Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 TOKYO IDOL FESTIVAL 2013 初日/二日目



SEのような仕事をしていると、自分の存在が視神経と脳だけになっていって、自分の意識から身体性が失われていく。食べる事、寝る事、そういった事に対する本能的な欲求すら失われていく。導眠剤無しでは寝ることすらもできなくなって何年経つのだろう。だから、こういう灼熱地獄に放り出されて、朦朧とする頭、疲労で動かない足、重い身体を引き摺って、必死に水分を取りながら二日間ひたすら踊り続けるような極端な負荷、多分こういう時しか自分は自分の身体、肉体の生存本能を取り戻せない。この体を動かすのは途切れることなく歌い踊り続けるアイドルと音楽で、そして恐ろしいほどに熱い太陽の下で観るアイドルは、ライブハウスや地下劇場で観ていた人達とは別人のように輝いて見える、全く別人のように。



フェスの出演者は二日間で合計111組、参加者は3万3000人に膨れ上がった。湾岸スタジオ内の二つのステージは頻繁に入場規制がかかり、湾岸スタジオ屋上は一ステージのみとなったにも拘らず、相変わらずのエレベータ渋滞と入場制限で自由に行き来することもままならず、ヴィーナスフォートの教会広場も人が溢れてステージを観る事は困難だった。TIF公式サイトも開催前夜から503エラーを吐き続けていてタイムテーブルを見る事もできず、急遽2000年頃のiモードモバイルサイトの様な代替ページが用意された。昨年実績2万1500人から更に膨れ上がった参加者を捌くには、あらゆるところでキャパオーバーだった。それでも、この会場でこのフェスをやる意義は、単に湾岸スタジオをメインにすることでのコスト圧縮効果以上のものがある。その8割位は湾岸スタジオ屋上ステージの存在という雑な感触だけれど。その割に今年は殆どSmile Gardenにいたような気もする。




2013/07/27 初日


リストバンド交換に並ぶのが嫌で事前に二日通しリストバンドを購入したが、平日に削がれた気力体力を回復できずに昼頃まで自宅を出られず。会場に向かう途中で湾岸スタジオ内も屋上もあっという間に入場規制の報を聞いて、昨年のようにタイムテーブルを見て細かく移動することを早々に諦める。



ベイビーレイズ : Smile Garden

今しかない、このチャンスは絶対に逃してはならない、そういう気迫というよりもはや狂気に近いオーラをステージから振り撒き、「『あまちゃん』で話題のあれかー」という感じで集まった2000人を前に、一発目から初披露の「暦の上ではディセンバー」。このフェス感。


後藤まりこ : Smile Garden

真っ白の可愛い衣装で、歌いながらステージを降りて観客の中を練り歩き、歌いながら観客の上を歩き、サーフして、スピーカー櫓の上に昇って歌い、最後にはマイクを観客の中に放り投げて、ビョークみたいなピュアで痛々しいオーラを出しながら「今日私のやるべきことは音楽とケツバット」と言い放つ。美しい。


BiS : Smile Garden

既に殺人的な日差しと湿度。気付けば隣でBELLRING少女ハートの子達が水も持たず帽子も被らず真っ黒の衣装のままBiSのテージを観ているので心配したが余計なお世話。オタというか研究員が自転車に乗ったままリフトされ「チャリフト」としてステージよりもクリエイティビティを発揮していてもう全然共感できない。




灼熱の湾岸スタジオ屋上に上がってようやく感じるTIFらしさ。ここにしかない、この解放感と非日常性。




超アニメ系微少女ユニット KiraLyraHeart : Azure Stage

青や黄色の髪にツインギターとショルキーという初見のインパクトが最高値。

usa☆usa少女倶楽部 : Azure Stage

四ツ谷や赤坂の地下で散々見たはずなのに、これまで見てきたものが全部虚像に思えた。「放課後usa☆usa」はこの夏のアンセム




Secret Court跡地。



Love La Doll : Venus Church

90年代声優アイドルの様な王道スタイル。いきなり三人のうち二人が脱退発表。

ライムベリー : Venus Church

教会広場の構造上音響的には反響が酷くて音が聴こえない最悪のステージだというけれども、いつものようにスピーカー最前にいたのでどうでもよかった。MC無し告知無しで突き抜ける。

