Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Luke Vibert & μ-Ziq 「So Very Show!」@渋谷Womb



体調を崩しながら何とか平日を乗り切り、身体も精神もぼろぼろといった状況だけれども、どうせ家で一日中寝ていても回復しないストレス起因の消耗なのだから、無理してでもストレス解消をした方がいいのだろうか。ということで、もうかれこれ20年位聴き続けているWarp RecordsRephlex、この二つのレーベルと深い繋がりを持つ二人がセットで来日するということで、栄養ドリンクやらなにやらドーピングをして、疲れた体を引きずって24時を過ぎた渋谷に向かう。




前座的に出てきたオオルタイチ。ノイズとコラージュまみれのダウンビートダブから始まり、トライバルなブレイクビーツは次第に細かく痙攣し始める。曲中はマイクで何かを熱唱。歌う声はまるで呪術のよう。新種のポンチャックでも聴いているかのようだ。


1:45、μ-ZiqことMichael Paradinasがブースに入る。初期の幼児的なまでにピュアなエレクトロニックブレイクビーツ「Tango N' Vectif」「Bluff Limbo」「In Pine Effect」あたりまでは随分と聴きこんだものだ。90年代初頭は四つ打ち一辺倒だったテクノシーンにおいては彼は異質の存在で、その独特なブレイクビーツが過激化して「ドリルンベース」化し、その発明にはRephlexのレーベルオーナーであるRichard D. James aka Aphex Twinなどが乗っかって一つの大きな潮流を作った。現在も自身のレーベルPlanet MuからのリリースでブレイクコアやJukeなど変態ビーツを提供し続けているのだが、個人的にはドリルンベースの過激さについていけず、ClearなどからリリースしたJake Slazenger名義作品のようなピュアブレイクビーツを愛聴していた。


で、この夜のプレイだが、一体どれだけのアーメンビーツが切り刻まれたことだろうか、という位のハードなドリルンベース大披露大会。初期の夢見がちブレイクビーツは「Tango N' Vectif」位だったか。そして後半にはガバにいたる流れ。流石にドーピングしていても体力が全然足らない。「Brace Yourself」など自身の曲もかなりかけていた様だが、そんな中でもやはり、Aphex TwinSquarepusherなどと一纏めで「コーンウォール一派」と呼ばれていた頃の、Rephlexテイスト溢れる「Hasty Boom Alert」の美しいシンセには思わず目から熱いものが零れそうになった。こんな曲を2011年にもなってまたフロアで聴いて涙ぐむなんて。すっかり回顧厨だ。





とにかく平日に疲れ切って体力が無い上に、早い時間にドリルンベース大会が開催されてしまった為、3:00からのLuke Vibertには、渋めでBPM遅めのシカゴハウスやアシッドハウスセットか、Wagon Christ名義のまろやかブレイクビーツセット、或いはKerrier District名義あたりのイタロディスコをお願いしたいところ。まずはオールドスクールなヒップホップからプレイスタートしたものの、そこからオールドスクールエレクトロ、Meat Beat Manifesto「I am Electro」などを経由して、パーティーヒップハウスからレイヴ調ブレイクビーツの畳み掛け。そして後半は再びゲットーパーティーのようにアーメンビーツ乱れ打ち。こちらもめちゃめちゃにハードな展開だった。残念ながら全く体力が付いていかず、途中で完全にグロッキー、入り口まで降りて外の空気を吸いながら涼む時間が随分長かったように感じた。


今の日本でこれまでのアーメン乱れ打ちドリルンベースが聴けるパーティーもなかなか貴重なのだろうが、如何せん自分が疲れすぎていたのと、自分の趣向としてはドリルンベースに移行する前の夢見がちブレイクビーツが好きなもので、踊っているよりも休んでいる方が長かった。ちょっと勿体無いな、次は体調が万全の時に聴きたいな、などと思いつつ、μ-Ziq「Sick Porter」やJake Slazenger「Daytime Kiss」でまろやかにチルアウトしながら朝の電車に揺られて帰宅。




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  • アーティスト:U-Ziq
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