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- 090824「傑・力・珍・怪 映画祭」@渋谷Uplink X
- 連日上映
- 「大拳銃」:大畑創監督
- 「魔眼」:伊藤淳監督
- 「灰土警部の事件簿 人喰山」:にいやなおゆき監督
- ゲスト作品
- 「穴」:高橋洋監督
- 連日上映
傑作・力作・珍作・怪作の頭をとった短編映画祭。
映画美学校の9期生の卒業制作作品を中心とした、自主制作、自主宣伝の映画祭。
「大拳銃」:大畑創監督
倒産した鉄工所に、拳銃密造の仕事が持ち込まれる。仕事を請けてしまった職人が、銃・金・裏組織の狂気に取り込まれ、全てが重く静かに暴走していく。
信じられないほどの完成度。無骨な職人であるがゆえに、狂気との対比がより一層浮き彫りとなる。
ぴあフィルムフェスティバル2009審査員特別賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞を受賞しているとのこと。ここでしか見られないので会期中にぜひ足を運んでほしい。
「魔眼」:伊藤淳監督
謎の男により傷つけられた女性の眼は、現実と恐怖の虚構を交互に映し出す。
今敏作品のような世界観を不条理と織り交ぜ、女性の追い詰められるさまを生々しくもスタイリッシュに描く。
個人的には3本の中で一番良かった作品だった。トークショーの後に直接監督に感動と感謝を伝えられて良かった。
「灰土警部の事件簿 人喰山」:にいやなおゆき監督
事件の現場検証のため刑事達が踏み込んだ山は、人食い山と呼ばれる異世界だった。
モノクロの水墨画のようなトーンで描かれる紙芝居映画。紙芝居風の弁士によって物語が語られる。一見昔話風の展開が、後半にありえないくらいの酒池肉林エログロ狂気に変わる。こればかりは少し耐性がないとつらい。
「穴」:高橋洋監督
「リング」「呪怨」などジャパニーズホラーの脚本を手がける高橋洋氏の、高校2年生の時の8ミリ作品。当時高校生にはアフレコ技術がなく、サイレントで制作され、その翌年に音楽だけが付けられた。30年ぶりの同窓会で、このフィルムを持っていた同級生が8ミリをDVD化して持ってきてくれたため世に蘇ったということらしい。
高橋洋氏が映画美学校の講師ということでの縁で上映。
「戦艦ポチョムキン」のセルゲイ・エイゼンシュテインによる「モンタージュ理論」(高橋氏によると、「ショットを滑らかに繋げるのではなく、あえてぶつける事で得られる効果」らしい)の実践として作られたらしいが、そこについては良く分からなかった。高校生の作品とは思えないほど、ヒッチコック的な編集や、今のホラー・サスペンス映画の定番的な構図が随所に見られ、色々にやりとさせられた。
TVでは決して流せない、DVDでも見れない、大手の映画館でも見れない、都内でもここでしか見れない、それだけの重くて残酷な感動が「大拳銃」「魔眼」にはあった。会期は9/4まで。
映画祭予告