Aerodynamik - 航空力学

はてなダイアリーからはてなブログへ移行中

観覧記録 「KAWAii!! NiPPON EXPO 2014」@幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

http://nippon-expo.jp/
http://natalie.mu/music/news/116359
http://ure.pia.co.jp/articles/-/22850
http://tokyogirlsupdate.com/kawaii-nippon-expo-interviews.html
http://www.barks.jp/news/?id=1000103354


「ASOBISYSTEM」が企画して、「アイドル横丁」と二枚看板で仕掛けた、「アキバ系アイドルと原宿KAWAiiカルチャーがタッグを組んだ2大コンテンツの共演」と銘打たれた無料招待フェス。幕張メッセ9-11ホールで「3万人規模」と打ち上げ、錚々たる出演者を集めたにも関わらず、直前までイベントの内容もタイムテーブルも何の情報も一切出さず、公式Twitterアカウントも作らず、「『HARAJUKU KAWAii!!』やAmebaアカウントに登録したら無料招待」という怪しさで、アイドルブームに便乗した大掛かりな情報詐欺かなにかではないかと疑っていたが、開催二日前にざっくりしたタイムテーブルとエリアマップの画像計3枚だけが公開され、不安に包まれたままいざ当日を迎えてみれば22,000人の動員。そしてさしたるトラブルも無く、秋葉原カルチャーも原宿カルチャーもどちらも満足に味わえる素晴らしいイベントだった。ASOBISYSTEMの実力を見せつけられたという驚き、単なるちゃらいイベンターではなく、本気で巨大なカルチャービジネスを動かそうとしている恐怖すら感じた。「ウタ娘」のようなボトムアップではなく、空からSNS経由でカルチャーが降ってくる、トップダウンバズワードとしてのアイドル×KAWAii。「中川悠介」の名前で検索をかけるとその動きの軽さに驚かされる。これだけのイベントを打つのに「無料」というその発想がまず凡人にはできない。コーディネート共有アプリ「WEAR」、初音ミクやアイドルキャンペーンを連発するFamilyMart、アイドルカルチャーに欠かせない「チェキ」のFUJIFILMなどがスポンサーだったようだが、規模を考えてもイベント単体で黒字にする気は更々無いだろう、このイベントで話題性と実績を作り、「もしもしにっぽんプロジェクト」を始動させ、きゃりーぱみゅぱみゅを軸とした大規模フェスとカルチャーイベントを海外展開する、このイベントはそのための最初の足掛かりに過ぎない。アイドルオタは楽しみつつ利用された、彼等はもっとずっと先を観ている。 *1


最近仕事終わりに新宿や原宿を歩いていると、駅周辺は本当に外国人観光客だらけだ。従来から多かった東南アジアと中華圏の富裕層だけでなく、欧州からの観光客が特に増えた。震災で一時期足が遠のいていたが、オリンピックへ向けて街の雰囲気も随分変わっていくだろう。正直オリンピック開催が決まっても騒いでいるのは建設業界だけという日本人の鈍さの方が危機感がある。海外発行のクレジットカードで現金を引き出せるATMが都心の繁華街にどれだけあるというんだ。海外の観光地ではよく見かけるあれだが、日本のコンビニにあるATMは例えそれがVISAだろうがAMEXだろうが海外発行カードは受け付けない。東京が国際観光都市たるにはまだまだあまりにも社会インフラと意識が貧弱だ。そこに美を感じてしまうとすれば、ソフィア・コッポラLost in Translation」の観過ぎかもしれない。



『MOSHI MOSHI NIPPON』Project Trailer



GALETTe* : EXPO STAGE

ホール11は「EXPO STAGE」として「アイドル横丁」が集めたメジャーからインディーズまでのアイドル達がずらりと並ぶ。あれほど巨大な空間でライブをするという経験はなかなかインディーズアイドルにはできないことで、それだけでもどのユニットにとってもいい経験になっただろう。FUNKTION-ONEを多数吊り下げて、明らかにダンストラック寄りのチューニング、一見さんに注目度の高いRev. from DVLの前に敢えてASOBISYSTEMのYun*chiを置いたタイムテーブル、それだけでもASOBISYSTEMの意図が見える。Yun*chiが一番気持ち良く鳴るようなセッティングのおかげで、ダンストラック系アイドルを幕張メッセで聴く、それはもうダンスフェス、夢の様な時間だったが、PASSPO☆/Palet/山口活性学園ベイビーレイズ辺りのロックサウンドを鳴らすユニット達のPAは相当苦戦したと思う。


