれて。


の:びっくりされちゃった(笑)。


あ:そうそう、凄いお客さんとの距離が。


か:距離がね。気持ちの距離が。


あ:「ぐーーん」、ああ、ああ、ああ…(笑)。


か:ごめんごめんって。


あ:ですよねですよねですよねー、みたいな。これちょっと、海外行ってるからさ、感覚がちょっと、海外的な…こうね、なっちゃって(笑)。


か:やってみようよ、みたいになっちゃって。


あ:ちょっとクラブ的な(笑)。ノリになっちゃって(笑)。ちょっとやっちゃいましたけどね、一日目。

20130714 「つま恋」 二日目トップバッター。早い時間のトップバッター故に観客はPerfumeファン中心と判断したか、選曲は今年の軸を中心にして、ポルノファン向けに「Baby cruising Love」を追加。

  1. Magic of Love
  2. Spring of Life
  3. Baby cruising Love
  4. だいじょばない
  5. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)

20130809 「SONICMANIA」MOUNTAIN STAGE。発想はダンスフェスUMF KOREAと同じで、軸曲に「Hurly Burly」を入れてダンスフェス仕様になるが、何分持ち時間の短さゆえに「レーザービーム」「FAKE IT」の持ち球が使えず、誰でも知っている盛り上げ曲として代替に「ポリリズム」を選択。

  1. Magic of Love
  2. Hurly Burly
  3. Spending all my time
  4. ポリリズム
    • MC、コール&レスポンス
  5. Spring of Life
  6. だいじょばない
    • PTA
  7. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)

20130811 「SUMMER SONIC 2013」OCEAN STAGE では軸曲プラス「Voice」「MY COLOR」。極端にシングル曲に寄せなくてもいい、そしてJPNツアーを観ているファン向けの共感演出が期待できる「MY COLOR」、バランスがいい。

  1. Spending all my time
  2. Magic of Love
  3. Voice
  4. Spring of Life
  5. だいじょばない
  6. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)
  7. MY COLOR

20130804 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」 GRASS STAGE。常連フェスでの初の大トリという事で、これまで積み上げてきた「物語」を提示するために、軸曲に加えてコンベスから「エレクトロ・ワールド」、GAME期から「ポリリズム」「マカロニ」「SEVENTH HEAVEN」、JPNから「心のスポーツ」「MY COLOR」と過去アルバムから均等に選曲され、そして最後には「Dream Fighter」を持ってくるという強烈な浪花節。「マカロニ」「SEVENTH HEAVEN」はレア曲という以上に情感的で、集大成の場としてエモさが強調された、大団円演出。

  1. Magic of Love
  2. Spending all time
  3. ポリリズム
  4. マカロニ
  5. SEVENTH HEAVEN
  6. 心のスポーツ
  7. だいじょばない
  8. エレクトロ・ワールド
  9. チョコレイト・ディスコ(2012-Mix)
  10. MY COLOR
    • EN
  11. Dream Fighter

PET SHOP BOYS

新アルバム「Electric」はJacques Lu ContやLes Rythmes DigitalesのStuart Priceプロデュース、バラード無しハズレ無し、全曲凄くセンスのいいエレポップディスコに徹底していて、新曲「Vocal」のPVはかつてのレイヴの映像のみ、強烈にダンスへのアピールを見せていたのでそういう期待もしていたけれど、会場の巨大さが故かあるいは反響計算のミスか、エレポップの要たるシンセベースがぼわぼわしてしまい、ダンストラックとしての面白さが全然出せていなくて残念。幕越しの凝ったスクリーン映像、とげとげの付いたカラスの様な衣装、サウンドよりもステージ演出の拘りが強烈で、世界レベルのポップスターは凄いなあという溜息めいた印象。