  1. R.O.D.
  2. HEY!BROTHER
  3. MAGIC PARTY


@RHYMEBERRY1
ライムベリー
ライムベリー、さきほどのヴィーナスフォート教会広場でのライブの様子です。ありがとうございました。 http://t.co/mFqLvwJyBm link





Zepp DiverCityのHot Stageには一度も入ることが無かったが、教会広場まで出てきてしまったのでZepp Tokyoへ行ってみる。音が小さい。絶望的に音が小さい。Zepp Tokyoを使っているのに音が小さいなんて。


東京女子流 : Hot Stage

世界一ファンキーでディスコティックなアイドル東京女子流が披露した新曲二曲、「LIFE SIZE」は八王子Pの安直過ぎるエレクトロハウス歌謡で、LUNA SEAのJによる「Get the star」は安直なギターポップロック歌謡。アレンジが単調過ぎて絶望的。曲明けに「次からは踊れる曲をやります」とMCでフォローまで。
「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」のカバーといい、武道館後に色々と試行錯誤しているのだろうけれど、avexは女子流をどうしたいんだ。「運命」「ふたりきり」のRoyal Mirrorball Mixがこれまでにないくらい最高に良過ぎた分、余計に絶望的。「Liar (RE:NDZ Remix)」を約束ツアーで披露したのは幻だったのか。
今のところ声が安定しているのは新井ひとみだけなのでライブはきつい状況が続くと思うけれど、まああと数年経てば5人揃ってディスコクイーンですよ。「ロックに挑戦」など要らん事しいですよ。

  1. 鼓動の秘密
  2. Liar
  3. 約束
  4. LIFE SIZE
  5. Get the star
  6. ふたりきり
  7. おんなじキモチ
  8. Attack Hyper Beat POP

リンダIII世 : Smile Garden

東京初ライブがTIFのHot Stageという政治力。Jorge BenというかSergio Mendes「Mas Que Nada」の凄い気持ちいいカバー。あまりに気持ちよ過ぎるので低音のマスタリングをやり直してBasement Jaxxに送ってAtrantic Jaxxからリリースしてほしい。

アップアップガールズ(仮) : Smile Garden

アッパーを演出するために闇雲にBPMを上げてかえって味を失うのもアイドルソングにありがちなケースだけれど、アプガなら速くてもなんでもいいわと思わせる説得力。後はPandaBoyの引き出しの少なさがどう転がるか。「アッパーカット!」はUnderworld「Born Slippy Nuxx」のような、ベタを突き抜けたアンセムに育っていた。そして日が落ちてもなお酷く蒸し暑いSmile Gardenにいきなり冷たい風が。ゲリラ豪雨でこの日の屋外ステージは以降全てキャンセルに。

  1. サイリウム
  2. チョッパー☆チョッパー
  3. アッパーカット!
  4. サマービーム!

テクプリ : Enjoy Studium

RIKAの腰痛、ドクターストップ、そしてリーダー不在でテクプリは存続しえないため解散へ。TIFがラストステージ。石丸電気でデビューライブを観たけれど、5年の間にみんな綺麗な大人になった。渋谷系リバイバルテクノポップ、初期capsule中田ヤスタカの音とマインドを忠実に受け継いできたのはテクプリだった。


リーダー以外の3人は新ユニットで活動を続けるとの事だが、トベタ・バジュンはプロデュースを離れた。トマパイ3期を是非この3人で、という人の気持ちも分からないではない。

  1. チョコレート☆ディスティニー
  2. テディベアとパスワード
  3. 渋谷Twinkle Planet
  4. スキスキスキ(remix)