それはともかくオープングアクト、録でもない音響でしか聴いたことの無かったGALETTe*ディスコサウンドをダンスフェスで鳴らされるかのごとく爆音で浴びる最高の時間からイベントスタート。

  1. neo disco
  2. Brand-New Style
  3. ダンスフロア☆フィーバー


GALETTe* - neo disco



nanoCUNE : EXPO STAGE

しょっぱなから酷く割れたノイズ塗れの出音になるが、キックさえ鳴っていれば、後は音が悪ければ悪いほどnanoCUNEの世界観に近づく、nanoCUNEは騒音の美を体現する。

  1. 碧の世界
  2. 嘘つきライアン
  3. 衝動DAYS


nanoCUNE - 碧の世界



GEM : EXPO STAGE

「Do You Believe?」を初めてライブで体感するのがこの爆音、もう最高。今ここの時間だけageHa感。この曲のMVに「アイドルポップスの領域を越えた挑戦!」と公式が書いているのはどうしようもなく弱気過ぎる。「イビサガール」の称号をNMBに先に取られてしまうとは。

  1. We're GEM
  2. Do You Believe?
  3. Just! Call Me


GEM / 「Do You Believe?」 Short Ver.



TEMPURAKIDZ : KAWAii!! STAGE

ホール9は「KAWAii!! STAGE」、EXPO STAGEとは別次元のいいバランスで音が鳴っている。それもイベントの最初から最後まで。こちらがASOBISYSTEMの本気。

  1. はっぴぃ夏祭り
  2. すいみん不足


TEMPURA KIDZ - はっぴぃ夏祭り



NEKO PUNCH : HMV STAGE

ホール10はHMVの小さなステージ、物販スペース、握手会、それに横丁らしくアイドルと屋台の釣りができるスペースまであった。


スパイラルミュージック所属で「Moon Light Flower」という名曲を残して活動を終えた小学生ユニット「ねこぱんち」ではなく、ASOBISYSTEM所属の「LONDON発 踊る近未来形 J-POP」NEKO PUNCH。徹頭徹尾お洒落なのが鼻に付くけれど90sな古臭いダンスポップがかわいい。


Go Baby! - NEKO PUNCH



DIANNA☆SWEET : HMV STAGE

名古屋のモデル事務所から集められた圧倒的に可愛いローティーンモデル達、Rev. from DVLの裏でその手のユニット好きがわらわらと集まってくる別のレベルでの注目度の高さ。外連味のある曲だらけ、中華テクノ歌謡風味の曲が特に面白い。

  1. SPIDER LOVE
  2. キミは誰推し?!〜白状しチャイナ
  3. Hug you! Hug me!
  4. 初恋Revolution


DIANNA☆SWEET - SPIDER LOVE MV



赤い公園 : KAWAii!! STAGE

「なんで私らがこのイベントに呼ばれたか分からん」「数曲で帰りますから」「女の子は可愛いだけじゃやっていけないぞーー!!」と冷めているのか荒ぶっているのか、ステージ側に観客の感情を寄せ付けない孤高さ。生であのドラミングを体感できただけで興奮する。


ライブの最後の定番「ふやける」、轟音をかき鳴らしたままステージにギターを置き去りにする、メンバーがいなくなってもずっとフィードバックノイズが鳴り続けていて、最後にスタッフが出てきて音を切る、MBVっぽくてぞくぞくした。


赤い公園 - 風が知ってる


赤い公園 - 今更



板野友美 : KAWAii!! STAGE

がっつり踊るダンサーを付けて、安室奈美恵的なステージ展開。シングルタイトル曲が浜崎あゆみ的で全部つまらないのに、カップリング曲となるとひたすらかっこ良くてタイトで踊れる曲しかなくて、音楽ビジネスも色々と切ない。