Pet Shop Boys - Vocal


電気グルーヴ

メインフロアのPET SHOP BOYSはがらがらで、裏の電気グルーヴは踊る隙間さえないほどの大混雑。


KRAZY BALDHEAD

RAINBOW STAGEはEd Banger Records10周年記念ステージに。Brainfeeder的なダウンポビートの渋さ。


Krazy Baldhead - Surabaya Girl


BREAKBOT

エレクトロやEDMといった派手な流れから離れて、80年代のアーバンディスコやAORから70年代ディスコ/ソウル/ファンクまでを逸早く横断したBREAKBOT。宗教画に描かれるキリストの様な長い髪と髭に真っ白なスーツ、機材台には真っ赤で巨大な唇を模した如何にも胡散臭いビジュアル。ディスコのオプミスティックで刹那感のある享楽的なエキスだけ搾り取って再構築する、胡散臭さと爽やかさが同居する面白さ。生ギター生ベースも加わってヴォーカルも歌いまくる楽しいステージ。


Breakbot - Fantasy feat. Ruckazoid

Breakbot - Baby I'm Yours feat. Irfane


THE STONE ROSES

2012年復活ツアーからのフジロックヘッドライナーに続いてソニマニにも登場。観客側に思い入れがあり過ぎて、ステージの後方に詰めた人達にまで様々な感傷が溢れ出している。演奏は随分ぐだぐだで、イアンも全く音が取れていなくて、でもそんな事もどうでもよくて、観客はギターやベースのリフで大合唱。去年は演奏していない「Elephant Stone」「Breaking Into Heaven」が入っていて大騒ぎ。PSBに続いてどうにも出音が悪過ぎるのと、会場が巨大で反響しまくっているのとで、音が回りまくってぐるぐるぼわぼわしている。まあ当時のドラッグをやりながら聴いてもこんな感じかと思えば悪くないと思い、後ろの方でコンクリ床に寝転がってだらだらしながらサイケデリック感を味わってみる。後ろの方で一度寝転んでしまうと更に音がぐるぐるしてしまい、レニの手数とジョンのディストーションにエコーもディレイもかかりまくりのとんでもない音響効果。Ash Ra Templeとティモシーリアリー博士のアシッドテストみたい。もう立ち上がって聴く気が起きない。

  1. I wanna adored
  2. Elephant Stone
  3. Shoot You Down
  4. Waterfall
  5. Love Spreads
  6. She Bangs The Drums
  7. Fools Gold
  8. Made Of Stone
  9. Breaking Into The Heven
  10. This Is The One
  11. I Am The Resurrection


The Stone Roses - Elephant Stone


Steve Aoki

Stone Rosesを寝転がって聴いていたら疲労のせいかバッドトリップになりかけたので、食事を取りながらSteve Aokiを覗いてみたら噂に違わぬアレっぷり。DJは手振りだけ、流す曲も延々同じ様なものに徹して、DJブースから出てきてずっと客を煽り続けている。パイをケースごとフロアに投げ入れ、消火器を撒き、ゴムボートでクラウドサーフしている。これが「アリス十番」か。
DJ EMMAのインタビューで「Steve Aokiが出てきてからおかしなことになってしまった、DJが盛り上げるために選曲以外の部分でアピールしだしてDJブースを物理的に壊すようになった」というのを思い出してうんざりする。


Afrojack & Steve Aoki ft Miss Palmer - No Beef


BUSY P

Ed BangerのオーナーによるEd Banger Megamix。フランスはエレクトロブーム以降もEDMの大潮流に全く乗るつもりも無く、Daft Punkと同様にディスコブギーへの回帰とLAビートへの同調、このスタンスを続けていくだけでもいまや貴重な存在なのかもしれない。


Carte Blanche - Gare Du Nord

Hey Today! - Talk to me

Busy P - Still Busy (feat. Thunderbird Gerard)


サカナクション

一度ライブを観てみたいと思っていたが、始まってからふらりと行ってもとても見れる状態じゃないほどの凄まじい人でメインステージが一杯になっていた。

Justice

一番楽しみにしていたアクトだったが、この日は体調も悪く体力も持たず、殆どフードコードであれこれ食べて過ごしてしまった。たまに行ってみると如何にも朝方らしい、EDMに全く興味の無い面白選曲で、体力が無いのが非常に悔やまれた。いやー思い出せるだけでも面白選曲だなあ。


Junior Senior - Move Your Feet

The Pointer Sisters - I'm So Excited

Joan jett The Blackhearts - I love Rock n roll

George Michael - Freedom! '90