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Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 「NO NUKES 2012」初日@幕張メッセ

music

http://nonukes2012.jp/



結局当日券で最初から最後まで観てきた。メッセ前であまりに長大な列を見てぞっとしたが、それは他のホールで開催されていた乃木坂46の握手会とNot Yetのイベントへ来た人達だった。どこぞのまとめサイトにあるように、こちらのフェスの方は随分閑散としていたが、まあYMOKRAFTWERKにしか興味がない高齢層がのんびり夕方になってやってきただけで、結局最後には5番ホールが一杯になる位、ざっと1万人程度はいたんじゃないだろうか。


音楽フェスとして出演者の演奏を楽しむのは当然としてだ。「NO NUKES 2012」は、ただ踊っているだけのイベントではなく、出演者が皆それぞれに自らの原発に対する考えを語り、歌に折り込んで、教授の言うところの「考える種」を蒔いていった。さらに、演奏の合間には、エネルギー学者の飯田哲也氏や、京大原子炉実験所助教小出裕章氏、元スイス大使の村田光平氏らによる原発問題に対する解説映像がステージ上の巨大スクリーンに流されていた。原発問題の社会的構造や、これから目指すべき展望、地域に根ざした自然発電について、非常に分かり易く語られるだけでなく、その映像自体が手の込んだ編集とタイポグラフィー使いによって、一つのアート作品として、このイベントの演出と一体化していた。渡辺健吾氏も言及していたが、ここは非常に重要な部分で、これが単に左翼臭い説教動画であったなら、若者には原発問題自体が退屈であるか、或いは受け入れがたい難解なものに映ったかもしれない。








ASIAN KUNG-FU GENERATION

  1. 新世紀のラブソング
  2. リライト
  3. ループ & ループ
  4. マーチングバンド
  5. N2
  6. 夜を越えて
  7. 転がる岩、君に朝が降る

真摯。



アナログフィッシュ

  1. 荒野
  2. FINE
  3. PHASE
  4. 風の中さ
  5. HYBRID
  6. 抱きしめて
  7. TEXAS

とても優しく、そして強い人達。


アナログフィッシュ - 抱きしめて



ソウル・フラワー・ユニオン

  1. うたは自由をめざす!
  2. 極東戦線異状なし!?
  3. 平和に生きる権利
  4. 戦火のかなた 〜BEYOND THE FLAMES〜
  5. 満月の夕
  6. 荒れ地にて
  7. 風の市
  8. 海行かば 山行かば 踊るかばね

「子供を守れ、大人が守れ、核よりおっぱい」。泥臭い泥臭い。反体制反権力バンドがこの手のイベントに出なくてどうするっていう感じではあるのだけれど、核問題について考える機会としてのフェスでは右も左も無くあってほしいので、政治色の強いバンドがアピールするには尚の事バランス感覚が必要だと思った。


元ちとせ

  1. 精霊
  2. 羊のドリー
  3. 前兆
  4. 恐竜の描き方
  5. 死んだ女の子 (ピアノ:坂本龍一
  6. 白夜
  7. 語り継ぐこと

HIFANA

どんな趣旨のフェスだろうとフェスにはダンスアクトが必要だ。



難波章浩-AKIHIRO NAMBA-

  1. ALIFORNIA DREAMIN'
  2. MY WAY
  3. ONE MORE TIME
  4. LEVEL 7
  5. STAY GOLD
  6. PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT
  7. 未来へ〜It's your future〜

映像や音楽へメッセージを織り込んで、考える切っ掛けを静かに語って伝えるミュージシャンが続く中、ハイスタ難波だけはひたすらMCで恥ずかしげも無く叫んだ。客にも叫ばせた。「NO NUKES! NO NUKES!」。「難しい事は分かんねえけど、これでも二児の親として、子供の未来を守んなきゃなんねえんだよ。お父さんあの時なにやってたの?と言わせるわけにはいかないんだ」という言葉がとても力強かった。



the HIATUS

  1. Deerhounds
  2. Superblock
  3. The Tower and The Snake
  4. The Flare
  5. My Own Worst Enemy
  6. Insomnia
  7. Souls
  8. Bittersweet/Hatching Mayflies
  9. On Your Way Home

ライブを観たのは初めてだけれど、想像以上に細美は線の細い人だった。繊細で、薄っぺらで夢見がちで、そういう細美に振り回されるファンの気持ちが痛いほど伝わってきた、ような気がした。どうしてもこのバンドには色眼鏡が付き物だけれど、悟ったような大人が多いポストロックの中で、これだけ地に足の付いていないポストロックは、ある種の若者が日々を生きるために必要なんだ。



YMO+小山田圭吾+高田連+権藤知彦

  1. Radioactivity
  2. Firecracker
  3. Solid State Survivor
  4. 中国女
  5. 1000 Knives
  6. Cosmic Surfin’〜Absolute Ego Dance
  7. 東風
  8. Rydeen