  1. Dear J
  2. Girls Do
  3. BRIGHTER
  4. little


板野友美 little (Music Video) -Short Ver.-



武藤彩未 : EXPO STAGE

この日も「なんてったってアイドル」から始まって完璧に整ったMC、完璧に整ったコール&レスポンス、隙が無い。隙が無さ過ぎて自分には息苦しさまで感じるようになった。アルバム「永遠と瞬間」はどうにも音がギラついていて苦手だと思っていたけれど、苦手なら苦手なりに自分で音のバランスを弄って1983年版を作ればいいだけのこと、そうやって聴いてみる「時間というWonderland」「彩りの夏」のCBSソニー感はやっぱり凄い。

  1. ナウシカREMIX
  2. なんてったってアイドル
  3. RunRunRun
  4. OVERTURE〜交信曲第1番変ロ長調


武藤彩未 セブンティー



ベイビーレイズ : EXPO STAGE

「恋はパニック」、ほんと名曲だな。


ベイビーレイズ「恋はパニック」PVフル【あっちこっちそっちどっち】



東京女子流 : EXPO STAGE

このイベントには青文字系雑誌読者層もモデル目当てに沢山来ていたけれど、そちらのステージは転換時間が長いので当然アイドルの方も観に来る。東京女子流が一曲終わった時に、近くにいた青文字系グループが「やばい真ん中の子すごい可愛いすごいよ可愛いやばい」と発狂していた。新井さんならそういう展開も行ける。


先日の「LiVE GiRLPOP Vol.3 〜flowery〜」で噴出していたように見える「観客皆が知っている『おんなじキモチ』で躍らせろ」というフェス的な意見を組んでか、原曲「おんなじキモチ」で皆と踊る、そして新曲「十字架」後に、ここでも再び果敢に「Royal Mirrorball Discotheque」へ挑む。明らかにダンストラック寄りチューニングの今日のPAとFUNKTION-ONEで聴く「Partition Love RMM」から「Liar」「ヒマワリ」のMaltine Mix。フロアで浴びるこの爆音とグルーヴ、しなやかで妖艶さすら湛えるダンスと最高の音、選曲もフェスとして完璧。まあ流石に外向きイベントではあまりにも「Attack Hyper Beat POP」に頼り過ぎで、今の女子流で「AHBPやっておけばフロアが上がる」というのはそれはそれで安直過ぎる。


女子流新曲「十字架」学校の怪談verはどうにも好みではなくて、映画タイアップverでもあるし、アルバムのオリジナルバージョン待ちだったのだけれど、ふとこの曲は中森明菜こそが似合うのではと気付き、「十戒萩田光雄編曲で明菜が歌う架空原曲を脳内で作り、それの女子流カバーとして聴き直したら随分いい感じになってきた。

  1. Attack Hyper Beat POP
  2. おんなじキモチ
  3. 十字架 〜映画「学校の怪談 -呪いの言霊-」 Ver.〜
  4. Partition Love -Royal Mirrorball Mix-
  5. Liar (RE-NDZ Remix)
  6. ヒマワリと星屑 (Yoshino Yoshikawa 'Pollarstars' Remix)


Liar(RE:NDZ Remix) from Tokyo Girls' Style × Maltine Records


東京女子流 / 16th Single「十字架 〜映画「学校の怪談 -呪いの言霊-」Ver.〜」MV+SPOT


中森明菜 - 十戒



PASSPO☆ : EXPO STAGE

EXPOステージはロック系の出音が酷過ぎるので、寧ろフロアの一番後ろに下がってみる、ここまで来るとPASSPO☆も轟音シューゲイザーみたいになってくるので床に座ってトリップする。



剛力彩芽 : KAWAii!! STAGE

スパガの裏でカラフルなダンサーを従えてのダンスポップ、剛力彩芽さんのステージのカーリー・レイ・ジェプセン感が素敵。さすがにアメリカのポップアイドルと比較してしまうと音は弱いけれど、日本のポップスでここまできちんと鳴るダンスポップもそうそう無い位にマスタリングの質の高さも含めて気持ちいい。

