観劇記録 「ミックマック」(MICMACS A Tire-Larigot)フランス 2009年公開
立川シネマシティにて鑑賞。
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」のオファーを蹴って作られた、ジャン=ピエール・ジュネ監督の新作。父親を地雷で失い、自らの頭にも銃弾が打ち込まれたままの男が、兵器メーカーに復讐を始める、という筋なのだが、そこはジュネ作品であり、そもそもこの「ミックマック」、フランス語で「悪戯」を意味するタイトルが、その内容を物語っている。現実とファンタジーが交錯する、大人のお伽噺。いつものジュネ作品らしい、強烈な曲者揃いの面々、圧倒的な美術と世界観、そして大量消費社会への警告と反戦を、シュールなブラックコメディーに包む。復讐の手法が一々微笑ましくて堪らない。テリー・ギリアム好きも観ておきたいアリーヌ・ボネットのガジェット感の素晴らしさは相変わらず。
いつもジュネ作品の撮影を務めるブリュノ・デルボネルが「ハリー・ポッター」に参加したため、撮影監督にはセザール賞を2度受賞した男、永田鉄男氏を抜擢。これが見事なまでにはまっている。とはいえ、舞台が現代のため、これまでの独特な色のノスタルジー溢れる作りとは質感が異なるので、熱心なジュネファンはどう思うのだろうか。