2011/05/30に名古屋の細野ライブでカバーされたKRAFTWERK「Radioactivity」をこのメンバーで一曲目に。これをやるためのイベントでもあっただろう。他の演奏曲は、エレクトロニカ期は何だったのだという位に、79年のライブ以上に原点回帰な編曲で演奏。「ライディーン」のトイピアノも止めた。93年の「サービスしない」というテーマを基準にすれば、過剰にサービスし過ぎなほど。「体が動くうちに体を使った音楽をやっておこう」とNHK「スコラ」で三人が言い合っていたのが印象的だったが、それはこういう形で帰結した。枯れたからこそ、てらいもなくこういうことができるバンドになったのだ。「WORLD HAPPINESS 2011」で振っていた「NO NUKES MORE TREES」の旗をまた教授が振っていた。旗を振る姿は反核運動を左翼運動に絡めてしまうようであまり好きではない。



KRAFTWERK

  1. Radioactivity
  2. Metropolis
  3. The Robots
  4. Numbers
  5. Computerworld
  6. Trance-Europe Express
  7. Computer Love
  8. It's More Fan to Compute
  9. Pocket Calcurator
    • EN
  10. Music Non Stop

KRAFTWERKが来るぞ来るぞと観客の期待が頂点に達していた時に、いきなりByetoneとAlva Notoからのメッセージが流れてびっくりした。東電のマークが歪んで現れた時、物凄い罵声が上がった。観客の声の大きさではここが一番だったのではないか。



基本的にKRAFTWERKのライブは完璧に作り込まれていて、個別案件で歌詞や映像、あるいは歌唱言語を変えるなんて、ファンにとっては到底考えられないことだった。だから、もし何かをアピールするにしても、歌詞中の「HIROSHIMA」が「FUKUSHIMA」に変わるかも、といった所が想像の限界だった。
しかし、当日の彼らは、歌詞を変え、日本語で歌い、スクリーンにも日本語を投射した。目の前で何が起こっているのか、しばらく信じられなかった。これが彼らにとってどれほど大きなメッセージであるか、ファンであればあるほど、その途轍もない重みを感じたはずだ。




彼らのライブがどれほどに作り込まれたものなのかは、このフォトレポートを見るだけでも伝わるだろう。これはライブ中に撮影されたものだ。ファンでなければそれを疑うレベルの画像だ。
http://ro69.jp/quick/nonukes2012/detail/70035

チェルノブイリ
ハリスバーグ
セラフィールド
ヒロシマ


チェルノブイリ
ハリスバーグ
セラフィールド
フクシマ


日本でも放射能
今日も いつまでも
フクシマ放射能
空気 水 すべて

いまでも放射能
いますぐ やめろ


もっとも、誰が訳したのか、この会場でだけ披露された新たな日本語詞には、KRAFTWERKの美学が反映されていない(特に「STOP」を「やめろ」としたセンス)のとは思うけれど、本質はそこじゃない。彼らの手を入れる隙すらない完璧な演出に手が入り、冒頭で繰り返される四箇所の地名が、全て原発事故を指す様になったということも、改めてショックだった。


完璧完璧と誉めそやすのとは全く相反するが、演奏については、持ち時間が短すぎたこと、他のバンドたちと違って演奏前のサウンドチェックもしない(無駄に音を出さない)が故に音のバランスは無茶苦茶で、「Metropolis」に至ってはベースが半拍先走ってしまったまま直せないという散々な出来だった。そして、2011年にKRAFTWERKのステージ映像は3D化され、その効果を最大に生かすために映像は以前よりもかなりシンプルになったのだが、今回は当然2Dでそれを見ることになった。さらに、今年ニューヨーク近代美術館MoMA)で行われたイベント「Retrospective 1 2 3 4 5 6 7 8」で久し振りにセットリストに組み込まれた「Computer Love」の映像のクオリティは、他の時間をかけて完璧に作り込まれた楽曲群の映像たちと比較すると、あまりにも低レベルの出来だった。完璧を目指す集団には、完璧な場を提供したい、つまり、ソロツアーをやってくれと言いたいのだけれど、そういった悪条件を承知の上で、このイベントに日本の為のメッセージを抱えてやってきたという事実がかえって大きな意味を持つのだろう。




イベントが終わってみれば、「NO NUKES」を叫んだイベントの膝代りとトリを演じたのが、アコギ一本で反戦反核を叫んできた人達ではなく、電気とテクノロジー無しにはそもそも成り立たたず、停電すれば演奏すらできない、電気に依存し切った電子ポップのパイオニア達だったということも、とても大きな事を示唆しているのだろう、そう感じずにはいられなかった。