  1. up!! up!!
  2. 友達より大事な人
  3. あなたの100の嫌いなところ


剛力彩芽 - あなたの100の嫌いなところ



9nine : EXPO STAGE

昨年末の舞浜アンフィシアターライブから、それこそPerfumeのようながっちがちのダンスグループに方向性を変えてきた9nine、正直これどうすんのよ、ばらばらなメンバーの個性も消えてしまうよと思いつつ眺めていたけれど、「少女トラベラー」「困惑コンフューズ」といった分かり易いフェス定番曲によるフェス受けを放り出し、ひたすらダンストラックで聴かせて一見さんを圧倒させるという完全に割り切ったセットリストとこの日のダンス寄りPAとの相性もあってか、9nineは今日一番クールなステージだった。そして9年というキャリアが生んだ貫禄と安定感。9nineももうベテランか。

  1. RE:
  2. (Luv=)0 or H8?
  3. SE〜just a 恋
  4. With You/With Me
  5. party9


9nine 『"舞浜アンフィシアター"ライブダイジェスト』



HARAJUKU STREET STAGE : KAWAii!! STAGE

転換の時間が長くて今一タイミングを掴めなかったが、ファッションショーも面白かった。原宿系モデルが一杯出てくる華やかさ、音響は完璧だしブランド毎の選曲も面白い。セーラーズも14年ぶりに新作を出した。そういえばラフォーレ原宿のセーラーズ期間限定ショップにおニャン子クラブのファン有志からスタンド花が出されていたのは面白かった。


Stussy
Bikini kill - Rebel Girl


earth music&ecology
Lily allen - Life For Me


X-girl
Paramore - Still Into You


セーラーズ
Madison Beer - Melodies


galaxxxy
VIVIVID - AGE OF FUN feat.Vell,ayaka


Innocent World
Katy Tiz - The Big Bang



きゃりーぱみゅぱみゅ : KAWAii!! STAGE

終日EXPOステージと比較にならないレベルでいい音を鳴らしていたKAWAIIステージで、ASOBISYSTEMのトリは勿論きゃりーぱみゅぱみゅ。最近のPerfumeのライブは基本的に音を聴くレベルに至らない大箱でしか観ていないので、いいバランスの爆音でヤスタカサウンドを聴くのも本当に久し振りだし、何故彼女が海外でもこれ程に評価されるのかを批評ではなく体感として理解できたと思えるほどにいいステージだった。青文字系の女の子達と、でんぱ組.incの出番が終わって一斉に集まってきたアイドルオタが一緒になって踊る楽しさ。一部のオタが三連ミックスやオーイング、PPPHなどオタ芸を打ちまくる、その場の弁えなさすらも祝祭の大騒ぎとして飲み込むほどにスケールも間口も大きいパーティーサウンド。衣装とダンサー達の繰り出すヴィジュアルの情報量は凄まじい、一方で音は非常にシンプルに作られている。何のひねりもなく、狙い澄ましたキャッチーさ。シンプルに盛り上がる以外に余計な情報が一切ない。単語とオノマトペをひたすらサビで繰り返すだけのシンプルさで容易に言語を乗り越え、曲調は馬鹿みたいなハッピーで明るいサウンドと、寂しさを伴うほどの切なさが必ず対になっている。これは海外でうける訳だ、頭を使わず体で聴いてようやく実感できた。体感的には米マタドールからライセンス編集盤が出ていた頃のピチカートファイヴととても近い所にあって、その時代に面白いとされたサウンドの方向性は当然違えど、マインドとスタンスは相変わらずピチカートファイヴだったという。90s中頃のピチカートは海外のゲイパーティで「とにかくお洒落でハッピーになれる、そしてちょっと切ない」という評価をされていて、キーワードは「ソフィスティケイテッド キャッチー」で、そういう意味でヤスタカは今でも本当にピチカートフォロアーだった。

  1. なんだこれくしょん
  2. インベーダーインベーダー
  3. ファミリーパーティー
  4. きらきらキラー
  5. にんじゃりばんばん
  6. ファッションモンスター


Pizzicato Five - Happy Sad