Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 フルカワミキ「Bondage Heart Remixes」リリースパーティー


ロック人脈のイベントに行くのはこの年になって初めてのことで、会場に着いたときに客層がほとんどいかにもロッキンオン読者の大学生ばっかりという状態に一瞬うろたえた。着飾った女の子は全くおらず、ペタンとした底の薄い靴を履いている、痩せたTシャツの女の子が多くて、妙に納得する。


で、入場したら、何故か皆ステージ前で座ってる!えええ!いまGONNOが回してるのに。座ったまま、誰も身じろぎもしていない。100人が仏像のように座っていて、もう100人も立ったまま不動。なんという異様な光景。ロックの人たちってみんなこうなの?今日は普通のライブじゃなくてパーティーだろ?
アブストラクトなハウスが絶妙に気持ちよく、勿体無いので一人ゆらゆら踊る。本当に踊っていたの一人なので特定されるな。


GONNOの次はステージでNYANTORA aka 中村弘二がノイズコラージュ開始。10分くらい延々ノイズを出した後、ゆったりとした四つ打ちキックとホワイトノイズををバックにギター弾き語り。うわー渋いわー沁みるわーと思っていたら、急に「終わりです」と言ってステージから去っていった。この間、客は相変わらず微動だにせず。歓声もなし。図書館より静か。終わっても拍手一つない。スーパーカー後期から電子音に傾倒したナカコーには誰も興味がなかったようだ。


次はKAGAMI。アッパーなエレクトロをガシガシ繰り出し、大いに盛り上げる!と言いたい所だが、またしてもクラウドは踊らない。大人しくステージ前に座っている。踊っているのは3人だけ。なんというアウェー空間。ミラーボールの下で座って文庫本を読んでいる青年までいる。異様過ぎる。


次にフルカワミキがステージに上がる。「かわいいー」「ちいさいー」という女性の声がこそこそ聴こえる。フルカワミキはベースを弾かず、いすに座って歌うだけ、iLL aka 中村弘二のギターと、勝井祐二のバイオリンのドラムレストリオというアコースティック形式。かなりエコーの深くかかったミキのボーカルが会場を包み、勝井のバイオリンが美しく反響する。しかし、会場は聞き惚れているというより、冷たい空気に包まれている。ミキも、誰もDJで踊らない異様な光景に思うところがあったのだろう、最初に「ずっと座っている人たち、苦行じゃなかった?」と声をかけるも反応ゼロ。本当に図書館より静か。曲が終わっても拍手はまばら。途中で「みんな怒ってるの?顔が見えないから分からないけど」とまでミキに言われる始末。


ライブは7曲くらいで静かに終わった。パラパラと人が帰ってゆく。普通のバンド演奏を期待していたのに、という会話があちらこちらから聞こえる。


最後はJimanica × AmetsubAmetsubのライブは本当に凄いので期待してきたのだが、それを裏切らない圧倒的な音圧。Ametsubの電子ノイズの粒とタイトな四つ打ちの上に、Jimanicaのジャズドラミングが重なり、奇妙なグルーヴ感を生み出す。フルカワミキのライブの後に帰らなかった人たちは、相変わらずステージ前で大人しく座っていた。




本当に異世界の体験。DJもVJのレベルも非常に高く、面白い空間だったのに、興味ないものにはあそこまで無反応な観客というのは初めて見た。みんな初期スーパーカーギターポップだけにしか興味なかったのだろうか。それともああいうノリが普通なのだろうか。アイドルオタの方が、よほどパーティーピープルだと思った夜だった。