2013/07/28 二日目


TIF名物、マネージャーを先頭としたアイドルのステージ間練り歩き。今年は東京女子流さくら学院以外にも幟を掲げているユニットが多数。いいお祭り演出。


お祭り騒ぎに乗じてロボットレストランの宣伝カーが。



Negicco : Smile Garden

Negiccoの今の衣装、一年戦争ガンダムのテレビ版みたいな彩度の低いアイボリーがかった白赤青の上品さ具合が超いい感じ。Negiccoのキャラに良く合ってる。

怪傑!トロピカル丸 : Smile Garden

洗練されない味。「チャンスの神様」いい曲。

Tokyo Cheer2 Party : Smile Garden

オタのコールが汚いうるさいけれど楽しそう。薄いディスコと過剰なポジティブ感。

つりビット : Smile Garden

総合プロデュースはテクプリを離れたトベタ・バジュン。可愛い可愛いという声しか聞かないけれど、もっと音に個性を。

ICTラブリ〜ず : Smile Garden

デートピアの「はっぴー超じぇねレ〜ション」1期生が「ICTラブリ〜ず」に移行し、2期生は活動停止。そしてICTラブリ〜ず自体もTIFが終わった途端消息不明。




途中でTIFを抜けて便乗イベントへ。


ダイバーシティ屋上。Azure Stageと同様の開放感と、フジテレビ本社の球体を目の前に、スケボーのためのランプやバンクが沢山あるスケートパークのわくわく感。このステージでライムベリーが面白くない訳がない。二日館を通してのベストアクト。


@RHYMEBERRY1
ライムベリー
ライムベリー、ダイバーシティー屋上でのライブの様子です。この後1820からENJOY STUDIUMでライブです。 http://t.co/Uk0fYgfDIy link




東京女子流 : Smile Garden

大の大人も観客に混じってステージを観ているアイドル達も、みんなで踊る「おんなじキモチ」。

  1. ヒマワリと星屑
  2. 僕の手紙
  3. Get The Star
  4. Last Forever
  5. 頑張って いつだって 信じてる
  6. おんなじキモチ / 東京9nine

ライムベリー : Info Center

トークステージ。「趣味である囲碁の醍醐味は?」と聞かれて「オセロと似てる」と答えるDJ HIKARU。

くりかまき : Enjoy Studium

「HELLO!!」、Underworld「Scribble」をアイドル曲化した感じの崩れ具合が絶妙過ぎる。

ライムベリー : Enjoy Studium

びっくりする位にいい音で鳴る。DD達の期待感の半端なさをTLから感じる。いつものようにスピーカー最前で踊っていたので後ろの様子は分からなかったが、入場規制でパンパンになった後、完全にフロアの空気をダンスフロアに変えたライブが終わって、一斉に外に向かう観客が口々に「ビースティーが」「ECDが」「スチャダラが」と興奮して唾を飛ばし合っているのはいい光景だった。「こいつらまとめて掴んだな」という感触の気持ち良さ。


@RHYMEBERRY1
ライムベリー
ライムベリー、ENJOY STUDIUMでのライブの様子です。満員御礼、入場規制もあったと聞きました。ご覧下さった皆様、ありがとうございました。 http://t.co/1XGVG7SEPG link



ライムベリー : Grand Market

物販スペース。


MC MIRI × ゴーストバスターズ


RYUTist : Smile Garden

狂騒の終了を目前に控えたSmile Garden、そしてトリのRYUTistが歌うフジファブリック若者のすべて」。あの時間をどう表現したらいいのだろう。Smile Gardenに集まった大の大人がみんなボロボロ泣いていた。過酷な暑さと湿気と、お祭り騒ぎで上がり過ぎてしまったテンションと、憔悴し切った疲労感と、そういう身体にぱんぱんに詰まった汗まみれのあれこれが、少女達の透明な歌声と「若者のすべて」のセンチメンタルな郷愁によって洗い流されていく。この瞬間は、アイドルが巫女でありライブが清めの儀式であるかのような、そんな神聖で澄んだ空気が、Smile Garden全体を包んでいた。

  1. 夏の魔法
  2. 若者のすべて
  3. Beat Goes On!〜約束の場所〜
  4. ラリリレル


RYUTist「ラリリレル」


Dorothy Little Happy : Smile Garden

急遽決まった前日のゲリラ豪雨の振替ステージ。新潟から仙台へ。


20時を回って空は漆黒、もうすぐこの狂騒の二日間も全てが終わる。灼熱の時間を越えて涼風が。スマイルガーデン、Dorothy Little Happy「デモサヨナラ」。





来年もTIFは開催されるだろうか。一時のブームと共に盛り上がったイベントではなく、フェスとして定着しただろうか。そういえば、TIFはアイドリング!!!あってこそのフェスなのに、アイドリング!!!を観ずに二日間を終えてしまっていた。