Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Ulrich Schnauss「Japan Tour 2011」@恵比寿リキッドルーム

http://www.liquidroom.net/schedule/20110829/6394


7月中旬あたりに、この公演のチケットを買った。ハラカミが亡くなったのは、7/27の事だった。*1 ハラカミの代わりに、agraphとAUTORAがブッキングされた。とても複雑な気持ちで、リキッドに向かった。



agraphのVJを担当したのはMasato Tsutsui。彼のデジタルなままの有機的でダイナミックなVJは、相変わらず完全に音楽を食ってしまっていた。


AUTORAのバンドセットは、シンプルでストイックな電子音から遠く離れ、民謡、祭囃子がサイケデリックの中で煮込まれたような、シラフで聴くのが勿体無い、とんでもなく泥臭いサウンドだった。


U-zhaan × mabanua。ハラカミを通じて互いを知ることとなった二人。ドラムとタブラだけのシンプルなコラボでありながら、二人の人柄のせいか、妙な楽天的な明るさもある、不思議にたゆたう音。リキッドルームで突っ立って聴くよりも、この音をバックに地面に座ってフェス飯でも食べながら聴きたかった。


スペシャルゲスト、レイハラカミ」。U-zhaanはそう言って、「Red Curb」をバックにタブラを叩いた。その後、ハラカミのライブ映像が一曲流された。あの飄々とした喋り付きで。以前、同じリキッドルームで、ハラカミのライブを観ことがある。その時の音の響きまで、鮮明に思い出した。まだ自分にとって、ハラカミの死はネット上の出来事でしかなかった。そして、この時、リキッドで彼の音を聴いて、初めて理解した。もう、彼のライブは観れないのだ。何てことだ。会場が真っ暗なのを良い事に、洟水を垂らしながら嗚咽した。




最後に、Ulrich Schnaussエレクトロニカシューゲイザーの美味しい所取り、というにはあまりにその世界観は硬質で、ドラッグまみれのイギリス人では作れない、ドイツ人らしい神経質さすら伴う。全ての音域を埋め尽くすように敷き詰められたシンセノイズ、それはMy Bloody ValentineやChapterhouseらのナイーブなオリジナルシューゲイザーよりも張り詰めた、隙間の無い陶酔。身体の表面から肺の奥まで、シンセノイズに満たされて、中盤辺りから立っている感覚を失うが、浮かんでいるのか、沈んでゆくのかは分からない。スクリーンには、フランクフルトのシンプルでストイックな街並みと人々が淡々と映し続けられていたが、途中から、やはり音と同様に、どこにいるのか分からなくなるような風景とエフェクトに変わっていく。ラスベガスの奇抜なホテル、スペインの砂漠などの断片。まるで、夢の中で、ある一つの人生の一生を擬似体験する様な、時の流れの感覚を失う恍惚。そして、最後は轟音のノイズが旅の終わりを告げた。




Goodbye

Goodbye

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