Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 星野みちる「星がみちる」リリース記念ミニライブ@新宿タワレコ



2012年の個人的ベストディスクに上げた700枚限定プレスの星野みちる「い・じ・わ・る・ダーリン」7インチ。*1

AKB48在籍時代からソングライティングを続けてきた星野みちるが、Michiru名義での活動を休止、本人名義で再起動。DJはせはじむとマイクロスター佐藤清喜のトラックメイクによる超ロマンティックなアーリー80sアナログテクノポップ歌謡。YEN Recordsからのリリースだったとしても全く遜色のない素晴らしいセンス。カップリングはマッドチェスターのCandy Flip「This Can Be Real」をカバー、こちらも超ロマンティックな仕上がり。リリース媒体は何と7インチシングルレコード(とその音源付きCD-R)。惜しむらくは星野みちる自身の中身の無さ過ぎる作詞だが、これは意図的な狙いなのかもしれない。AKB出身者にしては数寄者向け過ぎる方向性、仕掛け人は誰なのだろう。これは自分の中でのアイドル楽曲大賞2012の一位に挙げたい。早く次のリリースが聴きたい。


今年7月には待望のアルバムがリリースされた。トラックは引き続きDJはせはじむとマイクロスター佐藤清喜が手掛けている。「い・じ・わ・る・ダーリン」はYEN Recordsサウンドと書いたけれども、まさにその直球も直球、YENのカタログからアポジー&ペリジー「真空キッス」(作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 歌唱:戸川純)のカバーを収録、レゲエ歌謡「オレンジ色」はDub Master Xによるラヴァーズなダブミックス入り、リードトラック「私はシェディー」は大ネタRah Band「Clouds Across The Moon」使い、他の曲も80年代初頭期のRah Bandのスペースシンセソウルポップを引用。筒美京平Marvin Gayeなども引き出しながら、アルバムの冒頭と最後はジャズスタンダード「Stella by Starlight」「Star Dust」のモンドなシンセカバーに星野みちるの語り入りと、90年代のモンドリバイバルに火を付けたThe Gentle Peopleテイスト。もうアルバム全体が甘美なノスタルジーに彩られたロマンティックなエレポップで、この辺りの音源を手当たり次第に引用するスタイルは1996年の作品かと思うほど。


AKB一期生でありその在籍当時のソロ曲から、五井道子/michiru時代も含めて、アコースティックなバラードをメインに活動してきたSSW星野みちる本人も、そして「桜の花びらたち」「スカート、ひらり」当時からのAKBファンも、この他人の手による戦略的というか渋谷系趣味的過ぎる楽曲スタイルの極端な変化をどう思うのかなどと勝手に心中を察しても無意味だろう。イベントでは彼女は「とても緊張しています」と言いながらも、CDのジャケットで着ている宇宙服を着て、頭にはコスモ星丸の様な星の付いたカチューシャまで付けてステージに上がるという大サービス、今作のRah Band路線を二曲と、従来スタイルの「一緒に旅する君へ」をピアノ弾き語りで披露。そしてインストアライブにしては珍しくアンコールの求めに応じて、急遽AKB時代の初自作ソロ「ガンバレ!」を再びピアノ弾き語りで。このイベントの少し前に行われた久しぶりのワンマンライブでは、従来のアコースティックバラード曲と、今作のRah Band路線の曲を分けた二部構成だったとのこと。ファンを大切にする人だなあと思うし、歌声にまで表れる真面目というか真摯な姿勢が愛されるのだろう。

  1. 私はシェディー
  2. ワンダランド
  3. 一緒に旅する君へ
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  4. ガンバレ!


星野みちる / 私はシェディー short ver.

星野みちる/い・じ・わ・る・ダーリン


Rah Band - Sweet Forbidden

Victor Young - Stella by Starlight

Bing Crosby - Star Dust




星がみちる

星がみちる

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